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TOEFL/IELTS/TOEICの点数アップに重要な「CEFR」:ケンブリッジ留学 開始前03

これまでの記事では、留学先で履修予定のコース概要と、そのコースが提供される背景にある2つの留学生ギャップ:英語力と研究力に関わる学習スタイルについてそれぞれ紹介しました。

シリーズ内容の紹介
2020年10月からケンブリッジ大学へ留学することになりました。将来留学したい人や今まさに留学を考えている人に向けて、情報共有のために留学関連のエピソードを記録しておこうと思います。こちらのマガジン上で集約中です。

今日は、過去記事に対する質問やコメント/感想等の中で、特に興味関心が強かった英語についてとりあげます。日本では、ビジネスマンの英語はTOEIC、留学に関する英語はTOEFLやIELTSと相場が決まっていると思いますが、それら英語試験と同じくらい重要でありながら日本での認知がまだまだ低いCEFRについて今日は紹介します。

1. TOEFL/IELTS/TOEICを勉強するのは何のため?

英語の試験結果は実際の英語力と完全に一致するわけではありませんが、それでも留学先の大学は足切りのためにTOEFLやIELTSでのスコア提出を求めてきます。もしくは、仕事であれば社内の昇格基準としてTOEICが設定されているケースもあると思います。

こういった英語試験は、好きか嫌いかというよりも「勉強しないといけないから勉強している」という側面が強いと言えます。僕のIELTS学習もそういう側面がありました。参考までに、受験履歴とスコアを紹介します。

僕が今年から履修するコースは、Overall6.5以上/各要素6.0以上の点数が必要だったので、特に点数が低かったWritingを集中して勉強しました。必要な点数が取れたのは最初の受験から1年弱経ってからです。

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無事に点数が出た時は「よかった」とも思いましたが、それと同時に「単に点が取れただけだしな」という冷めた気持ちもありました笑。もちろん、点数を上げようとする過程の中で、新しい単語や文章の書き方を覚えたのは事実です。

しかし、点数という定量的な指標だけでなく、どれくらい英語を使えるようになりたいのか?という定性的な指標も重要だと僕は考えています。実は、IELTSの試験後に送られてくる結果の一番右側には、その定性的な指標となる「CEFR Level」も記載されています。

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2. 点数でなく、CEFRレベルを最初に考える

CEFRとはCommon European Framework of Reference for Languagesの略で、ネイティブでない人がヨーロッパの言語をどれくらい活用できるか、その習熟度を整理したフレームワークです。現在、英語やフランス語など全部で40の言語が対象となっています。

CEFRでは、言語習熟度をA:基礎段階B:自立段階C:精通段階と3つの段階にわけており、各段階はさらにA1/A2, B1/B2, C1/C2と計6つに分類されています。

CEFRの各段階で定義されている習熟度を目標に学習を行うことで、点数アップだけを目標としないバランスのとれた英語学習ができると僕は考えていますブリティッシュ・カウンシルのサイトにある各段階の詳細を意訳して、以下から具体的にCEFRの6分類とその中身について紹介します(原文はこちら)。

もし、この記事を読んでいる方が「英語を使えるようになりたい」と思っているのなら、「自分はどのレベルまで上達したいのか?」を考えるきっかけになればと思います。

▶ A1/2:Basic 基礎段階

あくまで僕の主観ですが、A1/A2レベルは中学生で習う英語が使えるイメージです。簡単な日常会話ができるため、同伴者がいれば数日ぐらいの日程で有名な現地の観光地を楽しみながら旅行することはできると思います。一方、長期滞在したり現地で1人暮らしするには難しいレベルです。

A1:初心者レベル
具体的なニーズを満たすことを目的に、身近な日常表現やごく基本的な言い回しを理解・利用できる。自己紹介や他者紹介ができ、会話相手と住んでいる場所やどんな人を知っているか/持っている物は何か、といった個人的な詳細について質問・回答ができる。会話の相手が、ゆっくり・はっきりと話してくれて、こちらの会話をサポートするつもりがあれば、簡単な形で交流することができる。
A2:初級者レベル
最も身近な分野(例:ごく基本的な個人/家族の情報、買い物、地元の地理、仕事)に関連した文章や、日常会話で頻繁に使われる表現を理解できる。身近で日常的な事柄について、簡単で直接的な情報交換が必要とされる状況でコミュニケーションをとることができる。また、自分のバックグラウンドや自分が置かれている環境、もしくは急を要するニーズに関してなら、簡単な言葉で説明できる。

▶ B1/2:Independent 自立段階

Aレベルに比べて、B1/B2では日常生活で必要な基本的な事柄に対処できるようになってきます。高校生や大学での英語学習は、このあたりを目指していると思われます。

B1とB2の違いは、B1は将来のキャリアイメージや挑戦してみたいことなど自分自身の事柄について意見が言える、B2になると他人の意見や事実などを分析した上で意見が言える、というイメージですね。

例外もあるとは思いますが、留学する場合はB2に達していないと現地でついていくのが難しくなります。

B1:中級レベル
仕事/学校/レジャーなどで定期的に起こる身近な事柄について、相手が明確かつ標準的に喋るのなら話の要点を理解できる。その言語が話されている地域で旅行している時に、そこで起こりうるほとんどの状況に対応できる。身近な話題や個人的に興味のある話題について、簡単な一連の文章を作成できる。また、自分の経験や身の回りで起こった出来事、目標や夢などを伝え、自分が持っている意見や計画の背景にある理由について、簡潔に説明ができる。
B2:中級の上レベル
自分の専門分野に関する技術的な議論を含め、具体的・抽象的なトピックについて、複雑な文章を読みながら何がポイントであるかを理解できる。ネイティブスピーカーと、定期的な交流が可能な程度には流暢かつ自発的に言語を運用できる。幅広いテーマについて、明確かつ詳細な文章が作成でき、様々な選択肢における長所と短所をそれぞれ挙げて、焦点となる問題に対して自分なりの視点を説明できる。

▶C1/2:Proficient 精通段階

最後がCレベルで、この段階になるとネイティブに近い形で言語を使うことができるようになります。例えば、日常的にすべて英語で業務が進む職場環境で、一定の職務を問題なくこなせる状態ですね。

C1とC2はどちらもハイレベルではありますが、C1はネイティブ並みに言語を運用するには多少の意識や努力が必要で、C2は母国語とほぼ同じレベルでその言語が使える、というイメージです。

個人的な感覚ですが、例えば現地法律を細かく理解しながら日常的に知財を扱ったり、同時通訳のように瞬間的な理解と発言が必要な場面が続く場合は、C1レベルだとちょっときついと思われます。

C1:上級レベル
努力の要する長い文章を幅広く理解し、暗黙的に示唆されている意味についても認識できる。どうやって表現しようかを迷うことなく、流暢かつ自然に表現できる。社会的もしくは学術/職業上の目的のために、柔軟かつ効果的に言語を使用できる。複雑なテーマについて、明確でよく練られた詳細な文章を作成でき、適切な構造や接続詞を使って表現ができる。
C2:熟練レベル
聞いたことや読んだことを、ほとんど全てをすぐ理解できる。話し言葉や書き言葉といった異なる情報源から情報を集約・要約し、議論や説明を再構成した上で、首尾一貫したプレゼンテーションができる。また、自分のことについて、自発的に極めて流暢かつ正確に表現できる。気をつけないと互いに齟齬がうまれるような複雑な状況であっても、細かい意味の違いをについて区別することができる。

まとめ:定量的な指標だけでなく、定性的な指標も意識して英語を学ぶ

一般的に、TOEFL/IELTS/TOEICといった英語の試験は、テストが好きだか受けるというよりも、一定の点数を出す必要があるから受けるという側面が強いと思います。

点数アップはもちろん重要ですが、せっかく英語を学ぶのであれば点数という定量的な指標のみを目標にするのではなく、今日紹介したCEFRのような定性的指標も意識するのがおすすめす。

具体的には、まずは定性的な指標で「これぐらいは英語を使いたい」と自分なりのゴールをイメージし、その後で「そうなるには何点とればいいのだろうか」と点数の目標を設定する流れです。

英語に限らず、何かを上達させたい時には定性/定量の両方を意識することが重要だと考えています。参考になれば幸いです。

柏野尊徳
Twitter(@takanorikashino

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