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やっぱり子どもに教えておこうと思った。いざとなったら必要だから!

こんにちは!

近畿の中学受験はひと段落です。

受験を終えた小学生及び保護者の皆様、お疲れ様でした。

これから臨む地域のみなさんもあとひとふんばりですね。


そして2月から新小6クラスになる現小5クラスの皆さん!
先輩たちの姿を見て、そろそろ「いよいよ次は俺だぜ!」という気持ちになってきているのでしょうか。

「なんか親のほうがドキドキしてくるんやけど。」が現実なご家庭も多いのでは(笑)


我が家も息子が新小6です。まだまだアクセルを踏んでくれませんが……。

そんな息子に「やっぱ教えとこ」と思ったことがあります。

それは公衆電話の使い方です。

1月1日に発生した能登地震のニュースを見て思いました。

そもそも、進学塾で授業をしていたときに、子どもたちが「蚊帳」を知らなかったり、ピンク電話の使い方がわからなかったりする姿を見て、『小学生が「何それ?」って思うことば』を拾い集めるようになったのですが、

小学生達は、ピンク電話にとどまらず、もはやテレフォンカードも知りません!

まあ携帯電話があるので、そうなるのも当然なのですが。

ただ災害時においては、公衆電話が頼りになるかもしれません。

僕は、まずは息子と近隣にある公衆電話の場所を確認しました。テレカは僕自身が持っていたので渡しましたが、自分自身も久しぶりに見ました。なんか金閣寺とか観光地バージョンのもの。みなさんも持っているか探してみてください。アイドルのやつなんかが出てきて懐かしいかもです。

使い方は以下のNTTのサイトで練習できますよ。

中学入試問題頻出作家さんの作品にも登場するので紹介しますね。

渋谷教育学園渋谷中・渋谷教育学園幕張中にも出題歴のある「キッドナップ・ツアー(角田光代)」より

人で埋まったテーブルの合間をすり抜けて、白いシャツはレジの前の公衆電話に向かっていく。カードをすべりこませ、受話器を耳にあて、こちらに背を向ける。

出典「キッドナップ・ツアー」角田光代(新潮文庫)

固定電話を保有していないご家庭も増えているので、「受話器」もわからない小学生さんもいると思います。



公衆電話のことを書きましたが、今回は、中学入試問題頻出作家さんの作品から見つけた「昭和の行動に関することば」で小学生が「何それ?」って思うものを紹介しますね。


まずは「ブラバン(津原泰水)」より

台所で先生に出来ることといったら製氷皿から氷を外すくらいだった。

出典「ブラバン」津原泰水(新潮文庫)

「製氷皿」です。自動製氷機付きの冷蔵庫が主流になり、製氷皿がないご家庭も多いと思います。東芝さんが自動製氷機付きの冷蔵庫「かってに氷」を発売したのが1988年(昭和63年)です。多くの小学生は製氷皿から氷を外すことができないのではないでしょうか。

裏向けてトントン叩いたりしそう……。


続いて「リンゴの唄、僕らの出発(佐江衆一)」より

源四郎が新聞紙の鼻紙をポケットから出して、揉んでから勝造の鼻の穴につめこんでやり、うわむかせてぼんのくぼあたりを手刀で軽く叩いた。

出典「リンゴの唄、僕らの出発」佐江衆一(講談社文庫)

「新聞紙の鼻紙」です。ポケットティッシュが普及している現在からすると、「そんなわけないやろ!」と思うかもしれませんね。調べると1963年に山陽スコットさんが初の国産ティッシュペーパーを発売。さらに1968年にポケットティッシュが日本で誕生したそうです。

ティッシュペーパーが出回る前までは、洟(はな)をかむのは「ちり紙」、トイレで使うのは「落とし紙」でした。それより以前の昭和30年代(上記作品の時代)は、洟をかむのもトイレで使うのも新聞紙だったようです。


ちなみに「ぼくは朝日(朝倉かすみ)」には「ちり紙」が登場します。この作品の時代設定は昭和45年頃です。

そういえば「毎度おなじみちり紙交換でございます♪」のスピーカーから流れるアナウンスも聞かなくなりましたね。




それではその他【小学生が「何それ?」って思うことば】第54回「昭和の行動に関することば」を紹介させてください。

陰膳を供える

仏壇に食事を配膳すること。亡くなった方の法事や法要などで行われ、精進落としなどの食事の際に陰膳をお出しする。本来は遠く離れた家族の無事を祈るという意味もあった。現在は故人が安全に極楽浄土へ到着するためのお祈りとしての役割がある。

四十九日が終了したら亡くなった方は仏様になるということで陰膳は終了。それ以降は「お供え」だそうです。仏壇がある家庭は約4割(マンションなどでは約2割というデータも)ということも「陰膳」「お供え」の習慣を知らない要因になっています。

祖父の家の仏間には大きな仏壇があり、ご先祖様の遺影がたくさん並んでいて、ひとりでその部屋に入るのはおっかなかったことを思い出しました。


鉛筆なめなめ

「十一月の扉(高楼方子)」に「手紙を、鉛筆をなめなめ、やっと書きあげた」という表現がありました。確かに、ドラマかなんかでそんなしぐさを見たことあるような気がします。

昔の鉛筆の芯は今よりも質が悪く、鉛筆をなめて芯を湿らせると、書き味がしっとりとして濃く書けることから、ペロっとなめたとのこと。ことばとしての意味は「丁寧に慎重に、考えながら苦労して書くこと」ともうひとつ。

「数字を改ざんし調整すること」という意味も!昔は事務処理もパソコンではなく鉛筆で書いていたので「書類を記入する」という意味に転じ、さらに「書類上の数字を操作する」という意味に派生したらしいです。その意味の類語は「下駄を履かせる」「鯖を読む」です。

「そこは君、鉛筆をなめなめやっといてくれ。君も会社の人間なんだからわかるだろ」みたいな闇の指令がどこかで……。なんて妄想が。


紐の下がった四角い照明

この表現を「水やりはいつも深夜だけど(窪美澄)」の中で見つけて、ふと思ったんです。「我が家に紐の付いた照明がない」と。実家にはいっぱいあったのに。今住んでいるマンションの部屋の照明は、スイッチもしくはリモコン式ばっかり。となると息子は紐付きの照明が点けられないかもです。

1回引っ張ってひとつ消えて、もう1回引っ張ると小さいオレンジの電気になって。引っ張りすぎて紐が切れて怒られたり。

知らず知らずの間に、当たり前だったものが身の回りから姿を消しているんですね。

僕は紐の先にカブトムシを結び付けて下から眺めてましたよ!



今回「落とし紙」も思い出しました。幼少期に過ごしたオンボロ長屋は汲み取り式のトイレで、落とし紙を使っていました。近所のパン屋さんというか「よろず屋」さんにそれを買いにおつかいに行くのが僕の役目でした。

そこのおばちゃんは地域の子どもを全員把握してましたね。

お菓子を買いに行っても、無駄使いをしないように言われました。母が仕事から帰ってこられないときは、そこでお昼ご飯を食べさせてもらったことも。感謝しています。

今の小学生達は、近所の異世代の人と会話する機会もなかなかないですね。
そういう場も必要だと思います。






最後まで読んでいただきありがとうございました。

子どもたちの読書量が豊かになり、家族の会話が増えますように。

次回は「田舎・都会に関することば」を書こうと思います。「コンクリートジャングル」「おのぼりさん」などなど…。

よろしければ前回の記事です。「冬・新春に関することば」どうぞ!


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