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マンガは大脳に適した読み物 ジャンプ最高部数を達成した名編集者・堀江信彦が説く「マンガの力」とは

「マンガっていうのは、人間の大脳の機能に非常に適した読み物なんですよ。」

「週刊少年ジャンプ」最高部数653万部を達成した元編集長・堀江信彦さんが、マンガがいかに人間の本能に訴える力を持つか、明治大学中野キャンパスに集った聴講者たちへ語る。

「人間の表情は6種類しかない。喜び、悲しみ、怒り、不安、驚き、嫌悪。マンガの特徴はこれらの感情をデフォルメして描いたところにあるんです。こうした顔の表情を読み取るのは、大脳の上丘と呼ばれる本能に近いものをつかさどる器官。だから言葉の壁を飛び越えて世界中の人に感情を伝える力があるんです」

 熊本にゆかりあるマンガ関係者が講話するイベント「熊本県市長会連携講座 中野・熊本・吉祥寺:『熊本』のマンガ凝集力」が10月25日、明治大学中野キャンパスで開催された。同学教授でもあるマンガ研究者・藤本由香里さん、熊本マンガミュージアムプロジェクト代表・橋本博さん、そして現在はマンガ出版社・コアミックスの代表でもある堀江信彦さん――熊本出身でありマンガ関連の各分野で活躍する3者が一堂に会し、それぞれが抱くマンガというメディアの可能性について説いた。

※つづきや写真は執筆した「まんがStyle」で公開中→ http://manga-style.jp/press/?p=18825

○執筆後記

ジャンプの最高部数時に編集長をつとめていた堀江さんの講義。マンガのよさを訴えるトークっていろいろあるけど、「大脳へ直接的に訴える」など科学的根拠を提示して大きな説得力をもってくるのが、さすが名編集と思えるイベントでした。

堀江さんによると、「マンガは、人間の6種類しかない表情をデフォルメ化するがゆえ、人の感情へ本能的に訴えるメディア」らしい。

実は個人的に「なぜ仮面にひかれてしまうのか」を研究しているのですが、仮面も結局はマンガの魅力と同じく、表情のデフォルメで本能に訴えてくるからだよなーとしみじみしました。

国も時代も違うのに、同じ感情を表した仮面はどれも表情が似通っています。チベット仏教の憤怒面にせよ、秋田のなまはげにせよ、怒りを表した仮面はほとんどが眉間にしわを寄せ、口を大きく開けているように。

これって人間には表情が6種類しかないため、たとえどの国でどの時代にいようが同じような表情の仮面をつくってしまうからでしょう(表情学によると、実は「怒り」×「恐怖」など6種類の感情が組み合わさって、実はもっと表情は多彩になってくるんですが)。だから、世界のあらゆる仮面から、人はなにかしらの感情表現を受け取ってしまう。

いろんな仮面の参考書で同じような論はみてきたのですが、堀江さんがマンガの魅力を訴えるために使った「人間の6種類しかない表情をデフォルメ化するがゆえ、人の感情へ本能的に訴える」って説明が、仮面の魅力として一番端的でわかりやすいな、と思いました。

これを念頭に置いて、ますますいろんな仮面と参考書を掘り下げていきたいです。

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