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大前研一 日本の論点2023-2024①:2050年のカーボンニュートラルに向け、日本は省エネ・低炭素で対応。EV化には「とぼける」について…

読書ノート(82日目)
さて、本日からこちらの本を
紹介していきます。

本書は大前研一さんがプレジデント誌で
連載している「日本のカラクリ」の1年分の
原稿を書籍化したものです。

本書の目次を見る限り
日本編で12章、海外編で10章と
合計22章にわたって
大前さんの考えが掲載されています。

さて、この読書ノートでは
先日までの「BCGが読む経営の論点2023」で
紹介したテーマと重複するテーマを
あえて選んでみようと思っています。

※東大読書で紹介した
 似ているけどちょっと違う2冊を読む
 「検証読み」をやってみます

具体的には、以下の4つのテーマについて
・2050年のカーボンニュートラル目標
・リスキリング革命
・MaaS革命の勝者はEVメーカーではなく、〇〇企業
・アメリカ・テック企業のうち
 「リアル」と「サイバー」の覇者は誰だ

大前さんとBCGの視点とを比べて
紹介できたらと考えています。

■2050年カーボンニュートラル達成は無理
 現実的な「日本モデル」で臨め

・2021年10月のCOP26で120以上の国と地域が
 2050年までにカーボンニュートラルを達成することに合意
・インドと中国は2060年達成を目標としている。
・大前さんの視点
 「各国のリーダーは30年後には全員が入れ替わっており、
  責任を追及されない目標は信用できない」

・温暖化で心配されることの一つに海面の上昇がある。
 何も対策しなければ今世紀中に2メートルほど上昇するとの予測
・国土の焼く27%が海面下のオランダは、土木工事・浚渫工事の
 技術が高く、ドバイからの受注も多い
・大前さんの視点
 「各国の政治家は、心の中でオランダの技術に期待しているだろう。
  カーボンニュートラルを達成するよりも、海面が2メートル
  高くなった場合の防衛策を準備する方が安くつくと分かってるはず」

・日本の「脱炭素」は省エネで進める
・COP26で、2035年までに主要市場で、2040年までに全世界で販売する
 新車は全てCO2を出さないゼロエミッション車にすると共同声明を出した
・しかし、新車が全てEVになっても、それ以前に販売した
 ガソリン車などは30年くらいは走り続ける。
 全国や全世界のガソリンスタンドは無くせない。
 また、ガソリンスタンドは暖房用の灯油の供給地点。
・脱炭素の話には、全国で必要とされる灯油やプロパンガスへの
 具体的な対策がない。

・日本の一人あたりエネルギー消費量は世界トップクラスで少ないのは
 省エネのおかげであり、日本の脱炭素は省エネで進めるのが一番
・電気の省エネ促進では、商業施設・工場・家庭で改善点はいくつもある。
・商業施設では、コンビニやスーパーのショーケースの電力消費が大きい。 
 外気温が低い時に冷えすぎるなどのムダがあり、センサーによって
 解決できるはず。現在より2倍ほど効率が良いコンデンサの開発の
 見通しが立っており、コンデンサを交換するだけで
 エアコンやショーケースの電力消費はかなり減るはず
・工場ではモーターの電力消費が大きいが、
 効率が2倍ほどになる製品が開発されている。
 格段に効率が高いコンデンサとモーターの開発は超重要課題。
 政府は補助金を出して完成を早めるべき
・ビルやマンションのエレベーターでは電力消費の激しい高速エレベータを
 禁止しスピードを遅くすることで省エネ効果が大きくなる
・日本の家屋は熱の漏れが大きく冷暖房の効率が悪い。
 特に窓ガラスから逃げる熱が多いので、ドイツで普及している
 遮熱フィルムを貼ることで、エアコンの消費電力は半分ほどになるはず
・店舗・工場・糧の証明を全てLED化するのも効果が高い。
 LEDへの交換に補助金を出し普及を促進する
・日本は人口減少も進んでいるため、
 国全体のエネルギー消費は減らしやすい
 さらに省エネ技術で一人あたりエネルギー消費量とCO2排出量を減らせば
 間違いなく世界の優等生になる
 たとえカーボンニュートラルが達成できなくても、
 文句を言われる筋合いはない

・問題が残るとしたら自動車とトラック
・大前さんが政治家なら…ここは”とぼける”
 つまり、できるだけ長くハイブリッドカーでいく。
日本のハイブリッド技術はずば抜けている
・プラグインで充電するタイプでも、半分くらいは化石燃料で
 発電した電気を使うならば、CO2を出す発電所を使うという点では、
 完全EV化でも、ガソリンを燃やすハイブリッドカーでも同じ
・途上国にはこの「日本モデル」を日本の負担で提供しても良い。
 2040年くらいになれば省エネとハイブリッドの技術で世界に貢献し、
 日本は低炭素の優等生として世界から尊敬を集めるはず

さて、「BCGが読む経営の論点2023」では
カーボンニュートラルをいかに達成するか
について、例えばエネルギーの視点では
グリーン燃料と原子力への期待が高まっている
とのことでした。

・5つのクリーンエネルギーとは…
 ①再生可能エネルギー発電(太陽光、風力など)
 ①(および⑤原子力など)を基にしたグリーン燃料
  (水素、アンモニアなど)
 計算上実質ゼロになるカーボンニュートラル燃料(バイオマスなど)
 一定程度CO2排出はあるが従来エネルギーよりも良いとみられる
  トランジション燃料(LNGなど)
 ⑤原子力

・①は十分な量/価格の供給が難しく、②~⑤でどう賄うかが重要
 ③は大きな量が期待できない、
 ④は昨今のロシア・ウクライナ情勢から安定供給に疑問がある
・結論として、②グリーン燃料と⑤原子力に対する期待が高まっている

「BCGが読む経営の論点2023」

大前さんの視点は、2050年の
カーボンニュートラル達成は無理として
いかに省エネで世界に貢献するか。
脱炭素ではなく、低炭素を目指す
という点がユニークで興味深かったです

カーボンニュートラルを達成すべき
という問いに答えるのではなく、
現実的な落としどころと、
他国からの見られ方やポジショニングを
考えると、大前さんの低炭素の提案も
妙に納得してしまいました。

ここ最近、日本はオワコンだと
言われるニュースが多いなか
日本は省エネ先進国だ」として
強みを活かして世界に貢献するという
考えは前向きで取組みやすそうです。

個人的なツボは
自動車のEV化が迫られるなか
できるだけ長くハイブリッドカーで
いくために「とぼける」という提案。

自動車メーカーが表立って
この発言はできないと思いますが…

EV化が本当にエコで絶対解なのか?
という議論がまだ続いている中では
ハイブリッドカーの選択肢もギリギリまで
残しておく、というのは戦略的な考え方
なのだと感じました。

次はこれからの時代の必須スキル
「プログラミング思考」と「構想力」
について紹介しようと思います。

それではまた-!😉

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