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90年代の音楽を知らないアナタへ その12 A LOVE SUPREME(94)/CHANTE MOORE シャンテムーア 「色気がありすぎると売れない」を証明した名盤

ここからは曲紹介。ロマンティックな世界へフェイドインする「INTRO」に次ぎ、オープニングを飾るのは「SEARCHIN'」。サビ以外はすべて語りという斬新な曲。ラップといえばそうだけど、ラップよりも朗読に近い感じ。シャンテの曲はバックヴォーカルもすべて彼女自身が多重で録っていることがほとんどだが、この曲もまさに彼女のさまざまな声色が早速堪能できる。シングルではないけど、アルバムの中でもインパクトを放っている曲。

「THIS TIME」はシングルカットされたミッドテンポのヴォーカルバラッド。プロデュースはファーストからの仲である元SOUL II SOULのサイモンロウと、ROSS ANDERSONという人。フランキーナックルズ御大のリミックスがダンス・クラブチャートで大人気になり、いまだマスターピースとして親しまれている。続いて4曲目「MY SPECIAL PERFECT ONE」はタイトル通り、現れた運命の人を高らかに歌い上げるミッドテンポバラード。シャンテの多重コーラスが軽快。サビは結構頭ん中をループする歌詞とメロディ。

「I'M WHAT YOU NEED」と「YOUR LOVE'S SUPREME」はムード重視なスローバラード。ロマンティックというよりは、かなりエロ路線に走った感じで、これぞシャンテムーアと呼ぶに相応しい、吐息まじりの歌声に愛撫するように滑らかな音階を行ったり来たりする構成。彼女の声テクがいかんなく発揮されたアルバムの中で聴き所な2曲になっている。後者はブランディのファーストで御馴染みのキースクロウチ(KENNETH CROUCH)が参加。

アナログ盤ではここまでがA面扱い。B面冒頭を飾るのは「OLD SCHOOL LOVIN'」。ブラックコミュニティにおいて「オールドスクール」というのは俗語で「古き良きもの」という意味があるが、ここでは恋人同士がかつての日々を思い返しながら、その情熱を現在でも確かめ合うというような胸キュンな内容。昔を思い出しながら、ああやって、こうやってという風にできるなんて。やっぱエロいよ。R&BチャートでTOP20ヒットを放ったので聴いたことある人もきっと多いと思う。

次は「FREE/SAIL ON」という2大ソウルクラシックのカバーをメドレーのような仕様で繋げたカバー曲。「フリー」はデニースウィリアムスのカバーで。「SAIL ON」はコモドアーズのカバー。こちらもまたダンス・クラブチャートでTOP10に迫る大ヒットした曲。「フリー」は今でもライブでよく披露されるほど、シャンテの代表曲としてもはや認識されている様子。分厚いベースを効かせているほかは、基本的にオリジナルに忠実なカバーになっているのも好感触。この曲の世界観を良く分かってると思うナイスなアレンジ。

その13へ続く

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