若く未熟で、美しく儚い人生のひととき。『Summer of 85』
大人になると、なにをするにも意味を見出そうとしてしまいがちで。
青春時代はもっと無意味なことで楽しんだり苦しんだりしたのにな!なんて考えたりする。
「青春」って言葉を考えた人のセンスって素晴らしい!ってつくづく思う。
「青」にはまだ若いとか未熟とかの意味がありますからね。
まだ若く未熟な春。
出会いや別れの季節の春。
そして春といえば「桜」
咲いてもすぐに散ってしまう美しさと儚さ。
若く未熟で、美しく儚い人生のひととき。
やっぱり「青春」って響きは素晴らしい!
大人になると春を売ったり買ったりするようになるのは寂しいものです。。。
青春に思いを馳せる8月20日。
ってことで2年前の今日、2021年8月20日に日本で公開された映画『Summer of 85』。
大好きなオゾン監督の青春を描いた作品について感想分でも書こうかな!
『Summer of 85』
感想
ネタバレに気をつけながら書くけれどもまだ作品をご覧になられていない方はご注意ください。
オゾン監督が17歳のときに出会い影響を受けたというエイダン・チェンバーズの小説「Dance on My Grave」(おれの墓で踊れ)を原作にした作品。
この作品はとにかく美しく儚い。
まさに「青春」。
16mmフィルムで撮影された画質と色彩が80年代を感じさせてくれます!
オーディションで抜擢された主演のアレックス役のフェリックス・ルフェーヴルとダヴィド役のバンジャマン・ヴォワザンがこれがまた本当に美しいんです。
二人とも違う形で「死」に惹かれている様は、10代特有な危うさと脆さを感じさせてくてイイですね。
そして、二人の誓い。
無意味にも見え、なにかへの反抗にも見えるこの誓いは無性に思春期の男の子っぽいんです!
ダンスホールでストロボが焚かれる中で向き合うシーン、後ろからヘッドホンをかけるシーンは素敵過ぎました。
そしてヘッドホンから流れるロッド・スチュワートの「Sailing」。
痺れますね!
選曲のセンスもありますが、音楽と映像のバランスが素晴らしい作品。
お互いの想いをぶつけ合うシーンでのダヴィドの涙が綺麗なこと。
表現が上手くできずに暴力的な言葉のチョイスをするあたり10代の危うさが上手く表現されていて好きですね。
そしてケイトがアレックスに投げかけるセリフ。
恋の中で陥りやすい部分をそれはもう見事に言語化しています。
誓いを守りヘッドホンから流れる「Sailing」でのダンスシーンは圧巻。
まさに「純愛」。
このシーンでアレックスの恋は愛に変わったと思う。
純粋無垢で不器用なラブストーリー。
まだ観てない方は是非ご覧ください。
人は毎日、大人になっていく。
だから過去を子供だったと振り返る。
当時だって俺は大人だ!って一生懸命背伸びしてたのに。
きっと、「死」を前にしたとき、今日という日も若く未熟で美しく儚いひとときだった!って思い返すのではないかな?
今日という青春を楽しもう!なんて考えた8月20日。
43歳。ハイボール片手に中年おじさんの青春は続く。