見出し画像

(3) 火星探索に必要なトレーニングとは?


 PB Burma社 とラオスのPB Air社 の技術者達がカラカスへやってきた。中南米の自衛隊の兵器の、自衛隊補修部隊が対応できない修理や改修作業をカラカスで行なうためだ。
ゆくゆくはベネズエラ人を採用して、ベネズエラでもビルマとラオスのように各国の兵器改修・修理を可能とするのが狙いでもある。
また、プルシアンブルー社は、火星探査に向けた取り組みも始めている。ビルマ、ベトナム・ウクライナの資源国には、資源エネルギー担当の技術者達が居る。今回、あるプロジェクトの為に、その担当者達もベネズエラ入りしてくれた。

産油国で有りながらベネズエラ産の石油は油質に問題があり、採取した原油から、実用可能な石油に精製する為の生産コストが極めて高い話は、以前も述べた。しかし、この話は地球上に限った話ではなく、火星や月でも十分に考えられる。空気が薄ければ物質は「酸化」しにくくなる。故に下手に地球へ持ち帰って「酸化」鉄にせずに、宇宙空間で純度の高い鉄のまま加工し、利用した方がいいと言われている。

惑星や衛星に仮に石油があったとして(仮に火星で石油が見つかったなら、石油はどうやって出来たのか論争と、火星変遷論争が一斉に始まるだろう)星に埋蔵されていた石油が、サウジアラビアの原油のように室の良い安価なものかどうかは、掘ってみなければ分からない。ひょっとしたらベネズエラのように化合物が混じり合った石油かもしれない。そう考えると、どんな原油が湧き上がったとしても「現地で使えるように出来る」のが望ましい。
AIとスーパーコンピューターがベネズエラ産の石油を分析して、サウジアラビア並の石油にするための手段を見出した。ベネズエラ産の「オリノコタール」は地球上の石油で最も質が悪い。つまり、この最悪な油から余分な成分が簡単に除去出来れば、様々な惑星でこのクラスの石油にカチ合ったとしても、どんと来いと言うことになる。
基礎研究所の研究者達が、そんな特殊フィルターを開発してくれたという。
通常だとナフサを触媒にして精製するのだが、それと同じ効果が得られるはずだ、と言う。

これは余談だが、このナフサがベネズエラには無い。アメリカの経済制裁でナフサが輸入出来ずに石油の生産が出来無かった経緯がある。つまり、経済制裁すれば、瞬時にベネズエラは無資源国と同じとなる。この戦術を食らって、アメリカはチャベスの息の根を止めた。
要は、ベネズエラをコントロールするには経済政策してナフサがベネズエラに入らないようにすれば終わりだと知っている。その抜け穴を予め作っておけばいざという時に安心という話だ。これぞ国家防衛戦略には必須の考え方だ。アメリカが今回経済制裁を掛けてメキシコとブラジルの取引を中止に追い込んだが、ベネズエラに石油を輸出させないという意味合いもあったのだろう。それ故に、輪をかけたようなモリの怒りのループ現象を生み出した。

プルシアンブルーの研究者のアイディアはアメリカのシェールオイルの逆パターンとなる。特殊な薬品の入ったフィルターを経由して余分な成分を排出しながら、質の良い石油だけを組み上げるバキュームフィルターを開発した。シェールオイルは、サンドオイルに薬品を噴出しながら石油を取り出す技術だ。これが後々で環境問題となるだろうと指摘されている。プルシアンブルーのバキューム装置は逆に吸い上げるので、環境に優しく、且つ宇宙空間でも使いやすい。吸い上げる為の電力は水素発電モーターで使いたい放題だ。

ベネズエラ・オリノコ川流域の油田を訪れたPB Burmaの技術者たちはこのバキューム装置で原油の吸い上げをテストしてきてくれた。そしてこの日、記念すべき革命が起こった。サウジアラビア以上の良質な原油の摘出に成功した。これで初めて、世界一の埋蔵量を誇る国が誕生した。プルシアンブルー社の社員達はこのバキューム装置をいそいそとヘリに積み込むと、カラカスに帰ってきた。そして、3セット奉納してくれた。国宝に匹敵する神器だ。必要であればまた製造してくれるという。

今はベネズエラの石油が生産可能になったと世間に公表すべきタイミングではない。石油の値段が安い時は買った方が得だ。石油の値段がもし高くなったら、売ればいい。それが商人の鉄則だった。
ベネズエラの全ての地下資源は大統領によって押さえられている。ベネズエラは、まだまだ問題を抱えた国家なのだ。閣僚もおらず議員も居ないと、忙しい反面、嬉しい秘密ばかりが増えてゆく。
「貧しく、そして病める悲劇の国、ベネズエラ」このイメージで走り続けてゆく。

これで、日本はこの国を決して手放しはしない。暫く、誰にも言わずに伏せておく。「ベネズエラの石油は今の安い石油価格では採算に合わない」と思わせて置くのが懸命だ。何れ、潮目が変わる。その時までそっとしておけばいい。今では石油精製施設が出来、ボリビアから原油を買い入れていた。今の少ない人口ではガソリン消費が大半を占め、他の用途以外では浴室、トイレ用ウォシュレット、冷蔵庫、エアコン、テレビ、半導体、生活用品位で、ケミカル品の生産も限られている。然程の石油はまだ必要ではない。今後、製造が拡大すれば必要になるだろうが、距離的な問題でコロンビア、エクアドルの隣国から買った方が輸送コストは安い。いずれはこれらの国から安く買い入れ、その分の工業製品を販売すればいいと考えていた。相手には 「折角の産油国なのに、石油の質が悪いばっかりに大変ですね」と思い込ませておけばいい。石油と食料欲しさに、工業製品を売るしか手段がないのだろうと、憐れみを感じてくれるのがベストだった。
「所詮、資源の乏しい日本人が考えるような発想だ。日本と全く同じコンセプトではないか」こう勘違いしてくれるのが、望外の喜びとなる。

ーーーー

経済の拡大基調に合わせて、この石油がモノになった事で力を得た。ここで資源戦略のカモフラージュに欠かせない一手を講じることにした。
ベネズエラ・ボリバル共和国はOPEC(石油輸出国機構)脱退を表明した。

「我が国が石油の産出を止めてから、もう何年にもなります。石油価格が安いまま上昇しそうもないと判断し、不採算事業として石油事業から撤退し、既に施設は閉鎖しております。よって、OPECに所属している必要もありませんので、脱退致します。承認の程、宜しくお願い致します」

産油国には衝撃だったろうし、まさか、国際協調を掲げていた元国連事務総長が言うとは思わなかっただろう。それだけ、ベネズエラは大変なのだろうと人々は勘違いし、同情票を集め・・ている筈だ。

ーーーー

テスト採掘した石油が、トレーラー車換算で10台分となった。自然環境にあるタンクの中にいつまでも貯蔵していくわけにもいかないので、エネルギー庁で今は水素発電や水素ステーションに携わっている、元々の油田管理担当者に回収してもらい、市場に流通して貰った。オリノコ川の石油だと知っているので担当者達は驚いたらしい。採掘した石油が入っているタンクから、オリノコ川を遡上した小型石油船に移し替える作業中、澄んだ石油が流れたそうだ。混じりっけがないのでサラサラとガソリンのように注ぎ込んだらしい。一体、何が起こったのか訳が分からないと電話で言っていた。
何人で作業に向かったか聞くと3人だと言う。

「少し、科学的な採掘をテストしてみたんだ。とは言っても、あの状態にするまでの費用は残念ながらかなりなものだった。まだ実用段階では無いのだが、いずれ技術が進歩して価格が下がれば可能になるかもしれない程度の代物だ。いや、イレギュラーな対応させてしまって申し訳なかった。ところで、臨時手当を送るので3人の名前を教えてくれないだろうか」

他言無用で願います、と伝えて電話を切ると、エネルギー庁の3人をソートして、月給の半分の相当額を3人の口座に送金した。

そんな石油を使って、娘のあゆみがケミカル・ナイロン素材の開発に取り組んでいた。父親がアウトドア服ばかりなので、こっそりAIと作業していたらしい。ゴアテックスを上回る素材の開発に成功したという。ゴアテックス生地のシャカシャカ感、ゴワゴワ感が薄れて、蒸れない感は2倍向上しながらも、外気はしっかり遮断するという優れものだった。
ゴアテックスは長年使っていると裏生地や表面が剥離を始めるが、この新素材は耐久性が強いのでゴアテックスより長持ちするという。
結局は素材の配分量なのだそうだ。生地自体はゴアテックスよりも高くなる。それはそうだろう。しかし、縫製コスト、デザインコストが掛からないので勝負できてしまうという。
それなら、少しだけ高くしてみようと思った。ゴアテックス製品より安くしてしまうと、ゴアテックスを駆逐しかねないからだ。
素材の名前はお父さんが決めてと娘が嬉しい事を言う。
製造は既成の機械や機器で出来るというので、裁断機や工業用ミシン等をフランス企業に発注した。

繊維メーカーというか、ケミカルメーカーの世界にいつの間にか進出してしまった。これは詐欺だと改めて思った。アウトドアブランド・・結局自分も衣服に携わることになる。

ーーーー

PB Venezuela社のモニター室に居る全員が、同じマウンテンパーカーを着ていた。下がカーキで上と袖がブルーの2トーンのゴアテックス生地のパーカーで左の袖には「Mars Attacks」とプリントされてあり、どこの山ジャンなのだろうと胸を見ると、「Aconcagua」とアンデス山脈最高峰の山の名前が刻まれていた。下はRsのカーキのワークパンツで、足元はRsのスニーカーだった。

モニターに映っている映像は、AIロボットがオリノコ川流域の未開地を、生えそろった草を踏み倒しながら分け入っている映像だった。ロボットの目の視点で映像は映し出されていた。キャタピラ走行中に途中で穴にハマって横に倒れてしまうと、他の2体のロボットが助け起こしていた。実際に自分達が森林に分け入っているような、冒険体験をしているような感覚になる映像だった。後で編集投稿されたものを見ると、子供の頃にテレビで見た、川X浩 探検隊を思い出した。アレより興奮したかもしれない。

川を小型船で遡上して、上陸ポイントでは大きなテントが張られ、そこでもモニターを並べてロボットたちの進行を見守っていた。先のオリノコ川流域の油田調査をした、PB Burmaの技術者達も加わっていた。彼らはビルマの油田やガス田を担当している技術者でもある。今回のこの調査の帯同も任務の一つだった。

AIロボット調査隊のサポート班のあゆみと彩乃は、首都カラカス市のモニター室に居る玲子と杏と同じ山ジャンを羽織り、下は登山用のワークパンツとトレッキングシューズを履いていた。イギリス人やウクライナ人には暑いのか、上着を脱いで真っ青のTシャツ1枚になっていた。背中には白抜きで「Mars Attack!」とプリントされていた。
東京で眠い目を擦りながら、オリノコ川流域の調査活動を見ていたサミアは、いつの間にユニフォーム作ったのよ? 私もあのウエア貰えるのよね?と思いながら見ていた。

「Attention!」地面に定期的にソナーのように電波を発する役割を担うAIが反応した。
調査隊の行動が止まった。地中に何かを見つけたらしい。別のAIロボットが自分の腕を地面に置いて、浮き上がるとドシンと落ちた。それを一定間隔で繰り返す。重量が100キロあるロボットで「ラオウ」と呼ばれていた。ラオウが起こした振動波の「揺らぎ」をソナー担当のロボットが照射して測定する。「もういい止めて」と言うと、ラオウが動きを止めた。
解析結果の数値を見たPB Burmaの資源担当の技術者がガッツポーズして叫んだ。この数値は間違いなく「アレ」だった。「オリノコタールの油性を確認しました。はっきりした量は分かりませんが、この流域で最大級の埋蔵量の可能性があります!」
そう報告が来ると、この映像をライブで視聴していた、全世界のプルシアンブルー社員が沸き返った。「ヒャッホー!最高!」サミアが叫ぶと、カーペットの上で寝込んでいたゴードンが飛び起きた。

ーーーー

執務室に杏が入ってくると、後ろから抱きついてきた。
「どうしたのさ・・」

「大発見。新しい大油田が見つかりましたよ、大統領閣下」そう耳元で囁く。思わず股間が熱くなる。

「そ、そうなんだ。凄いね・・」

「これって、公表しちゃいけないんですよね?」

「あ、あぁ そうだね。輸出は出来ないからね」待てよ、オリノコタールじゃなかったら・・

「ポイントは抑えておいて、後日、資源探査チームを派遣するそうです」

「ああ、引き続きお願いします・・」

「じゃ今夜。またね、大統領さん・・」
そういって女狐は部屋を出ていった。

この油田発見の箇所はカットされたが、全体5時間の行程を30分ほどの動画に編集されて公開された。新種の植物を2種発見し、やはり未確認の昆虫を4種、そして肌色の蛇を捕獲した。植物学者も昆虫学者も動物学者も沸き立った。このチームが欲しいと彼らも素直に思った。そして、富士山麓樹海探検、知床半島探検に続く、第3次探検、「オリノコ川流域の未開地へ挑む」で、プルシアンブルー社の社員が着ているユニフォームの検索が始まった。何と「Coming soon」と「Rs」のHPに表示された。アウトドア用品の「Aconcagua」は、こうしてPRされ、世に出た。

各国の宇宙研究に携わるNASAやJAXAなどに属する人々は、富士山麓と釧路半島での探索に引き続き、今回もプルシアンブルー社のAIロボットの役割と、その能力に驚いていた。
ジャングルをここまで自走して分け入る能力も凄いが、AIだけに植物学者と動物学者の知性も兼ね備えているばかりか、ハンティング能力も極めて高く、俊敏だった。人の反応を遥かに超えていた。「新種!」と判定したら、もう網を投擲して捕獲していた。
一方で植物採取は慌てずに、様々な角度から映像に収めてから回収作業に入っていった。完全にプラントハンターの領域にいた。普通のロボットだったら、引き千切って終わりだろう。

熱帯雨林といってもオリノコ川流域は高い木はないものの。それでも人間ではとても手が届かない場所もお構い無しで、足が伸縮して3mにもなり、それ以外の高さではブーメランを投げて見事に刈り取った。そしてそのブーメランがちゃんと手元に帰ってくるのである。とんでもないコントロールと投擲能力だった。

このチームがもし火星に行ったなら・・誰もが簡単に予想が出来た。再び各国からプルシアンブルー社宛に、次々と出資金が集まっていた。その出資金の金額を問わず、各国の国旗がシャトルにプリントされる。JAXAは1次隊ミッションが終わってから、台湾科学技術省の次の2週間、この火星探査チームのAIロボットを自由に利用することが出来る。その2週間で何をするか、今日のAIロボットの能力を元に協議を重ねていた。ちなみにNASAは着陸して1年以上経った、203番目の枠となっていた。
どのチームが火星上で何をやるかは全て自由だが、203番目の役割はおそらく何も残っていないだろう。

「Mars Attacks」第4次テストは「アンデス山脈、ベネズエラ最高峰ボナバル山5004mへ挑む! 乞うご期待」だそうだ。なんと、彼らは登山まで出来るらしい。

ーーーー

Mars Attacksプロジェクトのユニフォームにもなった、アウトドア服の「Aconcagua」がRsの店頭の片隅で販売を始めた。AIロボットの活躍に便乗した格好だが、自分が一番着用率が高い服がこのカテゴリーだ。あゆみとAIが開発した新素材「Ayumix」はゴアテックスの機能を全て上回っていた。伸縮性が若干あるというのが凄いと思う。どうしても登山中は両肘が引っ張られるし、歩行中両手を振る際にシャカシャカする。機能的な素材だが、音がするから猟師さんにはどうかと思うし、極北アドベンチャーでシロクマがいる所で大丈夫なのかとも思っていた。そんな話を昔、娘にしたのかもしれない。
この新素材の登山ウエアによって、狩猟、サバイバル、南極探索などのアドベンチャーに貢献が出来るかもしれない。これをゴアテックス商品よりも、少しだけ高い値段にして提供する。ひょっとすると、アウトドアブランドの業界も更に進歩するかもしれない。

自分の欲しい服やアウトドアグッズをこれからも作ろうと思う。娘に取られた格好のRsが、少し若者寄りになってしまっていることもある。ここで新素材を使った、年配向けのウエアを考えてもいいかもしれないと考えていた。軽くて暖かく、撥水機能があって、しかも蒸れないレインコートや、シャカシャカ音のしないウォーキング、ランニング用の上着等に。

ーーーー

PB Burmaの資源チームとAIロボットのチームは、ボリビア・ウユニ塩湖の傍で試掘調査をしていた、プルシアンブルー社とボリビア エネルギー省のチームに合流した。
合流して4日目でリチウムの堆積層を見つけ出した。試掘方法を決めると1発で掘出しに成功したという。固い岩盤層の下にあったのだが、ビルマで使った事のある特性のドリルを使って、乗り切ったという。AIロボットの資源探査能力は高く評価された。再び探り当てる大金星を起こしたのだから。

このリチウム大鉱脈発見は両国政府によって伏せられた。EV社やモバイル機器に使われている固体電池は、かつてのリチウム電池を積層・固体化したものだ。液漏れしないし、寒冷地でも出力が落ちない。この原料の主要な産地が中国というのが厄介で、当然ながら高く売る。EV車に電池を多く積めば、航続距離も伸びるが原価も高くなる。故にEV車の大型車は値が高くなる。

石油と一緒だ。ボリビアで大鉱脈が見つかったと聞けば、一斉に靡いてくる。値段も安くなるかもしれない。しかし、枯渇しないように少しづつ採掘すれば、いつの日か政治的なカードに変わるかもしれない。

ボリビアが議長国でベネズエラが加入国という2カ国だけの組織がある。組織の名は南米諸国連合という。他の南米各国はアメリカの破壊工作によって脱退してしまった。
そんな絡みもあって、南米での一番の友好国同士でもある。チャベスとモラレスのパートナーシップが未だに続いていた。そのお陰でボリビア政府から採掘の支援要請をプルシアンブルーが受けた経緯がある。
ボリビアの貴重な資産として、自衛隊が監視・警備し、ベネズエラで建設予定のリチウム電池工場向けに提供される。電池の販売益をプルシアンブルー社とボリビア政府で折半する契約となっていた。

その連絡を現地に居る資源探査チームから貰い、大きくガッツポーズをした。油田以上に嬉しかった。これで、世界の電池はリチウム固体電池が標準となる時代が暫く続くだろう。
電話を切ると、カラカスの基地にいる司令に電話して、ボリビア・ウユニに向かって欲しいと要請した。

ーーーー

「自衛隊機がボリビア方面へ南下していきます。
纏まった編隊です。戦闘機7機、大型輸送機3機の構成となります!」

コロンビアにある米軍基地のレーダーが自衛隊の南下を捉えていた。友好国ボリビアと自衛隊の契約でもしたのだろうと想像した。こうして、自衛隊も各国に展開すれば駐留経費も馬鹿になるまい。日本はこの先大丈夫なのだろうか・・そのように米軍が思うのも当然だった。コロンビアの駐留経費をアメリカ政府は負担できるのか?と逆に勘ぐってしまう。

確かに日本の軍事費は限られている。故に日本が全額を負担するのは不可能だ。そこで幾つかのパターンがある。
例えばビルマ、タイの軍隊は自衛隊へ代わった。ビルマ人、タイ人自衛官の人件費である給料は、両国政府が負担する。武器や兵器は自衛隊管轄となり、両国の軍事費と負担は減る。ビルマ人、タイ人の日々の食費、移動手当、医療費等は日本が負担する。

キューバ、ハイチの場合は、両国の軍は規模が小さいながらも存続し、自衛隊の指揮下に組み込まれる。元々、モリがベネズエラに来る際に、軍事費は「全額国連負担」となっている。
つまり、自衛隊が中南米どの国に駐屯したとしても国連の費用となる。  事実、2つの空母打撃群の費用請求は毎月国連へ送っている。現事務総長が出来なかった事をやるのだから、当然だった。しかも、こちらは国連の予算枠を熟知している。
もし、中南米全てにサービス展開するとなると、今の構成では足りない。最低でも追加の空母打撃群一つが必要となる。追加の分だけベネズエラが負担すればいいとモリは考えていた。

故に、アメリカよ、コロンビアの滞在費用は大丈夫?と逆に心配している。

(つづく)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?