45歳はじめての転職 第10話 再就職とポジティブ転職

第10話 再就職とポジティブ転職

一般に再就職というとちょっと暗いイメージがある。それは、長くひとつの会社で働いてきた人が一線をリタイアしたイメージがあるからだ。実際、新たに就職する会社の条件が以前のものよりもかなり劣っている場合が多い。反対に就職先の条件が以前よりもよければイメージも変わるのだろう。

これは再就職する人の年齢に大きく依存していると思われる。再就職の時期は大体50歳かそれを超える場合が多い。こうなると会社の早期退職制度であったり、それ以外の退職に向けての働きかけであったり、いずれにしても追加の退職金などをある程度もらって辞めてくださいという会社からの提案があって次を考える場合が多い。

だから、次の仕事は以前に比べれば仕事の意味も軽いものになりやすい。賃金はそこそこでいいから軽い仕事がしたいという人もいる。また、会社側もレギュラーではなくてサブ的に使いたいと思っていることもある。

もちろん50歳を過ぎて重要なポスト、従って比較的高い賃金をもらうケースもあるがこれはまれであろう。会社のトップが他の会社のトップになるなどという場合はこれに該当する。

では再就職でないポジティブな転職はいくつぐらいまでかといえば、おそらく平均的には45歳までということではないか。45才の私に対し、ヘッドハンターたちからポジティブ転職年齢の一番端、ぎりぎりのところとみられていたように思う。もちろん本人はそんなつもりはなく、ステップアップするためのポジティブ転職を考えていたわけだ。しかし、ヘッドハンターやまわりからは再就職とポジティブ転職の中間のようにとられていたかもしれない。

ただ、転職の条件としてラッキーだったのは私が元の会社からの出向でいくつかの会社を渡り歩いていたことである。外資企業では何回かポジティブな転職をした人が45歳あたりでまた別の会社に転職をすることはよくあることなので、これと同じようにみれば転職の経験に近いものがあるとみてもらえたわけだ。

反対にたとえ一流企業であっても45歳までずっと同じ職場にいたというケースであれば、適応能力にリスクがあるとして、ハッピーな転職機会は非常に少なくなってしまうようだ。社内での見方と転職マーケットの見方の違いがここにある。

しかし、これからは色々な状況の変化でこの掟も変わっていくと思っている。例えば定年が65歳まで延長されれば45歳なんて道半ばになる。ここでしょぼくれてはいられない。それに退職金の考え方も変わってきており、はやりの確定拠出型年金のように退職しても次に持越しができれば「退職金ももらったので次は片手間」という発想はなくなる。プロ意識が高まれば生存競争は厳しくなるが、どこに行ってもやっていける、あるいはやるべきアウトプットは明らかになるだろう。

とはいえ、現時点のマーケットの掟において、私のチャレンジは標準的な見方からすれば、少し掟を外れたところからスタートしたといえよう。それでも、曲がりなりにもいくつかのヘッドハンターから声がかかったのはどんな理由であったのか、次回お話したい。


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