見出し画像

お年玉いっぱい!「盆と正月がいっぺんに来たみたいにうれしい」ってこれ誤用!?

こんにちは!

2024年最初のnoteです。

成人式も終わり、小学生達は3学期が始まりました。

松が明けてお正月気分も抜けましたでしょうか。

関西の中学受験生達は13日の入試統一日が間近でお正月気分も味わえなかったかもしれませんね。今まで頑張ってきた子たちが、ぜひ万全な体調で臨めることを願っています。

さて、その「松が明ける」ですが、大きな門松なんかを飾るご家庭も少なくなってきていると思うので、やっぱり小学生には「何それ?」ってなります。

「松があける」を含め、今回は、中学入試問題頻出作家さんの作品から見つけた「新春・冬に関することば」で小学生が「何それ?」って思うものを紹介しますね。


まずは「舟を編む(三浦しをん)」より

年末には退院し、正月は奥さんと家で過ごしたそうだが、松が取れてすぐ再び入院している。

出典「舟を編む」三浦しをん(光文社文庫)

続いて「ともしびマーケット(朝倉かすみ)」より

松はあけたばかりだが、正月の名残はすでにない。ただの冬の夜だった。

出典「ともしびマーケット」朝倉かすみ(講談社文庫)

「松があける」はこんなふうに登場しています。意味は「松の内があけてお正月が終わり、新年の生活に戻ること」で、「松の内」とはお正月にやってくる年神様が滞在している期間です。1月1日から7日までが一般的だそうです。

調べてみて、先祖である年神様は各家々に飾ってある松の枝を頼りに帰ってくるとのことを知りました。

我が家は松を飾ってませんでした……。ご先祖様すいません。


続きまして筑波大学附属駒場中にも出題歴のある「ぼくは朝日(朝倉かすみ)」より

「盆と正月がきたようだね」すごいなあ、と富樫くんは机においていた手を握りしめた。

出典「ぼくは朝日」朝倉かすみ(潮文庫)

「盆と正月がくる」です。「まるで盆と正月がいっぺんに来たようだ」と比喩として用いられる慣用句で、意味は「用事がいくつも重なり、非常に忙しい様子」です。「猫の手も借りたい」なんかが類義語です。

「あれ?思ってたのとちがう」と感じた方もいるのでは。

「うれしいことが重なったときに使ってるけど」みたいな。

上記の「ぼくは朝日」も、主人公の朝日くんが誕生日にプレゼントを貰えたことと、家にカラーテレビがきたことが重なり、とてもうれしくなった場面です。

この用い方は本来は誤用だそうで、「新年を迎える正月はめでたく、お盆を加えるとさらにめでたくなるだろう」という誤解から誤用が広まったようです。

ただ、現在では広く用いられ、手元の現代新国語辞典(三省堂)第五版にも本来の意味に加え、「うれしいことがかさなることのたとえ」とも表記されています。

まぁ、小学生がめっちゃうれしいときに「盆と正月がいっぺんに来たみたいや!」って叫んでいる姿を見かけることはないですが(笑)

子ども達にとっては「お誕生日&クリスマス」の方がうれしいのかも。




それではその他【小学生が「何それ?」って思うことば】第53回「新春・冬に関することば」を紹介させてください。

どんど焼き(どんどん焼き)

飾り終えた門松やしめ縄といった正月飾りを神社などで燃やす、伝統的な火祭り行事のこと。旧暦の新年最初の満月の日にあたる1月15日に行われる。古くなったお守り、お札、書初め、熊手、だるまや人形、のし袋なども燃やすのが一般的。火が落ち着いたタイミングで食べ物を焼いて食べる風習も存在する。

僕の地元の奈良市では1月27日では春日大社で「春日の大とんど」が行われます。関西では「どんど」ではなく「とんど」と呼ぶ所が多いみたいです。


女正月(おんなしょうがつ)

女のための正月。1月15日の小正月とされる。女性は1月1日から1月7日の大正月には料理の支度や親戚縁者の接待に忙しく、正月気分が味わえない。小正月の時期になって、やっとゆっくり正月気分が味わえる。それで小正月が女正月になったと考えられる。

「女正月」に対して1月1日から1月7日の大正月は男のための男正月だそうです。神事との兼ね合いなど、様々な背景や伝統があると思いますが、はっきりと男の仕事・女の仕事ときめられたしきたりは変化していくんでしょうね。


子どもは風の子

子どもは寒くても外で遊ぶものだ、遊ぶべきだということわざ。子どもが冬場でも外で遊びまわっているところから生まれたとも考えられる。「子どもは風の子、大人は火の子」がフルバージョン。

「子どもの無邪気さや、困難な状況にもめげずに前向きに挑戦する姿勢を賞賛し、大人にそのような姿勢を思い出させる」ことばでもあると表記されている文章もありました。なるほど。でも僕は子どもの頃から寒がりで炬燵が大好きだったのですが(笑)

両親が僕と弟を「外で遊んで来い」と外に追い出す決めゼリフとして用いることばでしたよ。


おしくらまんじゅう

複数人で互いに背中や尻、肩を押しあって行う子どもの遊び。複数人で押し合うと暖かいので、主に秋や冬の寒い時期に行う。

冬の季語だそうで、小学校の体育の時間の始まりに、体を温めるためにやっていたことを思い出します。「おしくらまんじゅう押されて泣くな」の掛け声が懐かしい。半ズボンは寒かったけど、笑顔でやってました。

最近はどうなんでしょう。教室にはエアコンがあるし、カイロやヒートテクなど機能的な防寒グッズもたくさん。

太もも丸出しの半ズボン少年は絶滅かな。


どてら

大きめに作り、綿を厚く入れた広袖の着物。防寒・寝具用。丹前。

渋谷教育学園渋谷中にも出題歴のある「少年(ビートたけし)」から見つけました。これも冬の季語。関西では「丹前(たんぜん)」と呼ぶのが一般的なようです。

半纏(はんてん)・ちゃんちゃんこ・パッチ・股引……。防寒着は小学生にとっては本当に「何それ?」の世界が広がります。



子どもたちにとってお正月と言えば「お年玉」です。

2023年12月22日発表の学研教育総合研究所さんが実施した調査によると、2023年のお正月にもらったお年玉の総額について、小学生は平均2万1064円だそうです。

主な使い道については、小学生の1位は「貯金」(61.8%)だとのこと!
(2位「おもちゃ」・3位「ゲーム機・ゲームソフト」と続きます)親からのアドバイスもあるのだと思いますが、なかなか堅実ですね。


「倍にしてやるから貸せ」

お正月における僕の父の決めゼリフです。父は僕のお年玉を手にパチンコ屋さんへ……。

数時間後、帰ってきた父は僕に「これやるわ」ってチョコレート。

僕のお年玉は1箱のチョコに変身してました!


そんなドンマイな思い出も今は笑い話です。
今年もたくさん中学入試頻出作家さんの作品を読もうと思います。

皆様よろしくお願いいたします。





最後まで読んでいただきありがとうございました。

子どもたちの読書量が豊かになり、家族の会話が増えますように。

次回は「昭和の行動に関することば」を書こうと思います。「鉛筆をなめなめ」「製氷皿から氷を外す」などなど…。

よろしければ前回の記事です。風に関することばをどうぞ!


この記事が参加している募集

#国語がすき

3,813件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?