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江戸の粋なおっちゃんからの学び

絹豆腐の生い立ちの一席。

京の方で生まれし者と思っておりました「絹豆腐」。

実は江戸の生まれだそうでしてね、ときは元禄三年に遡ります。

京から江戸に移ったお豆腐屋さん。

このお豆腐屋さんが、考案したのがはじまりだそうな。

つい数日前のこと。

だいぶお世話になっております、近所の中華料理屋のおっちゃん、酒屋のおっちゃんと立ち話になりました。

私がおります下町エリア。

つまりは江戸っ子にあたる人生の先輩たちは、しびれるくらいに粋で格好いいんです皆様。

ちと長くなりそうなので、のちの小噺にて語らうことにしましょう。
(綴りはじめたら小噺どころの分量じゃなくなった!しまった。)

そんな江戸生まれのお豆腐をつかった、食欲が落ちがちなこの時期(わたくしは単に揚げ物と甘いものの食べ過ぎですね)に、おかゆの如くさらりと優しい椀もののご紹介。

「絹豆腐」「干し椎茸の出汁」「青菜(カブの葉、小松菜、ほうれん草など)」「お醤油」「水溶き片栗粉」「生姜」をご用意くださいまし。


材料

絹豆腐 お好きな量(今回は藩領)
干し椎茸  お好きな濃さになるくらいの分量(今回は1個)
青菜(カブの葉、小松菜、ほうれん草など)  豆腐の1/3〜2/3の量
お醤油 ちょろり
水溶き片栗粉 ちょうど良き量
生姜 お好みの量


作り方

1、椎茸のご機嫌をね
干し椎茸は、一晩じっくり戻してあげましょう。この子たち、昆布よりも急に戻されるのを嫌います。途端にプイッとヘソ曲げて、よいところを隠してしまうのです。(難しかったら、弱火で火にかけましょう)。
お出汁がひけたら、さいの目に切りましたお豆腐を投入いたします。

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2、お豆腐と青菜の調和(青菜を刻む)
青菜たち。ものにもよりますが、シャキシャキした子たちが多い印象。
大きすぎると、お豆腐の繊細さが損なわれてしまいますゆえ、小さめに刻んであげると調和がとれましょう。各々の良さを引き立てあうなんとも平和な椀の世界。

3、豆腐と椎茸を火にかけて、とね
中弱火でふつふつ、温めてまいりましょう。

4、ふつふつしてきたら、あなたの出番(青菜を投入)

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サッと先ほど切りました青菜を投入。くたっとするまで火にかけます。


7、自分の体調と要検討する(味付け)
要検討という言葉の響がなぜが好き。体調によって、味の好みはかわります。ミネラルが不足していればちと塩味のきいた味付けがホッと落ち着く。生姜がしみる日もあれば、青菜の青臭い感じが苦手な日もありましょう。
そんな時こそ、味付けを要検討でございます。

6、さぁさお待ちかね、今日もとろみの時間だよ

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毎度のごとく、水と片栗粉を同量いれてといてゆきます。あとは経験と感覚がものをいいますこの世界。出たとこ勝負も悪くない!


7、染みるなぁ

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今日のツボ
・椎茸は一晩じっくり戻すとよい
・青菜の大きさで豆腐との調和を
・体調と味付けを要検討する
・とろみは経験と感覚がものをいう


立ち噺っていいよね。

びっくりするくらい私を泣かせにかかっている、忘れられない立ち噺だった。

ランキングチャート1位だと思います。

濃いうちに書き留めておきましょう。

二本立てゆえ、読み流していただいて結構でございます。


(中華料理屋のおっちゃんとの帰り際の立ち噺)

私のソウルフードとなりつつある、中華料理屋さん。
家族でやっているんだけど、魚くれたり、ばあちゃんと色恋の話をしたり、ここ最近の悩みを聞いてくれたりと、こんな小娘を可愛がってくれるのだ。ありがたいご縁。

(内臓脂肪撃退月間のせいで、)実に4ヶ月ぶりに半チャンセットを頼み、誰もいない店内にて、自作自演のエコーをかけているかの如く「うまい」をこれでもかと連呼した。

帰り際、外の植物たちに水やりをしていたおっちゃんと立ち噺。

「ここ最近は、夜の営業がまるきしダメだ」

と、おっちゃんがぼそり。

そうなんですか?なんて話から、店の生い立ちについても教えてくれた。

おっちゃんの父ちゃんが病に倒れ、今の奥さんと30年前に店を構えたそうな。

最初は、正社員のスタッフもいたり、彼岸とかの行事以外は閑散とした町だった。

それがあれよあれよと忙しくなり、リーマンショックでやられはしたが、また忙しくなってきた矢先での、この未知のウイルスなんだと。

「やめたくなる事もあって、島に1ヶ月いた事もある」

そんなことも言ってたな。

「まるきしダメだけど、やり続けるしかないんだよ。やりながら、変えて変えて、やってみて。考えてるだけじゃダメだから。」

いつもニコニコしてるおっちゃんの、そんなまっすぐな目を見て、なんかジンときてしまった。

頭ではわかってるつもりになんだけど、情報量が多すぎるこのご時世に生きていると、考えに縛られ動けなくなることも多いから。

囚われずに、シャンとせいよ私!と背筋が伸びた。

(酒屋のおっちゃんとの立ち噺)

お店用のお酒を仕入れさせてもらったり、お客さんとしても来てくれるおっちゃん。うちの父と同い年なのに、ピアスがキラリと光っていて格好いい。「江戸っ子はさ、一度出した金はしまっちゃいけないんだよ」などという粋な言葉の数々に、クラクラさせられっぱなしである。

お酒のこと。商売のことなど教えてもらい、時にはお店で歌謡曲をともに歌ったりと可愛がってもらえて、ありがたい限りだ。

中華料理屋のおっちゃんと立ち噺をしていたところ、たまたま通りがかった酒屋のおっちゃん。

お店にいるタイミングを見計らい会いにゆきます!と伝え、足早にお店へ。

これからの飲食のあり方について話していて。

「シェフとかなんとかという肩書きも大切だけど、もっと本質的な事が問われるだろうなぁ。テイクアウトもさ、難しいでしょ。」

「あとはさ、理解してもらえるまでには時間がかかるんだよね、何事も。俺は、十何年やっていてやっと理解してもらえたの。当時はバカにされたりもしてさ、文句言わずに見守ってくれた親父に感謝してる」

と、今日はこの世が私を泣かせにかかっているんじゃないのかと思うくらい、心に沁みる言葉にあふれている。

外まで見送ってくれたおっちゃん、なぜかまたも立ち噺が始まっちゃって。

「俺も若い時、偏った知識でお酒を買いに来たお客さんを諭そうとした時もあったの。お客さんに熱く語ってねぇ。しばらくしたら、母ちゃんから「お父さん、配達の電話だよ」って呼ばれて。おぉそうかと、裏に行ったら注文なんて入ってないんだよ!そしたら母ちゃんが「お父さん、もう30分も話しているの気づいてる?」と言われてハッとした」

「ただお酒を買いに来てくれたお客さんにとっては、おいしい酒が飲めたらそれでいいの。なのに知識を押し付けちゃって申し訳なかったなと思ったのよ。」

自分が昨年、反省して学んだこととのシンクロが半端なくて、ギョッとした。

まるでお天道様から「昨年の学びを復習せよ」と言われているみたいな1日だった。

のちに、メールのやりとりにて

「頑張っては当たり前なんで、堪えて行きましょう‼️
 ^_^Vこんな感じで行きましょう。」

と返事が。

むむぅ。心にグサッと刺さる言葉なり。

なんとも粋な江戸のおっちゃんに、頭が上がらぬ若造です。

ヘッタクソな文章だな、ちくしょうめ!

心に刻みながら、楽しんで前に進もうじゃぁないか。

決意表明も込めまして、ちとヘビーなお噺でございました。

お後がよろしいようで。

食べたいものをつくる人 高橋 拝。








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