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BtoBではたらく魅力を「言語化」してみた。

こんにちは!BtoBのSaaS企業でサラリーマンデザイナーをやっております高橋名人(X:@zouzei8to10と申します。


BtoBの仕事の魅力を伝えたい・・・!!

今回はこのような想いを携えてnoteの記事をしたためました。

私はBtoBの仕事をかれこれ10年近くやってきています。企業案件の受託の仕事に始まり、直近では産業保健業界建築・建設業界のデジタルトランスフォーメーションを実現するためのSaaS製品のデザインに従事しております。

このような記事を書こうと思ったきっかけはBtoBの同業者との飲み会でたびたび「BtoBの仕事の魅力がうまく伝わっていない・・・」という話題が挙がったからです。BtoCのようにテレビCMや街の広告で目に触れる機会も少ないですし、私自身も実際にBtoBの仕事に携わるまではあまりイメージが湧いていませんでした。

しかし、BtoBの仕事には語り尽くせない”魅力”があると思います。


私は過去いろいろな業界の広告案件やアプリなどの仕事もやってきましたが、今やっているBtoBの仕事におもしろみとやりがいを日々感じて働いています。そこでアピールのためにも、自分自身を振り返るためにもnoteで言語化してみることにしました👍

はじめに…と、前提

はじめに、このnoteで取り上げる用語についての改めての説明です。

BtoB(Business to Business)
企業から企業へ商品やサービスを販売するビジネスモデルのこと。
たとえば、紙や繊維などを提供している製造業や、企業向けに素材を販売する素材メーカーなどがあげられます。このようなビジネスは顧客と継続的に取引をすることが多い特徴があります。

BtoC(
Business to Consumer)
企業が一般消費者に対しておこなうビジネスモデルのこと。
たとえば、普段から利用するスーパーやコンビニ、百貨店、ゲームやSNSなどがあげられます。このようなビジネスは利用人数が多いため、市場を拡大させやすいと言われています。

このように、業態の違いだけでなくBtoBとBtoCではお客さんやユーザーとの関わり合いの違いにもそれぞれ特徴があったりします。

今回の記事では「BtoB事業ではたらく私から見た魅力をお伝えする記事をお届けしたい」と考えております。そのため、前提として、恣意的にBtoB領域のアピールに比重を置いておりますが、本来どちらが優れているとかという訳でもなく、そのようなことを言いたい意図はまったくございませんのでご了承ください。

また、あくまで私の観測範囲からの印象論に近い内容もございますが、BtoB事業に興味を持った方のキャリア選択の一助になることに一縷の期待を込めて文章をしたためてまいります。では、よろしくお願いします。

BtoB の仕事の魅力

まずはBtoB事業の特徴からその魅力をお伝えします。

お客さんの顔が見えて、声が聞ける

法人向けの事業は、会社同士の委託契約や受発注などの契約を前提に行われます。個人が市場において自由に売買を行うBtoC向けの事業よりも「クライアントの株式会社何某の○○さん」という存在を身近に感じる場面が多いと思います。

営業職の方はもちろんですが私のようなアプリケーション開発の現場にいる人間でも、実際にユーザー会などでお客さんと直接お話しをする機会もあります。その際に「この前リリースされた機能で仕事がスムーズになったよ!」とか「作ってもらったホームページで問い合わせが増えたよ!」なんて声を聞くことができると大変嬉しい気持ちになります😊

お客さんと継続的な関係性を築ける

BtoCの商品やサービスはデパートやECショップで購入するなどの他、アプリであればアプリマーケットで無料でインストールすることで利用することもできます。そのため比較的スイッチング・コストが低くなる傾向にあります。

スイッチング・コストとは、顧客が現在利用している製品・サービスから別の会社の製品・サービスに切り替える際に負担しなければならない金銭的・物理的・心理的なコストのこと。

スイッチング・コスト|グロービス経営大学院 創造と変革のMBA

例えば、ドレッシングを購入するのであれば売り場には100種類近く並べられているスーパーもあると思います。その中で「この前買った美味しかった物がなかったから似ているものを買おう」とか「セールになっているから違うメーカーのものを買おう」などと行動変容しやすい状況をスイッチング・コストが低いと言います。

もちろん、一つの商品やサービスをずっと愛用し続ける人もいると思いますが、BtoCの場合は選択肢と入手機会がそもそも多いためにこのような傾向になる場面が多くあります。

一方、BtoBの商材の場合は法人同士の契約が起点となるため、感情やその場の直感のみで選ばれることはそう多くありません。
反面、購入に関心のあるステークホルダー(=利害関係者)が多く、意思決定には時間がかかるケースもありますが、一度契約すると継続的な付き合いになるため、提供側も改善やアフターサポートなどで顧客満足度を高める試みを打つことができるのです。

業界の生産性向上に貢献できる

BtoBの商材は、ある業界や専門職の方が「仕事で日常的に利用する」ものである特徴があります。デザイナーでいうとAdobe製品が分かりやすい例です。Adobe製品のアップデートによって、デザイナーの作業は効率化し、表現の幅も広がったと言えるでしょう。

このように継続的に改善・改修を続けることにより業界全体の生産性の向上につながることはBtoBの仕事のやりがいの一つです。私が関わってきたSaaSの仕事では、提供した機能により「残業時間が○○%削減した」や「3人でやっていた作業を1人で回せるようになった」など定量的な数値としても効果を実感するお声をいただくこともあり、モチベーションに繋がっております。

BtoB + SaaS の仕事の魅力

次に、BtoB領域のSaaS事業で働く魅力をお伝えします。

SaaSとは「Software as a Service」の略称です。SaaSは、クラウドサーバーで稼働しているソフトウェアを、インターネットなどのネットワークを経由して、ユーザーが利用できるサービス全般を指します。

国内外のSaaS市場は右肩上がりで成長しており、今ではたくさんの企業が何かしらの SaaSを導入し、多くの投資家が SaaS 業界に注目しています。総務省の令和3年通信利用動向調査レポートによると、SaaSを利用する企業は増加傾向にあり、約7割の企業がSaaSを利用しているとのことです。また、SaaSを利用している企業の約9割は、SaaS導入によって「効果があった」とも回答しています。

世界的なSaaSの市場規模は、現在1,400億ドルを超えており、このまま市場が成長し続けるとすると、2022年から2030年までは年間で約19%ずつ成長すると予想されています。このように、海外の市場動向を見ても分かる通り、SaaS業界は国内だけでなく世界的に市場規模を拡大しているといえるでしょう。

【最新】国内外のSaaS市場規模・トレンドを徹底解説!成長する要因とは? | ビズクロ

以下は私が働いてきた2社での話ですが、SaaS企業で働くことで得られる経験はビジネスパーソンとしても非常に実になってきたと感じています。

他部署と協力し合える

BtoB SaaSを提供する事業会社の組織構造はThe Modelと呼ばれています。

業務の効率化と顧客満足を実現するThe Model(ザ・モデル)は、優れた顧客体験を一貫して提供するために、セールスフォース・ジャパンが活用してきた営業プロセスモデルのひとつであり、分業化・連携・可視化などの特徴やメリットがある。

「The Model」(ザ・モデル)とは?概念と実践をSalesforceが分かりやすく解説 | セールスフォース・ジャパン

概念や定義は一旦置いておくとして、SaaS企業の組織モデルで働く中でこの「他部署と協力すること」は事業を成長させ、顧客に価値を届けるためにどの部署においても重要なことだと感じています。

この協力体制を密に構築し、うまくバトンを繋いでいくように仕事ができた時に初めてお客さんに対しての最大価値を提供することができます。そのために、開発は営業資料やお客さんからの要望に目を通したり、反対にリリース予定の機能の開発の進捗状況などを逐一共有し、期待値調整をすることが非常に大事だったりします。

組織全体としてオープンに協力し合い「製販一体」が実現できた時は働いていても気持ちがいいです。部署として違う目標を追う以上、摩擦が起きてしまうことも時にはあるのですが、目指すゴールを共有することでそれを乗り越える、ということをいつも心に宿して忘れないようにしています。

越境した知識や経験を獲得できる

オープンな協力体制が敷かれていることが前提となりますが、他部署と関わることでビジネス的な視座も自然と得られるようになると感じています。例えばMRRARRなどの売り上げに関する用語やアップセルクロスセルなどの顧客の単価を向上させるための営業手法についての話題なども日常的に出てきます。

時には、開発担当者が営業と一緒にクライアントとの商談に同席したり、カスタマーサクセスからの改善要望をリリース前にテストしたりすることもあります。デザイナーである私にとって、そういった経験は書籍などからは学べない知識や経験として血肉になっています。

BtoB + SaaS + Designer の仕事の魅力

最後にBtoBのSaaSのデザイナーである私がどんな感じで仕事をしているのかと、その中で魅力に感じている点をお伝えいたします。

他業界のデザイナーと仲良くできる

これは、最近よくデザイナーの交流会やイベントなどに参加して思うことなのですが、BtoBのデザイナーは"ピュア"に他業界のデザイナーの方と仲良くできるのではないか、と気づきました。

それにはこのような理由があるのではないか?と考えました。

  1. API連携やデザインシステムなどで会社を超えて"共創"するエコシステムがあるから

  2. ビジネスモデルがプライベート時間の可処分時間を奪い合うわけではないから

  3. 「業界の非効率や負の業務慣習を解消する」という本質的なビジョンは同じであるから

BtoBのSaaSプロダクトは大きく2つのカテゴリーに分類することができます。それが、

  • ホリゾンタル(=水平型)SaaS

  • バーティカル(=垂直型)SaaS

という導入される業界のカテゴリー構造を表した呼び名です。

私は両方のSaaSに関わっていたのですが、①の連携については特にホリゾンタルSaaS領域ではかなり進んでおりました。それぞれの製品で得意な領域のデータ管理機能を連携したり、事業提携などでアライアンスを強化する企業などもありました。また、コンポーネントライブラリやデザインシステムを公開し、構築のノウハウをLTイベントなどで意見交換することにも積極的な文化があります。

②についてはある飲み会でちょっと話題にのぼったのですが、BtoCのアプリだと「限られたプライベートの可処分時間」を奪い合っているので業界が違っても実は競合だとも捉えられます。例えば「ソーシャルゲームと動画配信サービス」や「フードデリバリーとレシピアプリ」も同じ1〜2時間を消費するという意味では競合アプリであると言えると思います。(かと言って仲が悪いことはないと思いますが…笑)

BtoBでも業界内のシェアを奪い合う宿命にはあるので完全に友好関係とも言い難いですが、①で述べた連携や共創の文化もあるくらいには業界を通してデザイナー同士は仲を深められる機会が多いと感じています。

SNSで募られる「#SaaSデザイナー飲み」なども不定期で開催されており、実際に同業他社のみなさんと話をしてみると、どの会社でも共感できるような悩みだったり、課題があったりですぐに意気投合できちゃいます👍

気になる人は是非Xを覗いて参加してみてください。
(→次回は11/15(水)開催!

そうやって深い話をしていくと③「業界の非効率や負の業務慣習を解消する」という命題のようなものはどの会社で働く方も持っていることに気づくと思います。BtoB SaaSをデザインすることは一見すると地味なように見えて、実は「結構エモい」ことだなぁと私個人は最近日々強く感じております…

デザインの言語化能力を鍛えられる

これはやや副次的なメリットかも知れません。先に述べたようにBtoB SaaS デザイナーは社内・社外問わず、結構専門領域の異なる方とコミュニケーションを取る機会が多いです。そのため、自分のデザインを専門ではない相手に説明する力や言語化してドキュメントをまとめる力が鍛えられます。

さらには、ユーザーであるお客さんもまた自分よりもその業界について詳しいプロフェッショナルであるため、課題に対するソリューションを設計するためにもユースケースや現場で起こっている本質的な課題の解像度を高めて議論する必要があります。そのために要件定義書やデザインを叩き台として仮説と検証を繰り返し、時にはプロトタイプを用いてユーザーリサーチを実施し、実際のプロダクトの機能として実現するまで粘り強く検討を続ける必要があるのです。

日本(ひいては世界)のイノベーションに貢献できる

ここまで書いてきて、BtoBの仕事の魅力をこれでもか!と言語化して伝えられたと思うのですが、最終的には結構感覚的なところに帰着します。

それは「ロマン」です!

BtoB SaaSで働くことは日本や世界でそれまで常識とされてきたことを塗り替えるようなビジネスをデザインすることに携われます。それは大航海時代に船を出し、大海原を仲間と越えていき「ひとつなぎの大秘宝」を手にし世界をひっくり返す大冒険のようにロマン溢れる瞬間に溢れています。
(マジで分っちゃいました。)

日本のBtoB SaaSの鬨の声は上がり始めたばかりです!

最近ではBtoB SaaSの大型のイベントが定期的に開催されるようになるくらい、盛り上がりと熱量を高めています。このnoteを読んでくれた方の中から10年後、20年後の世界をBtoBの領域からより良くしたいという想いを持ってくれる人が増えることを祈っております。

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