[採用サイト]は[コーポレートサイト]を翻訳して作ろうって話。
なぜか。
それは、コーポレートサイトと採用サイトでは、訪問するユーザーがまったく違うし、ユーザーが欲しがっている情報も違うし、ユーザーの理解力も異なるため説明の仕方が変わってくるからです。
こんにちは、採用コピーライターのオヤマダです。
今回は「[採用サイト]は[コーポレートサイト]を翻訳して作ろう」という話について語ります。
コーポレートサイトは、誰が何を知るために存在しているのか
どんな話にも例外は存在するのですが。
一般的にコーポレートサイトとは、企業とさまざまなステークホルダー(利害関係者)をつなぐ企業の鏡の役割をする企業のホームページです。そのため企業は、コーポレートサイトを通じて、顧客・投資家・ビジネスパートナーといったステークホルダーとコミュニケーションを行ないます。
では、顧客・投資家・ビジネスパートナーは、コーポレートサイトで何を知りたいのでしょうか。
・会社概要
・提供しているサービス・商品の説明
・何が強みなのか
・IR情報
・実績
・お客様からの評価
・最新情報
・代表の考え方
・問い合わせ方法
こんな感じのところではないでしょうか。
コーポレートサイトを見るステークホルダーの中に「採用希望者(求職者)」を含んで考えられている場合もあります。その場合、コーポレートサイト内のコンテンツに
・採用情報
が含まれると思います。
しかし、このコーポレートサイト構成の考えかたは、採用が上手くいっている企業様の場合はこれでいいのですが、採用が上手くいっていない企業様の場合は考えかたをアップデートしたほうが良いです。
なぜなら、コーポレートサイトのコミュニケーションで会社や仕事の魅力が伝わっていないから、応募されない、面接をドタキャンされる、内定を蹴られるのです。
コーポレートサイトで、企業や仕事の魅力が伝わらないのはなぜか?
それは、「顧客・投資家・ビジネスパートナー」と「採用希望者(求職者)」では、欲しがっている情報は違うし、ユーザーの理解力も異なるからです。「顧客・投資家・ビジネスパートナー」が読んでいる業界新聞や業界専門誌を「採用希望者(求職者)」が読んでいると思いますか?読んでいない確率が高いですよね?
だったら、同じ説明で会社や仕事の魅力が伝わると考えるほうが間違っていると思いませんか。
採用が上手くいっていない企業様の場合は特に、「採用希望者(求職者)」向けにコーポレートサイトに書かれている内容を“翻訳”してあげる必要があるのです。
だから、僕は「[採用サイト]は[コーポレートサイト]を翻訳して作ろう」と考えています。
じゃあ、「採用希望者(求職者)」向けにどんな“翻訳”をしてあげると良いのか、いくつか実例を紹介します。
求職者向け“翻訳”例①
<Before>
株式会社〇〇〇は、精密測定ゲージ、治工具、検査装置、省力化装置のメーカー。独自技術による高精度製品、ワンストップ体制による短納期の実現、オーダーメイドの製作の3つの強みを武器に、自動車、航空・宇宙、電子機器、医療、食品まで、幅広い業界のお客さまをサポートしています。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
<After>
株式会社〇〇〇〇は、「メーカーの生産性をアップさせる装置を作る発明会社」です。当社がオーダーメードで作る装置によって、お客様の手間を省き、お客様の時間と余力を生み出しています。自動車、航空・宇宙、電子機器、医療、食品と、幅広い業界に私たちのお客様がいます。
求職者向け“翻訳”例②
<Before>
建設業の面白さは伝わりにくいかもしれません。でも、何もないところから建物が作られていく様子は圧巻です。完成した暁には大きな達成感を味わえるでしょう。それは同時に街を作っていくことでもあります。そのやりがいは計り知れません。一緒に頑張りましょう。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
<After>
建設業の面白さは、少し伝わりにくいかもしれない。
はたから見ると、建物を建てたり、壊したりする仕事と思われるだろう。
でも、ちょっと遠くから見てみると、別の一面が見えてくる。
建物ができると、そこに人の流れが生まれる。
なぜなら、どんな建物にも「役割」が存在し、誰かの役に立っているからだ。
そんな建物とそれらを利用する人たちで、「街」は形成されていく。
建物を建てることは、その外観によってだけでなく、
人々の生活のワンシーンが変わるという意味で、街の<景色>を創ることでもあるのだ。
働きはじめて1年後、3年後、5年後、10年後、
ちょっと離れたところから街を眺めてみてほしい。
いくつもの自分が関わってきた建物が見え、
それによって生まれた変化を感じられて、
自分の仕事に胸を張りたくなる、そんな気持ちになれるはずだ。
求職者向け“翻訳”例③
<Before>
設立50年、従業員5人の水道工事会社です。新人募集しています。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
<After>
半世紀にわたって、〇〇〇市の「水」というインフラを守ってきた5人の技術者がある会社です。満を持して、後継者を募集します。
採用サイトは、誰が何を知るために存在しているのか
採用サイトとは、採用希望者(求職者)向けに企業や採用に関する情報を掲載したサイトのことです。
では、採用希望者(求職者)は、採用サイトで何を知りたいのでしょうか。
・会社概要
・提供しているサービス・商品の説明
・何が強みなのか
・代表の考え方
・仕事内容
・求める人物像
・社風
・キャリアビジョン
・どんな人たちが働いているのか
・選考の流れ
・問い合わせ方法
ざっと、こんな感じと考えている方が多いのではないでしょうか。
コーポレートサイトと重複している内容がありますが、ここは前述した通り、コーポレートサイトのコピペではダメで、採用希望者(求職者)の理解力に合わせた“翻訳”が必要になります。
で、コンテンツの話。
採用が上手くいっている企業様の場合はこれで充分なのですが、採用が上手くいっていない企業様の場合はコンテンツが足りません。何が足りないのか。それは「採用課題を解決するためのコンテンツ」です。
採用課題とは採用活動における課題のことです。つまり、採用課題を解決するためのコンテンツとは、「応募数が少ない」といった原因の理由である求職者の思い込みや誤解を解くためのコンテンツや、求職者が知らない事実を教えて気づきを与えるためのコンテンツのことを指します。これらはあくまでも一例であり、企業によって採用課題は異なるため、採用課題を解決するためのコンテンツの内容も数も変わってきます。
例えばこんな感じ(↓)です。
こういったコンテンツを採用サイト内に作ることで、いくつかの採用課題を解決することができそうだと思いませんか?
でも実は、
採用が上手くいっていない企業様の場合はこれでもまだ足りないのです。何が足りないのか。それは「求人広告と採用サイトの連携」です。
indeedや求人メディアの求人広告で応募を集め、採用サイトで会社理解・仕事理解を深めてもらう使い方を前提に話をしていますが、求人広告と採用サイトの関係は、映画の予告編と映画の本編のようなものです。いまや求人広告はじっくり読み込んでもらえるものではなくなったため、映画の予告編のような、本編につなげる見せ方が重要になってきています。
要は、求人広告ではすべて話さない。期待を膨らませて採用サイトや会社説明や面接に来てもらうために、どう盛り上げるのか。期待値だけ上げて本編で期待を裏切っても離脱が加速するだけなので、情報の連携、バトンのつなぎ方を意識したコミュニケーションデザインがモノを言うわけですわ。
もう少しわかりやすく言うと、
求人広告では、残業が少なく、社員みんながプライベートも大切にしているという事実が書かれている。採用サイトでは、社員インタビューでみんながプライベートを大切にできていることを語っている。証拠をたくさん提示されることで情報の信憑性が高められるってわけです。情報の連携とはこういうことなんですね。
まとめ
ここまで読んでくださってありがとうございます。長々と語ってきたわけですが、言いたいことをまとめると次の4つです。
①コーポレートサイトと採用サイトでは、訪問するユーザーが違うし、ユーザーが欲しがっている情報も違うし、ユーザーの理解力も異なる
②採用サイトでは、採用希望者(求職者)向けの“翻訳”が必要
③求職者の思い込みや誤解を解くためのコンテンツが大事
④求人広告で伝えていることと連携させることで、情報の信憑性を上げ、インパクトを与えられる
カンの良い方は、採用活動で企業が当たり前のように「会社案内」を求職者に配っていることにも疑問が湧くはずです。「会社案内」はコーポレートサイトと同じではないか、と。
そうなのです。
やりようはいくらでもあるのです。
そして、採用のライバルと明らかに違う「分かりやすさ」と「信憑性」を採用コミュニケーションで実現できれば、結果は変わります。
この記事が、採用広報のお役に立てれば幸いです。御社の採用活動が上手くいくことを願っております。
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