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【イノカ人探訪記|第2話】「イノカ人であって、イノカ人でない」 創業初期からの伴走者にイノカの魅力を聞いてみた。

 「自分たちが好きな自然をみつづける。」を理念に、海をはじめとする環境問題に挑んできたイノカ。そんな彼らと創業初期から苦楽を共にしてきたCDO(チーフデザインオフィサー)守屋輝一さんは、イノカ社員でないながら「世界で最もイノカを知るデザイナー」として、ロゴのリニューアルや新規事業の立ち上げに携わってきました。今回は「イノカ人であって、イノカ人でない」守屋さんが考える、会社内外を行き来する中で気づいたイノカ人の魅力について探ります。

Profile

守屋輝一
|株式会きいちのメモ代表・株式会社イノカCDO/デザイナー・起業家
1995年埼玉県生まれ。法政大学大学院デザイン工学科システムデザイン専攻修了。「人の弱さと折り合う解決策の提案」を理念に、社会や事業の問題解決に取り組む。市場導入した発明に、自転車に乗る子どもや高齢者のヘルメット着用率100%を目指す安全システム「PROLO」や、紛争地や被災地の子どもたちにも提供されている携帯可能な遊具「PORTABLE PARK」、自分好みのぬか漬け作りをサポートするロボット「Nukabot」などがある。JAMES DYSON AWARD日本最優秀賞・国際TOP20、ACM SIGGRAPH特別賞。2020年から株式会社イノカCDOを務める。

【イノカでの役割】
2019年12月よりイノカに参画。ロゴや学会ポスター等コミュニケーションツールの作成から、社内の理念浸透に向けたワークショップといった総合的なブランディング、また、教育・イベント事業における新規事業開発も担当。


「生き物好き」マインドは、イノカ人の必需品。


Q:
 早速ですが、会社のど真ん中に切り込ませてください(笑) 理念に「自分たちが好きな自然をみつづける。」とありますが、環境系のベンチャーとしては珍しく「課題解決」を意図する文言が入っていません。守屋さんはこれをどう考えますか。

守屋:
 いきなり本質的な話題ですね(笑) 理念の策定には私も関わったので、背景からお話します。
前提として、イノカ人(イノカ社員の総称)は皆、生き物の魅力に惚れ込んでいます。関心を寄せる対象生物やそれらとの関わり方は人それぞれですが、異なる専門知識を持つイノカ人にとって唯一の共有点と言えます。イノカにとって、会社のキャラクターや事業の行動原理を表す言葉を「理念」とする上で、「生き物好き」要素を組み込むことは初めから決めていました。


社員に向けたワークショップ行う守屋さん

 その上で重要なのは、いわゆるソーシャルベンチャーであるにも関わらず、エゴイスティック気味な表現を使っていることです。代表の高倉さんはよく「モチベーション」と「パッション」を区別して話します。イノカでは、モチベーションは「内外から与えられる動機」であり、パッションは「内側から湧き出る情熱に基づく主体的な姿勢」と定義しています。時に畏敬の念が湧くほど神秘的な自然の代弁者のように振る舞うのではなく、「好きな存在を守ろうとするのは当たり前」という、ある種の欲求、つまりパッションを起点にする。そうすることで、より大きなエネルギーを発揮する事にも、途方もない旅路で息切れをしない事にも繋がります。そしてこれこそが、イノカらしさであると考え、「自分たちが好きな自然をみつづける。」という表現に落ち着きました。

Q:
 なるほど。では、イノカに関わるためには「生き物好き」でなければいけないのですね?

守屋:
 パートナーの皆さんにそれを求めることはないですが、社員の方にはそうあってほしいですよね。半分社外の人間が言っていいのか分かりませんが(笑) ただ創業初期から会社の変容を見てきた身として、苦しい場面を耐えてきたメンバーを支えていたのは、「目の前の生き物たちにしめしがつかない!」という愛と意地みたいなものがあったように思います。まさに理念の通りで、「生き物好き」マインドは、困難を前にして発動する起死回生の魔法カードのようなものでもある。イノカ人として働く上での必需品と言っても過言ではありません。


目を輝かせながら生き物の話をするイノカ社員


時代を生き抜くための「変わらないまま、変わり続ける」姿勢。


Q:
 理念策定の裏側を聞いたことで、イノカ人の本質、そして未来に向かう姿勢を知ることができました。では次は、もっと日常的に表れるイノカ人の姿について教えてもらえますか?

守屋:
 良くも悪くも… と言えるかもしれませんが、「変わり続ける」ことがあると思います。

Q:
 変わり続ける…もちろん、身なりではないですよね。意見が頻繁に変わるということでしょうか。

守屋:
 意見というより、「方法論に固執しない」という感じでしょうか。まだ分かっていないことも多い自然を相手にするわけですから、最新の調査によって、これまで当たり前と思っていた価値観がひっくり返ることもあり得ます。

 また今のは外部要因の話ですが、誤解を恐れずに言えば、イノカの商材である「サンゴ(をはじめ環境移送する生態圏)」によって事業を成り立たせていくというのは、そもそもが前代未聞。経済性と環境保全の両立を実践するロールモデル企業になるため、イノカは株式会社の形態をとっていますが、「サンゴ(をはじめ環境移送する生態圏)が仕事になる」ことを証明するために、これまでに無数のアイデアと方法論が生まれては消えてきました。しかし、今もちゃんと走り続けています。

「一度決めたから」と同じことばかりをやっていたら、時代の変化に取り残され、とっくにイノカは無くなっていたと思います。


社員とディスカッションを繰り返すCEO高倉

Q:
 しかし一貫性の無さは、新興企業にとって信頼性を失う要因にもならないでしょうか。

守屋:
 おっしゃる通りです。ですから、「変わらないまま、変わり続ける」ことが必要です。主体の中心にある理念やミッションは簡単には変えられませんが、それを実現するための方法論は都度、最善策をとっていくという形です。与信を維持して仲間を作ることも、社会の最前線に触れることも、どちらも大切。思考の持久力は必要になりますが、日常的に見られるイノカ人姿勢として代表的であると感じています。

主観と客観、ミクロとマクロ…。両極端を行き来する面白さを体験したい人に来て欲しい。


Q:
 話を聞いていると、守屋さんがイノカ人でないことが不思議でたまりません。

守屋:
 イノカ人の姿勢の多くを、私も持っているとは思います。ただ、私はイノカ社と外部とのコミュニケーションの交差点に居るべき立場です。思想を大切にするイノカ人が、外部環境との共通言語を失わないよう点検しつつ、アウトプットのお手伝いをするのが私に求められていることなので、今の関わり方は必然だと思います。

Q:
 では最後に、そんな守屋さんが考える「これからのイノカ人」に必要な能力や姿勢を教えてください。

守屋:
 「生き物好き」マインドや「変わらないまま、変わり続ける」姿勢と話してきましたが、それはイノカ創業期からのメンバーに共通している要素を抽出し、後から入ってきたメンバーに浸透させている部分が大きいです。ですから、これから入ってくる人には、ぜひ新しいイノカ人の姿を作っていってほしいと思います。

 具体的には、「両極端を行き来したい人」が興味を持ってくれるといいですね。例えば、外部プレイヤーと連携を加速させて行く上で「自分たちの思想を押し付けるのではなく、相手の立場に立ってイノカ人の言葉を翻訳できる」PR担当者とか、日々の忙しさによって行先を見失うことのないよう「ビジョンからの逆算をしながら、今すべきアクションを定められる」プレイングマネージャーなど。創業時の猪突猛進さを失うことなく、未来社会のリーダーになっていくためには、欠かせないピースだと思っています。


Fin.

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