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子育てエッセイ

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2歳の息子の記録
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過疎の駅に置いておく【エッセイ】

過疎の駅に置いておく【エッセイ】

思いつきはあまり好きじゃない。
なんてことない週末の休みも、できるなら計画を立てて過ごしたい。3歳児と、なるようになる精神で生きている夫と生活を共にしているので、実際はなかなかそうならない。

「電車がすぐそばの街に住んでいるから電車好きなのだろうか。果たして電車が通っていない町の子は電車に興味を示すのだろうか」
息子を見ていると、いつも思う。
東北の某県庁所在地にある私たちのアパートから

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ちょうどいいこたえ【エッセイ】

ちょうどいいこたえ【エッセイ】

子どもに「お腹にいた時のこと覚えてる?」と聞くと、興味深い答えが返ってくるかも、というのは子育て中の人間なら一度は聞いたことがあるのではないだろうか。

暖かかった。お花畑だった。お空の上にいて、ママのお腹目指して飛んできた。
各SNSの育児垢などを見ると、その答えは十人十色だ。「感動した」「本人が知り得ないことを言ってきて驚いた」などなど、親の反応も様々だ。
私は半信半疑だった。子どもも

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いい時間【エッセイ】

いい時間【エッセイ】

二歳の息子が遅めの昼寝から目覚めたとき、既に日は傾きかけていた。
わたしは台所で鶏ガラを炊いていたので、居間には電気をつけておらず、ぼんやりと暗かった。吐き出し窓の近くの座椅子に、彼はまだ眠たそうに寝転んだ。
鶏ガラのせいか部屋がむしむしとするので、その吐き出し窓を開ける。秋の風は適度に涼しく、部屋になだれ込んでくる。
「ママ、来て。見て、ぱわーく」
ぱわーく、と言うのは息子語でパワーショ

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