❨859❩1974.1.5.土.曇/【入院中】もし死んだらなんて事を考えた/アンカラの病院:トルコ

調子は相変わらず、頭痛が抜けない。
立つとフラッとするが、トイレと水飲みに位は行ける。

一日、本と新聞を読みまくった。頭を打ったという事で、後が心配でもあるが、俺の運と体力を信ずる。

日本の記事は実に賑わしく、まぎらわしい事ばかり書いてある。あと一ヶ月で、そこへ帰らねばならぬとは、はて、いかにしたものか。

東山動物園の、ゴリラの死の文を読み、思わず涙がこぼれた。
学徒出陣という欄も、今の俺の心に強く、悲劇として響いた。
戦争で死に至った人々の事を思えば、好きな事をやって来て、手当も受け、暖かい部屋でーーもし死となったとしてもーー彼等に比べれば、何んと幸福ではないか。

ちょっと今日は、もし死んだらなんて事を考えたからな。
申し訳ないのは、国の親兄姉である。

夜、横のオッサンニ人が、交互にウナって眠れず。
ボンヤリ、窓の外の街の灯を眺めていた。


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