見出し画像

「鏡のなかの姿はあまりにも強烈で、あまりにも悲しかった」

■感想文『その女アレックス』/著者・ピエール ルメートルさん、翻訳・橘明美さん


アレックスという、赤毛のウィッグをつける女性が誘拐されることで、物語が二転三転するサスペンスです。

素直に楽しめました。翻訳小説はあまり得意でないので、日本人作家の小説に比べると極端に読む数は少ないですが、あまり細かいことを気にせず、物語が楽しめたのがよかったです。

グロテスクな性描写が出てくるので、免疫のない人や苦手な方は避けたほうが賢明だと思います。

著者はフランス人作家なので、登場人物のセリフでフランス人らしい皮肉が出てきます。皮肉のやりとりでセリフや内省がつづくシーンが、ちょっとだけ出てきます。そうした会話に抵抗がなければ、読書好きは、おおむね楽しめると思います。

物語の展開は練られているので、深読みせずに読めれば飽きずにページをめくれるでしょう。とても個人的なことですが、ラストの展開、物語の閉じ方が気に入っています。こういうサスペンスの本を読んだ経験はありませんでしたので、私にとっては新鮮な読後感でした。

本書が初めての読書となる人は、別の一冊をおすすめします。決してわかりやすい一冊ではないので。友人にすすめるかといわれると、悩みどころです。すごく好きな作家がいる人には、すすめにくいかもしれませんね。気取らず息抜きのよう感じで読めれば、楽しめる一冊のような印象です。(重箱の隅をつつくとキリがない一冊なので)


この記事が参加している募集

読書感想文

一日一つの投稿を続けます。それは、文章を書くという、コンテンツメイクの楽しさをnoteが思い出させてくれたから。ありがとう。ライフワークが手につかないくらいnoteのことを考えてしまうので、noteをライフワークにすべく、今後も続けます。読んでいただいて、ありがとうございました。