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プチオンリーは、人気のカップリングでしか開催されないの?【二次創作・同人活動】

そうではない。
あなたには大好きなカップリングがあり、創作活動をしていますね。
プチオンリーが開催されてほしいのに、開催されないのはなぜですか?
それは、あなたが開催しないからです。

プチオンリー開催を主催する利益

なぜ、カップリングプチオンリーを開催するのだろうか。

主催が得る主な利益は、そのカップリング作品が多数発表されることだ。
5.6サークルの小規模でも、30サークル以上の大規模でも、こればかりは普遍の利益である。また、個人主催でも、企業主催イベント内の企画でも、WEBオンリーにも共通するだろう。アンソロジー企画がこちらに該当することもある。
これに素直な喜びを感じられるなら、主催に挑戦するに足る人間だと筆者は思う。逆に言えば、期待値が非常に高い利益これだけである。
その他の価値を得るためには、それなりの施策が必要となるだろう。

さらに、これを含め少なくとも7項目は最低条件として必要と考えている。


プチオンリー主催 最低条件7箇条

  1. カップリング作品が増えることを喜ばしいと思う気持ちがある

  2. 仲の良いサークル主 2人以上

  3. 2のサークルが参加してくれる日程

  4. 炎上する覚悟

  5. 時間

  6. 壁もピコも同等に扱う覚悟


1は冒頭で述べた通りである。一番重要だ。
下に行くほど重要度は下がるが、それでも筆者は主催が備えるべき最低条件だと認識している。
共同主催だとしても、責任者の一人には必ずすべてが必要である。

順番に見ていこう。


1.カップリング作品が増えることを喜ばしいと思う気持ちがある

これはそのまま、プチオンリーを開く目的となり得る。
多くのカップリング作家がこれに該当する人間だろう。

また、開催を宣言すると喜びの声が次々に届く。自分より格上だと思っていた作家から、直接お声がけをいただくこともあるだろう。
これは筆者も毎回超絶気持ち良い!!!
しかし、他人からの感謝を主たる目的にしてしまうのはかなり危険である。
人間は環境に順応する生き物なので、参加者はだんだんと、原初の感謝の気持ちを忘れていくものだ。
喜んでくれるのは開催宣言時とプチオンリー当日くらいのもの
と割り切り、さらに、準備期間中はほとんど氷河期であることを覚悟しておいた方がよい。
そのくせ、喜ばれない運営をしてしまえば反感を買うし、嫌になって「やっぱや~めた」などと言おうものなら今後はオオカミ少年扱いだ。
そんなこと界隈内でやってみな、詰むぞ。


2.仲の良いサークル主 2人以上

自分の他に参加者がいなければロンリーイベントである。それはそれでいいかもしれないが、プチオンリー主催の主旨からは外れてしまうので除外する。

ただ、3サークル+本部スペースで机2本分くらいはないと、当日の見た目がショボくなりがちだ。
参加サークル数は当然多い方が活気があるように見える。運営は比例して大変になるが、それは嬉しい悲鳴というやつだ。

知人やファンを参加者として連れてきてくれるなら、仲の良いサークル主は1人でも良い。しかし、それは主催の人望でなくそのサークル主の人望である。そのことを忘れてはならない。
もっと言えば、界隈内の2人程度の人間とすら仲良くしていないような人間は主催には向いていない。

それでもやりたいと思うなら、本を出して神になり、崇められよう。
それが無理ならばまずは作品を発表しつつ人脈を作り、求心力を高めるところからはじめよう。

作家は基本チョロいので、イベント後などに新刊に対して効果的な感想を送ればだいたい好感を持ってもらえる。
以下、拙文だが参考記事を2つ挙げておく。


3.2のサークルが参加してくれる日程

いくら仲が良かろうが、結局参加してもらえなければ意味がない
大まかな日程は主催があらかじめ決めるにせよ、絶対参加してほしいと思うサークル・サークル主には、開催宣言前にある程度スケジュールの確認を取っておいた方がよい。
だとしても、自分の予定にも他人の予定にも「絶対」はあり得ないのであまり大げさにアテにしないように。

この項目だけは主催個人の人格との関わりが薄く、さらに他人の都合が絡むために、運の要素が強い。
「よさそうな日程を見つけたからやりたいと思った」という理由で主催を始めるのもひとつのきっかけであり、何らおかしくないと思う。


4.炎上する覚悟

炎上は、愛するカップリングやジャンルにいわれなき火の粉がかかってしまう。
「炎上するわけない」という甘えた考えは最初に捨てるべきだ。
もちろん、炎上はしないに越したことはない。

どこから火がついて、どんな悪意によってどれくらい燃やされるかはわからない。常に界隈の空気を意識して、味方を増やす動きを心掛けておいた方がよいだろう。
もし炎上した際にはどういう対処をするかを決めておき、一貫した態度で、簡潔に主張をまとめ、多くを喋りすぎないことが重要だ。

また、筆者の経験則だが、企画HPやツイッターにはマシュマロなど匿名メッセージツールを置く必要はないと考えている。
主催は自身の権限で、最適解と思える運営をすればよい。
広く意見を募りたいと思っても、時間を取られるだけで終わってしまう可能性が高く、回答を間違えば炎上のリスクとなってしまう。それでは本末転倒である。
そもそも、まともな感覚で意見をしてくれるような主催にとってありがたい人間は、記名で直接連絡をくれる。
何の責任も取ってくれない匿名の「お客様」の要望にいちいち応えてやる義理はないのだ。

「お客様」が来てしまった際のいなし方については、2.の仲の良いサークル主に裏でこっそり相談してみるものひとつの手かもしれない。
1人主催だと視野が狭くなりがちだ。他人の知恵を借りよう。
その際は、あまり多くの人に言いふらさないように。2人程度までにとどめ、相談先同士が顔見知りなら、この件は他にもこの人が知っている、というところまで情報を明かすようにしよう。

筆者は直近のプチオンリー(数年前)では「参加者のみ質問や改善案などお願いします」としてツイッターDMを開放していた。
過疎気味なジャンルだったのもあってか、妙なお気持ちなどは1通も来なかった。おそらく次があっても同じようにするだろう。


5.時間

後述の6.金についても言えることだが、これがなくては何もできない。
しかも、これは「精神的に安定した時間」のことである。
企画の運営には思ったよりも自身の自由時間を削る。当然、原稿に割ける時間も減る。
企画の発表や、HPの作成・編集、ツイッター運営、bot作成、ノベルティ作成、アンソロ作成、当日企画の準備、参加者への定期連絡の文面作成…等々挙げればきりがない。
ちょっと宣伝をやろうとするだけで、作業はどんどん増えるのだ。
これを時間に余裕のない人間が一人で行うのは不可能である。

ノリと勢いだけで最後までやり遂げられる人間がいないわけではないが、まれである。
開催宣言がギリギリだとしても最低3ヵ月、長ければ1年程度は運営をしていかねばならない。
長期的な時間の余裕が求められる。


6.金

なければ話にならない。これだけは、情熱でどうにもならない部分だ。
超小規模プチオンリーでも、最低5万円は費用として見ておくのがよい。
もちろん、最終的に余ってよい。
予算が多くても困ることはないが、少ないと足りなくなって立ち行かなくなるし、精神的に不安になりがちだ。それは困るだろう。
また、予算を現金で全額用意できてから開催宣言するのがよい。
自転車操業でや諸々の前借りなどでうまくいくケースもないとは言わないが、他人のスペースを預かる主催としては、プチオンリーだけに使う金銭を定め、余裕を持っておきたい。
また、帳簿を付けて管理もしっかりと行おう。


7.壁もピコも同等に扱う覚悟

人によって態度を変えるのはかなり失礼だし嫌な奴ではあるが、そういうことではない。
もちろん誰しも他人に対して好き嫌いがあるし、すべての参加者がまともな常識人というわけでもない。

しかし、主催をする以上は「プチ参加条件」や理念にしたがって動かなければならない。
神作家のルール違反も、嫌いな作家のルール違反も、すべて分け隔てなく同じ態度で処理をしなければならない。
神作家だからといって贔屓したり、許してはいけないのだ。
同じ文言、同じ態度で、注意勧告をすることになる。

ここに差をつけてしまうと、主催一個人の信用が落ちてしまいかねない。


その他得られるかもしれない利益

  • 好きな作家にノベルティ関係の制作を頼みやすい

  • 界隈からの信用や好感度を得られる。

  • 上手くやれば、界隈で地位を確立できる。

一番上は筆者としてはかなり嬉しい経験であった。
実際に頼んでかわいらしいイラストを描いてもらい、グッズにしたこともある。
これは運営のモチベになるので、協力的な作家のスケジュールを伺いながらお願いしてみるといいかもしれない。
ジャンルにもよるが、女性向けBL二次創作界隈では、無償でお願いできる場合が多いお礼は都度しっかりと述べ、当日は他よりも豪華な差し入れをさせていただく、くらいが筋だろう。
もし、金券含む、お金でお礼をしたいと思っているならば、半端な金額では失礼にあたると筆者は考える。クライアントとして相応の対価で依頼をすべきだ。
同カプのよしみで少しまけてくれる、というのであれば、お言葉に甘えてもいいだろう。
というのも、数年前に漫画10P程度のアンソロ寄稿をした時、献本の際に「せめて…」と500円のクオカードをもらった事があるのだが、自分の漫画は500円の価値なのか…と思ってしまった。それならば、同額のお菓子の方が嬉しいと感じるところだ。出す方は参加者×500円で合計は結構な金額だったろうけども…。
金額については、本業か否かなど、それぞれ感覚や事情が異なってくる。
予算を提示して、この金額ならどの程度のものを描いていただけますか?と丁寧に聞くのは別に失礼ではない。後々こじれるくらいなら、最初からしっかり確かめておくのがよい。

さて、話を戻すが、思いつく利益は3つだけであった。しかも下二つはリスクの裏返しだ。
時間を取られることから、いっそその時間で自身の新刊を出した方が有意義に思えることもある。

他にもあるだろうか?記事にするにあたってかなり考えたが、他にはない気がする。
もしあればコメント等で教えていただきたい。


プチオンリー開催のリスク

興味本位で開催宣言するのは本当にやめろ。
何かあった際に責任を取る覚悟がないなら絶対にやるな。

利益がそこまでないにも関わらず、少しでも下手を打てば嫌われて界隈から干されてしまう。これかかなり大きいリスクだと思う。
WEBオンリーなどで特に多いが、ひどい場合は当日を迎えることなく空中分解して終了、主催の同人活動も終了、失踪、などということもある。
好きなカップリングだから立ち上げたのだろうに、悲しい結末である。

一世一代の覚悟をして、カップリングと心中するくらいの覚悟で臨むのがいいだろう。だからこそ、なかなかやろうとする人間がいないのだ。


やってみろ

筆者は飲み会や催し物の幹事なんかは絶対やりたくない側の陰キャ人間だ。
しかし、いざ避けようがなく任されると、任されたこと自体よりもひどい失敗により何かを失う方がもっと恐ろしかった。社会で揉まれるうちに結局は失敗も何度か経験し、それなりにこなせるようになってしまっていた。
嫌々ながらも身に付いてしまったホスピタリティだ。

筆者は好きなカップリングの作品はどんどん増えてほしいし、たまたま運営企画が得意だったから苦もなく回せている。
今や何が必要で、どう動けばいいか把握が出来ている。
しかもこれまでに複数回も成功といえる事例があるのだ、自信もある。
そして、かなり人に恵まれている。これは本当にありがたいことである。

逆に、これから立ち上がり、主催の予定がある人は、プチオンリーの主催の手記や覚書などをとにかくたくさん読み、まず全貌を把握するのがよい
できそうか?何人出てくれるか?どうやって運営するか?期間は?予算は?だれが参加してくれる?考えることは山積みだが、自分の頑張りの結果、カップリング作品が増えるのだ。
こんなに嬉しく、充実感のある活動も、そうそうないぞ。

それでも「誰かプチオンリー開催して~><」と、星に願うだけですか?
そんなに欲しいなら自分でやれ。

出来るもんならな!


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