ずっとやり続けてたらいつか順番が回ってくる、と、The BookmarcsのCDがすごく良いこと

JJAZZで洞澤徹さんをインタビューしたところ、1曲目にスティーヴン・ビショップをかけてくれまして、「あれ、スティーヴン・ビショップってこんな良かったんだっけ」と再発見して、急いで中古レコード屋さんに走って、ファースト『ケアレス』買ってきました。

ごめんなさい。僕、スティーヴン・ビショップって、JDサウザーとかリンダ・ロンシュタットみたいに、もっとカントリーっぽい人だと勘違いしていました。なんかすごく好きな音世界で、どうしてこんな年齢になるまで聞かなかったんだろうって後悔しています。

さて、そのスティーヴン・ビショップのレコードのライナーノートを読んでいると、こんなことが書いてありました。

彼、1969年、18歳のときに、200曲のオリジナル曲と10ドルのギターひとつを抱えて、サンディエゴからロスに出てきたらしいんですね。

ちょこちょこ音楽仕事はあったようなのですが、うまくいかず、ダイアナ・ロスやバーバラ・ストライザンドに売り込んだりしたけど失敗に終わったりして、1975年にはあまりの貧しさにロスを離れてサンディエゴに帰ろうと思ってたそうなんです。

18歳から24歳まで6年間、ずっとロスで頑張ってきたのに、全然ひっかからなかったら、「そうかあ、俺、やっぱり才能ないのかな。もう帰ろうかな」って思いますよね。

それが、いろんな繋がりがひきよせて、当時大スターだったアート・ガーファンクルのアルバムにスティーヴン・ビショップの曲が2曲取り上げられ、翌年76年に念願のデビューとなったそうです。

もう一度、スティーヴン・ビショップのデビューアルバムを聞いてもらってもいいですか?

こんなに美しい曲を作る人なのに、6年間もロスでうまくいかず、もう少しで荷物をまとめて田舎に帰るところだったそうなんです。

僕、渋谷という場所でバーを20年もやっているので、毎日のように、この「才能」と「運命」についてよく考えていまして、ほんと、いくら才能があっても、世の中に認められない人もいれば、ちょっとした偶然でスターダムをのし上がる人もいるわけです。

 ※

思うのは、スティーヴン・ビショップ、75年に田舎に帰ってたら、そのまま音楽はあきらめて、24歳からネクタイをしめてサラリーマンとかをやってたのでしょうか。

こんなすごい才能があるのに、もったいないですよね。

でも僕の空想ですが、たぶん、田舎でもやっぱり音楽を続けたんじゃないかなって思うんです。

そして、そのままずっと続けていたら、これだけ才能があるんだから、いつか誰かが気がついて、録音して、必ずスターダムを駆け上がったはずだと思うんです。

 ※

僕がすごく好きな言葉に伊藤ゴローさんの「ずっとやり続けてたら、いつか順番が回ってくる」というものがあります。

みんな20歳くらいまで音楽をやったり、小説を書いたり、映画を撮ろうとしたりと色々と頑張るんだけど、ほとんどの人が途中であきらめて、やめてしまうんですね。

でも、そこであきらめないで、ずっと続けていると、絶対に順番は回ってくるそうなんです。

 ※

さて、冒頭の洞澤徹さん、ウイキペディア https://goo.gl/4tXQxn を見ると、映画音楽やテレビ、ゲームの音楽を中心に活躍している、いわゆる裏方の音楽家なのですが、「やっぱり、バンドやりたい。みんなの前でギター弾きたい」って思ったのでしょう。

現在46歳で、先日、The Bookmarcsとして今回のデビュー・フルアルバムを出したばかりです。

そしてThe Bookmarcs、聞いていただければおわかりかと思いますが、懐かしいあのAORです。日本の伝統のあのシティ・ポップです。これは泣けます。

そしてこのThe Bookmarcsを聞いてて思ったのは、もしかしてスティーヴン・ビショップ、アート・ガーファンクルに出会わなかったら、サンディエゴに戻らずに、ロスでずっと洞澤さんのように作曲家として裏方で活動したんじゃないかなって考え直しました。

そして洞澤さんのように、「やっぱりバンドやりたいなあ。みんなの前でギターを弾きたいなあ」と思って、それなりな年齢になって、ロスの友人のミュージシャンを集めて、The Bookmarcsのようなアルバムを出したんじゃないでしょうか。

 ※

ほんと、思うんです。ずっとやり続けていると、いつか順番は回ってくるんです。みんな途中であきらめてやめてしまうから、順番が回ってこないんです。

The Bookmarcsの洞澤徹さんと近藤健太郎さんにも順番が回ってきましたね。すごく良いアルバムですよ。是非、聞いてみて下さい。あ、CDも買って下さいね。 → https://goo.gl/2eKZSq

#コラム #音楽

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この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「片岡義男の小説」です。

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