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かけ放題プランなんてなかった時代。名札に10円玉入れてましたか?

こんにちは。

以前にも書いたのですが、能登半島地震の発生後、子どもと家から近い公衆電話の場所を確認しました。もしもの時に必要なことだと思ったので。

先日、職場の近くにあった公衆電話が撤去され、どんどん減らして大丈夫かなぁと思っていたところ……。

小学館さんがやってくれました!!

「幼稚園」4・5月号の付録がすごい。各幼年誌・学習誌が休刊に追い込まれていく中で、この雑誌の付録は度々話題になっていますね。

しかも今、公衆電話だなんて。チョイスも素晴らしい。子ども達は使用方法も知らないでしょうし、そもそも「テレカって何?」みたいな(笑)

ありったけのコインを握りしめて故郷に電話、電話ボックス内に貼ってある怪しげなピンクチラシ、ポケベルを打つためにできた行列などなど。昭和・平成世代には思い出があると思います。

今の子ども達は、受話器を取らずにお金を入れ、そのままチャリンと取り出し口にお金が落ちてきて「使えないよ」となりがちです。あとプッシュボタンを押す力加減がわからなかったりもしますね。ぜひ親子で練習してくださいね。


というわけで今回は、中学入試問題頻出作家さんの作品から見つけた「お金に関することば」で小学生が「何それ?」って思うものを紹介しますね。


まずは麻布中にも出題歴がある「霞町物語(浅田次郎)」より

そんな祖父の言葉が少しものろけに聞こえなかったのは、子供の目から見ても祖母が掛け値なしに美しい人だったからだろう。

出典「霞町物語」浅田次郎(講談社文庫)

「掛け値なし」です。誇張がなく正味の評価であることを表します。「掛け値」とは商品に実際よりも高くつけられた値段のことです。つまり、祖母が誇張ではなく見たままに美しかったということです。

また「ツバキ文具店(小川糸)」の以下の部分でも出てきます。

そう思うと、掛け値のないQPちゃんの優しさに再び心が反応する。

出典「ツバキ文具店」小川糸(幻冬舎文庫)

ここでも誇張がなく「見たままのやさしさ」という意味で用いられています。

「盛ってない」とも言えるかも。

そもそも「掛け」ということばが小学生には馴染みがないですね。
星光学院中にも出題歴のある「四万十川(笹山久三)」より

店を始めたころは「無一文」というにふさわしい状態で、売る品物全部を、「掛け」で仕入れた。

出典「四万十川 第1部」笹山久三(河出文庫文藝COLLECTION)

「掛けで仕入れる」とは、商品の代金は後日支払う約束をして購入することで、いわゆる「ツケ」と呼ばれるものです。


続きまして「海峡【海峡 幼年篇】(伊集院静)」より

まあ見てなって、俺はライオンズにしこたま張り込んでんだから。

出典「海峡【海峡 幼年篇】」伊集院静(新潮文庫)

「張り込む」です。意味は「思い切ってお金を使うこと」です。類語は「奮発する」。上記の文の「張り込む」は、試合の勝敗に「張り込む」というわけでギャンブル、つまり野球賭博とも考えられます。

小学生には本当に「何それ?」でしょうね。作品の舞台は1960年前後ですので、野球の勝敗をもとにギャンブルすることも日常であったかと。

話題の「ふてほど」ならテロップがでるところ(笑)

それではその他【小学生が「何それ?」って思うことば】第56回「お金に関することば」を紹介させてください。

金は天下の回り物

「お金は常に人の間を巡っているものだから、今は持っていない人のところにもそのうち巡ってくるという」ことわざ。いつか自分のところにも回ってくるので悲観しなくても大丈夫。という励ましの意味がある。

「果報は寝て待て」もおなじようなニュアンスです。

いつまで待てばいいものやら……。


授業料を払う

損失した費用や受けた社会的制裁などを、世の中を学ぶための必要経費のようにたとえたことば。

「授業料が高くついた」などと用いますね。「勉強代」とも言います。


金食い虫

費用ばかりかかって利益を上げないことをののしっていうことば。

「米食い虫」ということばもあるそうです。意味は「飯を食うだけで役に立たないこと」


家計もうるおう

「潤う」の「豊かになる・ゆとりができる」という意味での用い方。「ふところが潤う」などと用いる。

「ボーナスで家計が潤う」「企業の進出で地域が潤う」など、利益や恩恵を受けるという意味で、何かのおかげで豊かになる、ゆとりができるという意味にも用いられます。


ごくつぶし

ろくに働きもせずに、飯だけは一丁前に食っていたずらに食いつぶすような者をののしっていうことば。「穀潰し」と書き、「穀物を潰す」が語源。労働としての農業に協力的でないのに、食べることだけは人一倍の者をさす。

「穀潰し」を「こくつぶし」ではなく「ごくつぶし」と濁らせて発音することからも、そういう者に対する侮蔑が表現されているとのことです。

こわい。



今回、「ツケ」ということばが出てきました。子どもの頃は日常で用いられていたことばです。酒屋さんが近所を回って注文をとり、お酒や醤油を持ってきてくれて、お代は月末に払っていました。

父も近所の飲み屋はツケで飲み、給料日にまとめて支払っていましたね。(昔は現金支給だったので、父が給料日に持って帰ってくる給料袋は帰宅時既に半分くらい減ってるみたいな)

勝手口に商品を「御用聞きさん」が届けてくれる風景ってまだあるんでしょうか。サザエさんの世界の中だけになったのかな。



最後まで読んでいただきありがとうございました。

子どもたちの読書量が豊かになり、家族の会話が増えますように。

次回は「決まり文句に関することば」を書こうと思います。「鬼が出るか蛇が出るか」「開けゴマ」などなど…。

よろしければ前回の記事です。「都会・田舎に関することば」どうぞ!


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