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いつの日か子どもに「都会の絵の具に染まらないで帰って♪」って言う日がくるのかな。

こんにちは昨日の職場での場面です。

受付職員「今、高校3年生ですね」

高校生「はい、4月から有料ですよね」

僕の勤める公共施設は、高校生までは減免利用(無料です)できまして、バンドやダンスの部活動・サークル活動などなど中・高生の子たちが来てくれています。

上記の会話を聞きながら、この子たちももうすぐ卒業なんだなと。

この記事を読んでくださっている方の中にも、進学や就職で家を出る予定のお子さんがいるご家庭があるのでは。絶賛物件探し中ですみたいな。

都会に旅立つお子さんに、寂しさや都会生活への不安を心に秘めている今日この頃でしょうか。

というわけで今回は、中学入試問題頻出作家さんの作品から見つけた「都会・田舎に関することば」で小学生が「何それ?」って思うものを紹介しますね。


まずは「世界がぼくを笑っても(笹生陽子)」より

学校に土がないなんて、思ってもみませんでした。コンクリートジャングルというのは、まさにこのことですね。

出典「世界がぼくを笑っても」笹生陽子(講談社文庫)

「コンクリートジャングル」です。ビルの林立する都会をジャングルに見立てた比喩です。ジャングルという単語に「入り組んで物騒な場所、非情な生存競争の場」という意味もあり、このことばは「人間を疎外する苛酷な世界」の意味で用いられます。

なんとなく人情味の薄い都会の風景が思い浮かびますね。「アスファルトジャングル」ということもありますよ。



続いて「ブラバン(津原泰水)」より

「私は欲しくもなかったけど、姉はクリスタル族を自認してたから」

出典「ブラバン」津原泰水(新潮文庫)

「クリスタル族」です。田中康夫氏の小説「なんとなく、クリスタル」に登場する若者たちのライフスタイルをとらえたことばで、都市部の大学に通う女子大生全般を示すことばとして流行しました。「なんクリ族」とも言われます。一流ブランドのファッションを身にまとう消費文化を感じます。

このことばを聞くと当時の川島なお美さんを思い出します。

奈良の田舎在住の僕は、「クリスタル族」も「竹の子族」も「カラス族」もすべて東京に生息しているもんだと思っていました(笑)

こっちには暴走族ぐらいしか……。



それではその他【小学生が「何それ?」って思うことば】第55回「都会・田舎に関することば」を紹介させてください。

住所に「字」がつく

「ねぇ、このへんって、もしかして住所に『字』とかつくんじゃないの」笹生陽子さんの「楽園のつくりかた」で見つけました。田舎に引っ越してきた主人公のセリフです。

「字」は「あざ」と読み、市町村内の区画名称の一種です。大字(おおあざ)と小字(こあざ)があり、大字の中の細かい区画を小字と言います。

大字の由来は、明治22年の市制・町村制の施行に伴う市町村合併の際に、消滅することになった江戸時代からの村の地名や区画を、そのまま新しい自治体が引き継いで残したものです。

例えば山田村が田中村に合併されたときに、山田村の表記を残すために「田中村大字山田」という表記にしました。

よく「字」がつくところは田舎だと言われますが、実際は川崎市や名古屋市など都市部でも使っているところがあるそうですよ。


おのぼりさん

都会を見物する目的で田舎からやってきた人をさすことば。都会に出てきて辺りを物珍しそうに見まわしている「田舎者」をからかうことば。地方から京の都や江戸に行くことを「上る」と言っていたことに由来。

現在でも鉄道の「上り線」「下り線」などに使われていますね。類語は「いなかっぺ」です。


ハマ言葉(横浜言葉)

明治初期に、横浜在留の外国人と日本人の使ったことば。日本語化した英語と英語化した日本語とを混ぜて用いた。

1859年の横浜開港によって、「ハマ」と呼ばれる町が始まり、そこで独特の「ハマ言葉」が誕生していきます。「ハイカラ」「ハクライ」「メリケン」などなど、なんかかっこよく感じるんですよね。

僕の中では、赤レンガ倉庫あたりに、柴田恭兵と舘ひろしと浅野温子がいるイメージです(笑)

あと「〇〇じゃん」って語尾に「じゃん」が付く感じです。僕は奈良弁なので「〇〇やん」って「やん」が付きますが。優しい感じと言っていただくとうれしいです……。


場末感(ばすえかん)

郊外や裏通り、中心から離れた所という意味で用いられる。安心感がある、落ち着くなどのイメージで用いられることもあれば、寂しい・落ちぶれたなどのネガティブなイメージで用いられることもある。

「場末感が漂う」となると「寂し気な・貧乏くさい・路地裏・すたれた」といった印象になりますね。「場末のスナック」という言い方もよく聞きます。こちらは本通から離れた、あまりお客のいないような印象になりますでしょうか。


ふるさと創生の一億円

そもそもの発端は、例の「ふるさと創生の一億円」というやつである。という文が宮部みゆきさんの「ステップファザー・ステップ」に出てきます。

1988年から1989年にかけてのふるさと創生事業において、地域振興のために各市町村に1億円を交付する政策が実施されました。

日本一の水車や、日本一のローラーすべり台などなど全国に1億円で作った「日本一」が出現しました。あと1億円の金塊とか……。

今の小学生からすると、ことばよりも1億円の使い道に「何それ?」って言われそうです。

個人的には、今も全国に残存する「ふるさと創生事業で作った物」を見て回りたいなとも思います。



今回のタイトルは太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」です。大学進学で上京した高校の同級生達の話し方が変わっていくことに寂しさを感じた頃もありましたね。

たまに奈良に帰ってくる友達の語尾が「~やんか」ではなく「~だよね」って感じになるんです。

そこは関西人お決まりの「東京に魂売ったな!!」ってセリフで攻撃してました(笑)

もうすぐ卒業シーズン。

大人になってもなんかしんみりするような、くすぐったいような気持ちになりませんか。





最後まで読んでいただきありがとうございました。

子どもたちの読書量が豊かになり、家族の会話が増えますように。

次回は「お金に関することば」を書こうと思います。「掛け値のない」「ごくつぶし」などなど…。

よろしければ前回の記事です。「昭和の行動に関することば」どうぞ!


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