あなたの発露の方法
アンパンマンのマーチという曲は、アンパンマンの生みの親でもある作者のやなせたかしさんが作詞し、誰もが一度は耳にしたことがある有名な曲だが、アンパンマンのマーチが一躍脚光を浴びたタイミングというのがあった。
それは東日本大震災の時の、ラジオのリクエストだ。
被災した友人の子どもがアンパンマンが好きだったのでラジオから流して欲しい、揺れに怯えてしまって本来の明るさを閉ざしてしまった我が子に、というラジオリクエストでアンパンマンのマーチのリクエストが殺到し、子どもに元気や勇気を与えるのみならず、実はこのときそれを一緒に聴いていた大人にも勇気を与え、このとき初めてその歌詞に注目が集まった。
そうだ うれしいんだ いきるよろこび
たとえ むねのきずがいたんでも
なんのためにうまれて なにをしていきるのか
こたえられないなんて そんなのはいやだ!
いまをいきることで あついこころもえる
だから きみはいくんだほほえんで
そうだ うれしいんだ いきるよろこび
たとえ むねのきずがいたんでも
あ あ アンパンマン やさしいきみは
いけ! みんなのゆめまもるため
なにがきみのしあわせ なにをしてよろこぶ
わからないままおわる そんなのはいやだ!
わすれないでゆめを こぼさないでなみだ
だから きみはとぶんだどこまでも
そうだ おそれないで みんなのために
あいとゆうきだけがともだちさ
あ あ アンパンマン やさしいきみは
いけ! みんなのゆめまもるため
ときははやくすぎる ひかるほしはきえる
だから きみはいくんだほほえんで
そうだ うれしいんだ いきるよろこび
たとえ どんなてきがあいてでも
あ あ アンパンマン やさしいきみは
いけ! みんなのゆめまもるため
この歌詞は特攻隊で亡くなった弟さんを、と言われるが真偽の程はわかっていない。
やなせたかしさんは実は手塚治虫さんなどとほぼ同年代だが、アンパンマンがアニメ化されたのは彼が69歳の時、その時に書かれた歌詞だとすれば、それまでに感じたこと、した経験、想いや哲学などが歌詞に染み込んでいて一概にどれか一つということはなく、やなせたかしさんの人生の経験が詰まった歌詞だと言える。
それに加えて自分の顔を食べてもらって、他者を飢えから救う。
顔を食べられると本調子ではいられないというアンパンマンの設定も、戦争の飢えの苦しみと、人をほんとうに救うということの痛みや難しさを、アンパンマンは背負って存在している。
「(一般的なヒーローは)マント一つ汚さずに飛び去っていく。
壊した町も、どうなったのか分からない。
そういうヒーローって、本当の正義なんだろうか。
本当におなかがすいて困って、一人ぼっちで寂しくてって言う人のところには、そういうヒーローは、なぜか現れない。
誰をいったい助けているんだろう、そういう疑問があって、それでアンパンマンを思いつかれたんだろうと思います。」
出典:https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3423/1.html
アンパンマンというキャラクターの中に、アンパンマンのマーチという歌詞の中に、やなせさんの、こういう世界であって欲しいという理想が、哲学が、作品からキャラクターから伝わってくる。
それはやなせさんが漫画家で、絵や物語として発露することが得意だったから、好きだったからその方法だったのだと思う。
あなたにもきっとこうなればいいのに、こうだったらもっと生きやすいのに、という思いはきっとあると思う。
やなせさんは絵や物語という発露だった。
歌がうまい人は歌かもしれないし、声や、文章や、演技や、演出や、映像だったり、はたまた数学やスポーツ、デザインや料理、マッサージかもしれない。
その発露の方法は人によって違う。
あなたはどういうことをどうやって発露しますか?
なんて伝えたいですか?
今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。
トップの画像は、被災地に訪れた時にやなせさんがプレゼントしていたものだそうです。
出典に載せた記事も良いですよ。
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