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マンガに関する記事

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2014年11月の記事一覧

マンガは大脳に適した読み物 ジャンプ最高部数を達成した名編集者・堀江信彦が説く「マンガの力」とは

マンガは大脳に適した読み物 ジャンプ最高部数を達成した名編集者・堀江信彦が説く「マンガの力」とは

「マンガっていうのは、人間の大脳の機能に非常に適した読み物なんですよ。」

「週刊少年ジャンプ」最高部数653万部を達成した元編集長・堀江信彦さんが、マンガがいかに人間の本能に訴える力を持つか、明治大学中野キャンパスに集った聴講者たちへ語る。

「人間の表情は6種類しかない。喜び、悲しみ、怒り、不安、驚き、嫌悪。マンガの特徴はこれらの感情をデフォルメして描いたところにあるんです。こうした顔の表情を

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クマと女子中学生がいちゃいちゃモフモフ 人気上昇中の『くまみこ』に人類が惹かれる理由

リアルなクマと女子中学生が田舎の山奥で暮らすコメディマンガ『くまみこ』(KADOKAWA)が人気だ。去年10月に発売された第1巻が12月には第3刷が発行され、わずか2カ月で重版2回と、好調な売れ行きを見せている。

ページを開くとなるほど、楽しい。本作は、クマを祀る神社に巫女として仕える女子中学生・まちが、人間の言葉をしゃべれる大グマのナツと山奥で仲良く生活する物語。まちが田舎暮らしに飽きて都会の

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『ハイキュー!!』コミックスだから楽しめる本作の“手”の魅力

今年4月からアニメがスタートするバレーボールマンガ『ハイキュー!!』(集英社)。放映が楽しみだが、同作にはコミックスだからこそじっくり楽しめる魅力として「徹底した手の描写」がある。

『ハイキュー!!』は全国大会出場をめざす烏野高校男子バレー部の日々を描いたスポーツマンガだ。抜群の身体能力を持つまっすぐな性格のアタッカー・日向翔陽と、「コート上の王様」の異名を持つ我の強い天才セッター・影山飛雄。同

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レディー・ガガの肉ドレスを僕らはなぜ愛するか? ロックスターの必要性をギャグと熱い心で紐解く『エバタのロック』

今年11月の来日時、きゃりーぱみゅぱみゅのコスプレで見事に日本人の度肝を抜いてくれた世界的音楽アーティスト、レディー・ガガ。これまでほかにも生の牛肉でできたドレスを着たり、6つのプロペラを搭載した“空飛ぶドレス”で宙に浮いたりと、彼女は数々の奇抜なファッションで世を圧倒し続けてきた。

彼女なりのメッセージが込められているとはいえ、冷静になってみると、どのパフォーマンスも「ちょっと待て」と突っ込み

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スーパーゼウス、ヘッドロココ……原画を通してよみがえる収集の日々 「ビックリマン原画展」開催中

スーパーゼウス、ヘッドロココ……原画を通してよみがえる収集の日々 「ビックリマン原画展」開催中

スーパーゼウス、ヘッドロココ、スーパーデビル……子供時代にあんなに欲しかったビックリマンシールのヘッドたち。その原画を会場で見ていると、シールで感じられたあの手描きのぬくもりが、サインペンの濃淡やホワイトの修正跡などでより強く伝わってくる。

シールのおまけ付きでおなじみ「ビックリマン」の「天使VS悪魔シリーズ」誕生30周年を記念した「ビックリマン原画展」が、8月21~8月31日に渋谷パルコパート

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手塚世代から浦沢世代へ 「日本SF展」にみるマンガの存在感

手塚世代から浦沢世代へ 「日本SF展」にみるマンガの存在感

 みなさんは「SF(=Science Fiction)マンガ」と聞いてどんな作品を思い浮かぶだろう。

 『PLUTO』(浦沢直樹)や『GANTZ』(奥浩哉)など近未来的な機械技術が出てくる作品から、『テルマエ・ロマエ』(ヤマザキマリ)といったタイムスリップ作品。未知の存在が人間を襲うという点で『進撃の巨人』(諫山創)もSFたりうるかもしれない。あげればきりがないほど、現代において「SF」というジ

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真紅らアンティークドール7体を再現、「ローゼンメイデン展」に“きますか? きませんか?”繊細な美しさにうっとり

真紅らアンティークドール7体を再現、「ローゼンメイデン展」に“きますか? きませんか?”繊細な美しさにうっとり

7体のアンティークドールが華麗なドレスをひるがえして美しく戦う、PEACH‐PITのマンガ『ローゼンメイデン』(集英社)。4月に最終巻となるコミックス第10巻が発売されたのを記念し、展覧会「ローゼンメイデン展」が7月7日までアートスペース「parabolica‐bis(パラボリカ・ビス)」で開催中だ。作品の服飾表現をより堪能すべく、会場に足を運んできた。

展覧会は『ローゼンメイデン』に登場するア

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共感を呼ぶ昭和の画風とコンプレックス描写 Twitterで話題のマンガ家・史群アル仙インタビュー&個展レポート

共感を呼ぶ昭和の画風とコンプレックス描写 Twitterで話題のマンガ家・史群アル仙インタビュー&個展レポート

 史群アル仙というマンガ家の1ページ作品が、Twitterで大きな支持を得ている。手塚治虫のような昭和テイストのどこか懐かしい画風に、日常生活に潜むコンプレックスを寓話のように描いたストーリー。Twitter上に週2~3回のペースで投稿される作品は、毎回約500~2000回、多いときは2万回以上リツイートされる。「なつかしい、かわいい」とされる一方「切ない、泣けた」と共感を呼んでいるようだ。

 

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マンガの電子書籍の未来は? ホリエモン×うめ×鈴木みそトークイベント

マンガの電子書籍の未来は? ホリエモン×うめ×鈴木みそトークイベント

「ぶっちゃけいちユーザーとしてみたとき、マンガの媒体が紙である必要ってあると思います?」
「ないです。全然ないです」
 堀江貴文さんの問いに、マンガ家のうめさんは1秒と空けずに即答した。「東京トイボックス」など紙媒体で数々のヒット作を生み出してきたうめさんが紙の存在をばっさり否定している姿は刺激的だ。堀江さんはうなずき返す。
「少なくともマンガは紙である必要ないですよね。鞄の中にいれて持ち歩きたい

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マンガ家店長からの助言も 未経験者からプロまで“描ける”マンガ喫茶「漫画空間」が東京にオープン

マンガ家店長からの助言も 未経験者からプロまで“描ける”マンガ喫茶「漫画空間」が東京にオープン

 マンガ喫茶といえば、壁一面のマンガ棚から数冊を抜き取り、それぞれ個室ブースにこもって読みふける――というのが一般的。東京都・高円寺に新しく誕生した「漫画空間」には個室ブースの代わりに作業台が並び、大体のお客さんが席について紙にペンを走らせている。ここは読むだけでなく、未経験者からプロまで誰もがマンガを制作できる、“描ける”マンガ喫茶なのだ。

 「漫画空間 東京高円寺店」は、愛知県名古屋市にある

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痛みも喜びも与える群像劇『GUNSLINGER GIRL』作者・相田裕×『失恋ショコラティエ』水城せとなが「マンガ家脳」で語った魅力

痛みも喜びも与える群像劇『GUNSLINGER GIRL』作者・相田裕×『失恋ショコラティエ』水城せとなが「マンガ家脳」で語った魅力

 1月25日、米沢嘉博記念図書館が主催する「相田裕・水城せとなトークイベント-『GUNSLINGER GIRL』の魅力を語る-」が明治大学で開催された。2012年に15巻で完結した人気作『GUNSLINGER GIRL』の魅力について、作者の相田裕さんと、ドラマでも話題の『失恋ショコラティエ』の水城せとなさんが作家視点で語り合うイベントだ。司会はマンガ研究者である藤本由香里さん(明治大学国際日本学

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「黒執事原画展~枢やなの世界~」レポート

「黒執事原画展~枢やなの世界~」レポート

 黒一色の回廊に点々と飾られた『黒執事』の生原画たち。シックな雰囲気の中で原画を1点1点見ていくと、執事服や食器、装飾家具、探偵服、サーカス道具など、マンガ家・枢(とぼそ)やなが緻密に描いてきた小道具の数々に心がおどる。読者を19世紀末の英国へ誘う同作品の世界観がより広がったようだ。

 枢やなのデビュー10周年を記念して「黒執事原画展~枢やなの世界~」が1月15日(水)から西武池袋本店別館2階=

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少女マンガの道は石ノ森章太郎らトキワ荘メンバーが切り開いた 講座「トキワ荘から始まる少女マンガ」

少女マンガの道は石ノ森章太郎らトキワ荘メンバーが切り開いた 講座「トキワ荘から始まる少女マンガ」

 全7回の講座「漫画少年とトキワ荘の時代」の最終回「トキワ荘から始まる少女マンガ」が12月15日に東京都の森下文化センターで行われた。 石ノ森章太郎や赤塚不二夫、水野英子など、巨匠と呼ばれるトキワ荘のマンガ家たちを育て上げた名編集者・丸山昭がトキワ荘とゆかりのあるマンガ家をゲストに迎え、当時の貴重なエピソードを語ってきた本講座。

最終回は、歴史ロマン『白いトロイカ』などを描いたトキワ荘メンバーの

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