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どうしてまた2人旅へ?(994文字)




どうして、また行ってしまうのだろう?


息子が幼稚園のころから、駐在先の上海との往来も含め、幾度となく繰り返してきた二人旅。



「早くおうちに帰りたい」
旅の最中、息子が私の心の声をそっくりそのまま代弁するかのように呟く。
 私はわたしで、「あ~疲れた~!もう二度と行かない」旅の締めくくりには毎回決心する。
自ら望んで行っている旅行が、まるで修行かのよう。


日本一の庭園がある足立美術館より、浅草寺の雷門の迫力より、きらびやかで眩しい上海の高層ビル群立ち並ぶ夜景よりも、訪れた先の印象をはるかにしのぐ、ハプニングの記憶がよみがえる。


ある時は財布を忘れ、またある時は新幹線を乗り過ごす。
旅館に虫が大量発生したり、着替えもないのにカレーを白い服にぶちまけたり。
道に迷ってホテルになかなかたどり着けないことも、熱湯風呂にはいったことも、息子の鼻血が噴き出し、駅員さんに車いすではこんでもらったこともある。


しっかりものの夫がいれば、ひとたび旅行は快適で、安心して楽しいものとなる。
それなのに、どうしてまたときどき二人で行ってしまうのだろう。

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 先日息子とひさしぶりに小さなトリップへ。
すると、まさか、ハプニングなし。何回か分のトラウマを帳消しにできるほどの大大大成功。

数年前に比べると、
体力、楽しむ力、頼もしさがそれぞれ格段にアップしていて、楽しい、感動、喜びがぎゅっと詰まった旅になった。

そのことに自分が一番びっくりし、そして当たり前に嬉しかった。



帰宅後には持ち帰ったパンフレットや写真をウットリとながめながら、「本当に楽しかったね~また行こうね~!」が両方の口からでてくるという快挙。
もちろん、「帰りたい」なんてことは一度もない旅。


唯一のハプニングといえば、買ったばかりの息子のおまもりが入った袋を私が間違えて捨ててしまったこと。
息子は以前、「お母さんのおっちょこちょいなところが可愛い」といっていたけれど、それは言うまでもなく自分に直接的被害がないことに限るだろう。


子どもと過ごす日々では、毎日成長を感じるできごとがあるけれど、35歳の自分はどうだろう。

修行のような二人旅に、ときどき自ら望んでいっていたのは、
ときどきわたしも自分の成長の度合いを試してみたかったのかもしれない。

そして、

旅は道連れ 世は情け



一人旅もいいけれど、一緒に楽しめる相手がいる旅も同じくらいに最高だと息子は身をもって教えてくれる。



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