見出し画像

女子マラソン復権への道のり

プロローグ

興味深く拝読。

今回の五輪女子マラソン、事前の情報を分析すると、一山選手@ワコールに5~6位入賞の可能性はあるのかなと考えていました。
結果は17年ぶりの8位入賞。ワコール陣営としては、もう少し上の成績を考えておられたのかもしれませんが、粘り強い素晴らしい走りだったと思います。

日本女子マラソンの五輪でのメダル獲得は、アテネ五輪の野口みずき選手以来、獲得できていない状況ですが、土佐、尾崎、福士選手と、世界陸上では三つのメダルを獲得している実績があります。
今回、以前、関西テレビの番組に、弊社でキャスティングさせて頂いた

モリー・サイデル選手【アメリカ】が銅メダルを獲ったことを考えると、取り組み方次第では、五輪でのメダル獲得も現実味を帯びてくるのではないかと、個人的には考えています。

先人たちの予言

生前、故・小出義雄監督が、『以前は、まだアフリカ諸国はじめ、世界的に取り組んでいる国が少なかったから、だいぶ前からノウハウを持っていたおかげ(後述する倉橋選手の指導から)で勝負になったけど、アフリカ諸国の選手が、本気になったら勝てなくなるよ』と仰っていましたが、その通りの現実になってきている感じですね。

エスビー食品に、ダグラス・ワキウリ選手が加入した時、瀬古選手が、中村清監督に、『先生が彼に本気で指導したら僕は勝てなくなります』とお話されたのもその一例で、マラソン界の先人の方々は、今の時代を予言されておられていたわけです。
※ワキウリ選手は、その後、村尾慎悦氏の指導の下、世界陸上優勝、五輪銀メダルなど、世界的な選手に成長。

五輪メダル獲得には ①指導者の経験値、スキルアップ

五輪金メダルを獲得した
高橋尚子選手の指導者=小出義雄監督🎖
野口みずき選手の指導者=藤田信之監督🎖

は、マラソンに限らず、トラック、駅伝などでも、数々の指導実績を残された名指導者ですが、女子マラソンの黎明期に、倉橋尚己選手(当時日本歴代3位に相当する2時間41分33秒を高校生で樹立)、柏木千恵美選手(ユニチカ~ワコールで活躍 自己記録2時間38分48秒)といったマラソン選手を指導されていたことは、意外に知られていない事実かもしれません。

何をお伝えしたいのかと言いますと、お二方共に、マラソン指導に関しては、色々と試行錯誤されながら、ノウハウを構築されていったわけです。
マラソン指導は、一朝一夕にできるものではなく、かつ日進月歩している世界のマラソン事情を考えると、指導者の経験値・スキルアップは、不可欠と言えそうです。

五輪メダル獲得には ②タレントの発掘

五輪でのメダル獲得という基準で考えますと、やはりトラックでの最低限度のスピードがないと、勝負にならない気がしています。3000m8分台、5000m14分台は、マストでしょうね。

このタイムを出せそうで、かつ心肺機能、有酸素能力に優れ、身体が強く、何よりも、選手ご本人が、マラソンで世界と勝負するという強い意志を持ち合わせている、そんな選手を発掘していく必要性を感じています。

あくまでも私見ですが、現役の選手の中で、上記条件にあてはまる(だろう)選手が4名います。
こういった選手を、どのようなマネジメントで育てていくのか?、また4名以外にも、現高校生、大学生の中で、こういったタレントがいるのかどうか、このあたりは、実業団・大学のスカウト担当者の腕の見せ所となりそうです。

五輪メダル獲得には ③段階的な強化ビジョン

マラソン選手の育成には、時間がかかります。
五輪でのメダル獲得を念頭に置いた時、目標とする五輪から逆算して、毎年どういった強化を行っていくのか、計画的な準備が大切ですね。
例えば、2028年のロサンゼルス五輪でのメダル獲得を考えた時、

2022年 1500m/3000mの強化
2023年 5000mの強化
2024年 10000mの強化 ハーフマラソンの強化
2025年 ハーフマラソンの強化 初マラソン(夏のマラソン)
2026年 大阪国際女子マラソン優勝(タイムアタック)
2027年 MGC優勝=代表権獲得
2028年 五輪メダル獲得🎖

私だったら、こんなイメージを持っています。
あくまでも、ざっくりとしたイメージですが・・・

五輪メダル獲得には ④個別マネジメントの重要性

『この選手で勝負する』という方針が固まった段階で、該当選手に合ったトレーニング、マネジメント体制を組み、集中していく必要性を感じています。日本の駅伝チームのトレーニングや、マネジメント体制を否定しているわけではなく、その長所も十二分に感じておりますが、女子選手という特性を考えた時、本気でメダル獲得を考えるなら、この体制がベストと思います。

過去の歴史を振り返っても、有森裕子選手、鈴木博美選手、高橋尚子選手、野口みずき選手に関しては、明確な区分けこそなくとも、監督、コーチ、トレーニングパートナー、トレーナーが、ほぼ、メインの選手にシフトした体制を組んでいました。

かつての3000mSC世界王者・サイフ・サイード・シャヒーン選手には、常時4~5名のトレーニングパートナーがいて、シャヒーン選手を勝たせるために、トレーニングを引っ張ることのみに従事していたそうです。

エピローグ

マラソンは、ごまかしがきかない競技です。
選手・指導者のトレーニング、私生活、物の考え方が、レースの結果に直結しているような気がしています。

私見を書き綴ってしまい、恐縮ですが、パリ~ロサンゼルス~ブリスベンと続く五輪ロードの中で、日本の女子マラソンが復権することを切に願っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?