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「大和五條における松倉重政」島原みらいキャンパス最終回。@長崎県島原市

2024年9月28日㈯、島原市の森岳公民館で「2024年島原みらいキャンパス」の第3回目が開催されました。
「大和五條における松倉重政 ーその治績と評判ー」というタイトルで、市立五條文化博物館の元館長、藤井正英氏による松倉重政に関する講演でした。

島原城天守


本丸の虎口空間にある鏡石。



島原城の築城で知られる松倉重政は「分不相応の築城のため領民に重税を課し、キリシタンを弾圧。それが島原天草一揆の遠因になった。」という、どちらかというと悪名の方で知られている人物ですが、一方で、前任地の大和国五條では「五條新町を新設して商業を推進し、町の基礎を作った」名君と呼ばれており、私も予てより大変疑問を持っていました。今回はその五條市の郷土史家の話が聴けるということで、前々から大変楽しみにしていました。



*松倉重政に関する私の過去記事は以下。


松倉重政は五條市でも一時期は忘れられた(?)存在だったのを、市内の旧家に残る古文書から「豊後様祭り」という文字を見つけたのは藤井氏だったそうで、それ後の松倉重政を顕彰する「新町松倉講」へと繋がったとか。


島原城の敷地内、古野梅園の脇にある松倉重政公の祠。


他に、講演で語られたのは以下の内容でした。
(松倉重政については、昨年の岡美穂子先生の講演も元に後日リライトする予定なので、ここでは簡単に箇条書きにします。)

1 武将としての評価は高く、関ケ原、大坂の陣においても徳川方、幕府から高い評価を受けた。豊臣系・筒井系(筒井氏は1608年に改易)ゆかりの地侍・国人への警戒から、初め五條二見城を与えられたのではないか。
2 新町は、重政が吉野川堤に沿って新しく創設した町。洪水対策や「喧嘩其外乱成事」の禁制を出し、税の免除により商人を誘致し、町の振興を図った。新町住民からの評判は良かった。
3 出作を削減して村切(村の境界を定めること)を実施しようとして抵抗にあい訴訟が起きているが、重税を課したとはいえない。
4 歴史小説により人物像が作られた面がある。

・・意図的な史実の継ぎはぎと改変によって造型された人物像は実在とかけ離れている可能性が大であろう。近世史上の実在の人物がスケープゴートのように扱われている場合については特に注意が必要であろう。

(講座レジュメP4より引用)


藤井先生は史料に基づく綿密な考察、検証をされており、わからないことはわからない、とお答えになるなど、まさに「歴史研究者の鑑!」のようなお方で、お話を伺い私も大変感銘を受けました。4に出てくる歴史小説は司馬遼太郎氏の作品のことなんですが・・『城塞』『軍師二人』という小説で松倉重政を「この上なく憎しげで卑怯な人物」として描き、示唆的に「のちに島原城主になった」との文言が付いているそうです。それまさに示唆的ですよね・・。

フィクションはフィクションとして楽しまれる分は良いのですが、それが人物像になってしまうのは考えものでして・・。「極悪非道。家臣に見捨てられ戦場で置き去りにされて首を取られた」と言われる龍造寺隆信や「御家を乗っ取った」といわれる鍋島直茂もまた然り、他にもたくさん例がありそうですね。

閑話休題

この島原城築城400年記念事業「島原みらいキャンパス」。
2019年から始まり、島原城築城400年の年である今年の、この回が最終回でした。コロナで会場開催できない年は配信でなされるご苦労もあったとか。私は2021年にたまたまネットで知り参加させていただきましたが、毎回大変勉強になりました。

島原市の皆様、心より「ありがとうございました。」


白い天守に紅梅が映える島原城。



皆様の「我がお城」を大事に思うお気持ちにはいつも感銘を受け、また、羨ましく思っていました。白亜の大天守の美しいお城、私も、長崎出身者として誇りにしたいです。
また、島原市長のご挨拶の中で、島原城を「国史跡」に指定されるよう現在申請中と伺いました。12月中には結果が出るとのことで、これは大いに期待したいと思います。


そして島原城では10月12、13、19、20日に築城400年記念イベントが開催されます。20日にはブルーインパスルもやって来ます!
(実は所用で行けないのです・・企画展は行きます。)
また「松倉重政と島原城」という企画展も島原城観光復興記念館で開催中です。下にリンクを貼りますので、ご興味ある方は是非お越しください。


企画展のフライヤー。


では、今回も最後までお付き合い下さいましてありがとうございました。


*島原城公式HPはこちら。築城400年記念の各種イベント情報も掲載。


*島原市youtube「島原城築城400年の歴史」


*島原城の歴史はこれ1冊あればワカル!「島原城まるわかりガイドブック」


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