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#コラム

同じ星の人、別の星の人

なんかわからないけど気が合う、またはどうにもこうにも気が合わない、という人に会ったときにいつも思うことがある。

多くを語らなくてもなぜだか言いたいことがわかる人に「同じ星の人」、どれだけ会話をしてもお互いに何を言ってるかわからない人には「別の星の人」だ、と思う。

ほとんどの人は別の星からきているので、ときどき同じ星出身の人に会えるととてもうれしい。共通言語を思い出したように言葉がたくさん出てく

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年を重ねるほど口下手になっていくのは

年を重ねるほど口下手になっていくのは

先週話題になったこちらの記事。

「これまでの記事を撤回したい…」沖縄で私はモノカキ廃業を覚悟した

人が生きるということ。

人がものごとを学び、そしてそれを表現するということ。

この2つについてこれほど本質をついた記事はないのではないかと思います。

「不惑」という言葉もあるように、大人になればなるほど世界は強固なものになり惑うことがなくなるのだと多くの人は思っています。

しかし実際には、

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優しさは、つながっていくもの

優しさは、つながっていくもの

ある日の銀座線車内。
2人連れの人が隣になるようにみんなで席を譲り合った結果、大規模な席替えタイムになってしまって、通りすがりの知らない人たちと思わず笑いあってしまった。

別にその人たちを隣り合わせにしてあげる必要なんてないし、自分はすでに座れているのだからそのまま無視することだってできたはず。

でもその時乗り合わせた人たちはみんな
「この人をよりよい形で座らせてあげよう」
と思って、全員がG

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困った話と悔しかった話を聞く

タクシーに乗ったとき、どうしてますか?

タクシーの運転手さんが「暑いですね」とか「景気、どうですか?」とか話しかけてきますよね。

あれ、タクシーの運転手さんに「どうして話しかけるのか」を質問してみたところ、「個室で、1対1なので、何かトラブルが起こらないように、話しかけておいて、親しい空気を作っておく」というのが一番のねらいだそうです。

さて、それに対して、「話しかけないで」と表現する

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私は「家族」をアップデートしたい。

私は「家族」をアップデートしたい。

20歳の誕生日、生まれてはじめて父から誕生日おめでとうのメールが届いた。

いわゆる九州男児気質の父とは実家にいたころからたいした話をした記憶もないし、反抗期も長かったので連絡がきたことにまずびっくりした記憶がある。

当時はガラケーだったので保護していたメールのデータももうなくなってしまったけれど、ざっくり言うとこんなことが書かれていた。

あさみは勉強や仕事が好きな子なので、しばらくは結婚より

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泣き言の練習

泣き言の練習

男の人というのは、想像以上に弱音を吐くのが苦手な生き物なのだなと思う。
しかも、自信のない人ほど弱音を吐けない。
自信があるふりを重ねながら、自分に自信をもつための「なにか」を求めては裏切られている、そんな人を何人も見てきた。

***

自信や自己肯定感というのは、子供の頃から受けてきた愛情の量に比例するような気がする。

男の子のコミュニケーションは何歳になっても「先生あのね」で、小さい時から

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自慢は、不安の裏返し

自慢は、不安の裏返し

「マウンティング」という言葉がある。
自分が相手より上だと暗にアピールする行動のことで、ネガティブな意味で使われることが多い。

マウンティングとは要するに、オブラートに包まれた自慢のことである。

ここ最近、自慢されるという状況に直面したことがなかったのだな、と気づいたのは久しぶりにマウンティングを目にしたから。

そして思ったのは、自慢は不安の裏返しだということである。

***

年を重ねる

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帰りたい場所は、いつだってあの雨の日

帰りたい場所は、いつだってあの雨の日

そういえば、あの日も雨だった。

「雨、降ってきよったなぁ」とつぶやく背中に、どんな言葉を返したかは覚えていない。

あの頃は、いつも背中ばかり見つめていた気がする。

***

窓の外では雨が降り続いている。この部屋からすぐに飛び出して帰りたくなった。けれど、今、自分の帰りたがっている場所はもうどこにもないことも分かっていた。それは私の底で眠っていた記憶の中にだけある場所だった。(「ナラタージュ

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ずっとやり続けてたらいつか順番が回ってくる、と、The BookmarcsのCDがすごく良いこと

JJAZZで洞澤徹さんをインタビューしたところ、1曲目にスティーヴン・ビショップをかけてくれまして、「あれ、スティーヴン・ビショップってこんな良かったんだっけ」と再発見して、急いで中古レコード屋さんに走って、ファースト『ケアレス』買ってきました。

ごめんなさい。僕、スティーヴン・ビショップって、JDサウザーとかリンダ・ロンシュタットみたいに、もっとカントリーっぽい人だと勘違いしていました。なんか

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そのダメ恋はきっと、あなたのせいじゃない。

そのダメ恋はきっと、あなたのせいじゃない。

「付き合った人のことを悪く言いたくない」なんて、綺麗事だと思う。

好きなまま別れられればいいけれど、大抵はもう顔も見たくないほどすれ違ってしまってから、別れを選択することになる。

そして少しずつ、笑い話にしてなっていく。
あのときダメな恋愛してたよね〜と、女子会のネタとして昇華されることによって。

***

この歳になると、惚気混じりの単純な恋愛相談は少なくなる。
安易にアドバイスするのが憚

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"論者"の道と "実行家"の道

"論者"の道と "実行家"の道

世の中には「論者」と「実行家」の二種類の人間がいて、立場が違えば考え方も違う。

それを深く理解したのは、勝海舟の談話を集めた「氷川清話」を読んだことがきっかけでした。
私もつい最近まで知らなかったのですが、実は福沢諭吉と仲が悪かった勝海舟(というより、福沢が勝を批判していたという方が正しい)。

政治家に付き物の有識者からの「批判」に対する彼の態度からは、実行家としての清々しさを感じます。

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詩心をバカにする人と、良いなあと思う人

僕、めったに怒らないんです。ほんと、平和的で穏やかな人間なのですが、ちょっと怒ってしまうときっていうのがありまして、こういうシーンです。

例えば、全くの想像ですが、テレビで、戦国時代が大好きな店主がやっている定食屋さんが出てきたとします。その店主、あの時代が好きすぎて、豊臣秀吉定食とか、徳川家康定食とかって名前のメニューをお店で出しています。

もう、ほんと、その店主、武将とかが好きで、お店の中

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バツはなぜ避けるべきなのか

バツはなぜ避けるべきなのか

巷にあふれる恋愛相談への回答で「こういう人と結婚してもすぐに離婚するからダメ!」というアドバイスを目にするたびに思うのが、「そもそもなんでバツがつかないように」という前提なんだっけ?ということ。

もちろんはじめから離婚しようと思って結婚する人はいないだろうけど、「結婚生活を続けること」がメインの目的になってしまうのもなんだか違うような気がするのだ。

だって、結婚しても1/3が離婚する時代、「結

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「誰のことも攻撃しない」という戦い方

「誰のことも攻撃しない」という戦い方

先日書いた記事に、こんなありがたい感想をいただきました。

「誰も攻撃をしない」
これは私が文章を書く上で、いつも大切にしたいと思っていることです。

あらゆる価値観を否定はしない。その価値観を一度受け止めた上で、それでも私はこう思う。そういう主張の仕方を常々意識しています。

甘いと言われるかもしれないし、八方美人だと批難されるかもしれませんが、煽ったりけしかけたりしても、なかなか真意は伝わらな

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