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世界で最も安い工場でモノつくり   コンテナ物語を読んで

 誰も、予想しないイノベーションとはこのことなのかな?と思うほどこの物流の革命はものすごいことです。

ただの四角い箱が・・・

 昨今の、モノの価格下落はこの「コンテナ」の発明によるところが大きいことを思い知らされました。物流は、かつて積み下ろしは、「人手で運んでいた」という事実です。映画の「タイタニック」で出航のシーンで荷物を運んでいる様子がありますが、意外と最近まであのような形で行われていたのは驚きです。

 印象的なのは、今や港は労働力集約型の雇用な場ではなくなり、自動オペレートの屋外型無人に近い工場化してしまったという事です。

 マフィアやギャングの存在

 今でこそ、違法薬物の流通や違法賭博の斡旋などが仕事でありますが、かつては港湾労働者のまとめ役をやっていたのは知りませんでした。日本でも今でも神戸や北九州など港に近いところに大きな組組織の中枢を構えているケースが見られますね。  

初期投資とコスト削減

 ただ、確かに昔と比べて海運がメインの物流コストは相当下がっていることは想像に難くないです。ただ、大型コンテナ船を建造すること、またそれらが発着できる埠頭の整備、さらにコンテナを扱う広大なターミナル施設、大型クレーンの建設などかなりの初期投資がいります。この投資の段階では需要を予測するのは非常に難しかったように感じます。

 つまり、昨今のような世界的に貿易が激しく行われるようになるというのを予測することは困難だったように感じます。まして、コンテナでの輸送は大量の需要がないと採算は合わないはずだからです。

 コンテナの発明は、世界の旧態依然の雇用を破壊しています。これは単に「港で働く人」という意味合いだけではありません。工場で作られる既製品はより安い国で作られるようになりました。つまり、先進国では第2次産業自体が衰退していきました。日本も産業の空洞化と呼ばれています。これは単に貨幣価値の違いだけでなく物流コストの限りない低コスト化も影響していることがわかりました。

環境と物流

 SDGsという観点から見るとどうなのかな?という事を感じずにはいれません。「船でモノを運ぶ」という事自体に多くの油を燃やし、大量のモノを消費するということは温室効果ガスの排出を促しているように感じます。

 先進国が発展途上国の労働力を安く買いたたく といった意味合いでも低価格のモノを貿易で入手するという貿易の在り方はどうなのかな?と感じることがあります。

 世界のすべての人が貧困から抜け出せればいいのでしょうけど、コンテナとは異なりますが、石油王は世界へ高くでオイルが売れてこそ大金持ちになっているわけです。

 全く貿易をやめてすべての国が鎖国のような状態になることがいいという気はありません。しかし、なんでもかんでも大量生産、大量消費がいいということはないはずです。現にプラスチック製品は控えられるようになってきたですし。

 技術を必要とするモノ

 「コンテナ」とは違いますが、日本から海外へクルマを輸出するのに、大型自動車運搬船が活用されます。最近では、比較的大きな工業製品は現地生産に移行していている点に注目していきたいです。特にクルマでは日本の会社であっても海外の現地法人を設立して地元の工場で、地元の雇用をし地元で販売するという流れをとっています。ただ、サプライチェーンは相変わらずコストの安い国が作っていることが多いですが・・・

 特に、クルマは国によって売れスジの商品が異なる点が大きいようです。世界中で規格が同じで構わないものは、大量に生産されどんどん海を渡っていくという事なのでしょう。

 ただ、「世界で最も安い工場で部分的に組み立てる→部品を運ぶ」を繰り返し最終的には消費地で組み立てられる という事なんですね。

鉄道貨物の効率性は?

 国内の特に、鉄道貨物などの輸送の効率化できないか?と思います。作品の中でも国内のコンテナ輸送は海外の遥か遠くからの輸送と比較してもコストが高いということが上げられます。これでは、国内工場でモノを生産し国内で消費してもらおうという動機づけにならないですね。SDGsの面から考えると輸送は船より鉄道貨物の方が温室効果ガスが少ないといわれています。なぜ、コストが高いかといえば貨物ターミナルでの積み下ろしの際に人件費がかかっているからでしょう。かつてのヤード式と呼ばれたシステムから比べるとかなり効率化が進んだといえると思います。

今後の労働集約型労働のイノベーションは?

 産業によっては、まだまだかつての港湾労働のように労働力集約型の産業は見られます。これからAIの発展や普及によって、人手がいらなくなる産業が生まれてくるかもしれません。逆に、コンテナのようにAIでなく何かのきっかけでそのように変化していくかもしれません。

 ライフラインの維持や病院介護施設など・道路をはじめとする物流などいわゆるエッセンシャルワーカーと呼ばれる仕事は労働力集約型産業といえるように思います。未来を予測するのは難しいですがどのような職種で雇用の破壊が起きそして、世界を巻き込んでいくか注目していきたいです。



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