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お子様はどうですか?ヤクザの仕事ではなく、ヤクザな仕事が大人気!

もうすぐクリスマスですね。子ども達にとっては、プレゼントがもらえるし、その後お正月にはお年玉ももらえてと、テンションの上がる時期がやってきます。

ただ、渡す側としてはお金が必要な時期でもあります。今回はそのお金を稼ぐ「仕事」に関することばを紹介しますね。

まずは麻布中にも出題歴のある「家族シアター(辻村深月)」より

大物にならなくともいいから、どうか自分の食い扶持くらい自分で稼げる大人になってくれ、と祈る。

「食い扶持(くいぶち)」です。ひと言でいうと「食費」のことです。江戸時代に給与として支給されていた米のことを「扶持米(ぶちまい)」と呼んでいたことが語源だそうです。

例えば、「次の食い扶持を見つけないと、来月の家賃が払えないよ」と用いる場合は、生活費を稼ぐ仕事・職業の意味になります。

続きまして、「樽とタタン(中島京子)」より

「(前略)幸い、アタシもこういうヤクザな仕事をしていると」
「ヤクザなの?」
「ヤクザとヤクザな仕事は違うんだ。だけどまあ、公務員かヤクザかと聞かれたらヤクザに近いような仕事という意味だ」

「ヤクザな仕事」です。「ヤクザな商売」というときもあります。もちろん本物の「ヤクザ」ではなく、人気や市場の変動によって左右される安定しない仕事・水商売・マスコミ関係・レーサーなどの身の危険度が高い仕事などなどを指します。また悪徳商法などのよくない商売のことにも用います。

対義語は「まっとうな仕事」でしょうか。必ず需要がある仕事を指し、例えば第一次産業等は該当すると思います。

「反社」という言い方が広まり、あんまり「ヤクザ」と言わなくなりましたね。「堅気」「筋者」なんかも小学生には「何それ?」です。

ちなみに進研ゼミ小学講座が実施の「2023年の出来事や将来に関する小学生の意識調査」では、小学生がなりたい職業の1位はYouTuber・2位芸能人・3位漫画家・イラストレーター・アニメーターであるとのこと。

トップ3が「ヤクザな仕事」で占有されています(笑)

今の小学生達が、日常的に様々なエンタメに親しみ楽しみ、そして憧れていることがうかがえますね。

皆様のお子様は、どんな憧れやなりたい職業をお持ちですか。

我が家の息子(小学生)は今のところあんまり主張がないです。何にせよ、利他的な気持ちを持った社会人なってほしいなと僕は思っています。



それではその他【小学生が「何それ?」って思うことば】第51回「仕事に関することば」を紹介させてください。

日曜大工

大工以外の職業の人が、休日の日曜に趣味で自宅の木工事を行うこと。

DIYということばが一般的に用いられるようになり、あまり日曜大工と言わなくなりました。日曜大工というと「お父さん」のイメージが強いですね。


浮き草稼業

浮き草のように転々としてひとところに落ち着かず、各地を渡り歩く職業。また、その生活。

僕は旅芸人なんかを思い浮かべましたが、自分の職業自体や、いつ転勤になるかもしれないといった状況を卑下して用いることばでもあるそうです。


内職

本職とは別に、収入を得るためにする仕事。副業。家庭の主婦などが家計の助けに自宅でする賃仕事。

授業中にこっそり別の勉強などをすることも内職と言いましたね。在宅ワークということばもよく使われますが、そちらはなんとなく現代的なネットやパソコンを使った仕事をイメージします。

内職と言えば、造花作り・シール貼り・商品の袋詰めなんかを思い浮かべます。昭和な感じです。


ドサ廻り

芸能人などが地方を巡業すること。よく「営業」とも呼ばれる。第一線で活躍する芸能人に対し、それよりも低いランクと称される人々の活動を示す場合が多い。そのことから転じて、左遷などで地方の支店や子会社に赴任する人のことを指すようになった。

「ドサ廻り」の「ドサ」は「佐渡」の倒語(いわゆる逆さ読み)で流刑の地である佐渡が絶海の孤島であったことから「ドサ」が「田舎・地方」の意味になり「ドサ廻り」ということばが生じたという説があるとのこと。

そう言えば、銀座をザギン、寿司をシースーみたいに言ってた時代が……。


焼き直し

他人や自分の作品を少し変えて、さも新作であるかのように発表したり販売したりすること。またそういった作品のこと。類語は「二番煎じ」。

昔、「コピーをとること」をいつも「焼く」と言う会社の先輩がいまして、当時「これ焼いといて」と言われて戸惑ったことがあります。懐かしい……。CDやDVDなんかも「焼く」ということばを用いますね。小学生には本当に「何それ?」でしょう。



今回取り上げた「内職」ということばは、笹生陽子さんの「世界がぼくを笑っても」に出てきたのですが、小学生の頃、家で内職を手伝っていたことを思い出しました。

筆ペンの組み立て・袋詰め・シール貼りなど、いろいろやりました。

一番記憶に残っているのは、ファスナーの組み立てです。ファスナーの土台に、あのぷらぷらしている持ち手部分をペンチで合体させるんです。数えきれない部品がコンテナみたいなやつにぎっしり入っていました。

ただでさえ狭い長屋の玄関にそのコンテナみたいなやつが積まれてしまうので、僕は「全部なくしてやるぜ」と意地になって手伝いました。

「よっしゃー、終わりや!」と思った瞬間、軽トラに乗ったおっちゃんがやってきて、「ごくろうさん。これ次の分や」と。

目の前に積まれた部品の山に「無限」を感じた次第でした。

ひとつ1円にもならない仕事です。今の小学生に「銭(せん)」の感覚はわかりにくいでしょうね。

懐かしい話になりましたが、先日読んだ宮下奈都さんの「よろこびの歌」
「こつこつと仕事をすることに誇りを持つ人ほど強い人はいないと思う」という部分がありました。

個人的ですが、この本を読む小学生たちが共感してくれるとうれしいなと思います。




最後まで読んでいただきありがとうございました。

子どもたちの読書量が豊かになり、家族の会話が増えますように。

次回は「風に関することば」を書こうと思います。「~風を吹かせる」「どこ吹く風」などなど…。

よろしければ前回の記事です。子どもに関することばをどうぞ!


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