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内側から見た ミラノ サローネ 1

Salone del Mobile visto dall'interno un Giapponese 1

1-1 主催者と契約 2005年 Contratto con COSMIT

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 "Capital of Design デザインの首都" はミラノの副タイトルだ。世界最高のデザインイベント、ミラノサローネの主催者コスミット社 COSMIT (現FLA Eventi) の日本向けPRを2005年から10年以上担当してきた。 上の写真のように、当時はA2サイズのポスターを毎年作っていた。基本のイタリア語版をベースに全体のイメージは変えずに日本語のタイトルや翻訳をつける作業。そして、日本のデザイン関係組織、出版社、大学に送っていた。現在はポスターは無くなりホームページのみになっている(初期のHPも我々が作成した)

#ミラノサローネ #salonedelmobile  

1-2 サローネ事務局コスミット社訪問  Vista a COSMIT

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 私は1987年より継続してミラノサローネを視察している。徐々に日本でも「デザインの発信地はミラノ」と認知され始め 日本の企業からも、デザイン&トレンド視察だけでなく、自ら「サローネに出展したい」という依頼が時々来ていた。1991年から日経デザイン誌などにミラノデザイン情報を寄稿していたので、主催者のコスミット社は知っていた。オフィスは観光スポットの一つであるカステッロ(お城)のあるCairoli駅から徒歩2分の中心地。住所はボナパルテ通り。その名が示すようにナポレオンのミラノ支配下に作られた。 お城を中心に左右に馬のヒズメ状に広がる ネオクラシック建築 。

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 2002年から具体的に出展したいという日本の会社からの依頼で、何回か事務局の担当者と話したが、全く進行しない。既に同じ見本市会場(フィエラ)で開催されてるメガネ MIDOシューズ MICAMなどの他の見本市で、日本企業のブースデザインを1997年から私は担当していた。しかし、このサローネへの参加ハードルは非常に高く不可能に近かった。そこで、いよいよ、直接 CEOのマンリオ アルメリーニ氏に 会えるように根回しをした。(1965年から事務局長としてサローネを盛り上げた Mr.サローネ)

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(参考) この国の番地表示は普通は同じ通りの左側が奇数、右側が偶数だが、ここ通りのみ お城を中心に左の通りが奇数、右の通りが偶数。なので初めは迷ってしまった。

1-3 ミスター サローネに直談判  il colloquio con Mr. Salone

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 受付を通り、秘書に案内されて緊張した趣きで社長室にうかがうと、アルメリーニ氏 Armellini は伊人特有のフレンドリーな微笑で 「Ben Venuti ベン ベヌーティ」( いらっしゃい~!)と迎えてくれた。「Piacere ピアチェーレ」(初めまして…)と言ったは良いが、私はやはり少し緊張してた。何といっても あのミラノサローネの代表だ …!
「日本の会社も参加させてください!」と単刀直入にお願いすると、
「気持ちは嬉しいが、毎回、既にキャンセル待ちが約500社以上あるので、全く不可能だよ」
「でも, 日本にはイタリアのデザインには無い、自動車やハイテク機器のアドバンス デザインモデルなどもあり、魅力的ですよ!」
No,no, ダメダメ、タイトル知ってるだろう?ファニチャー フェアーだよ! 他の分野のデザインは残念ながらNG
このように親切に対応はしていただいたが、可能性はゼロだった。しかし、次の年も同じように行った。そして、次の年も。3年続けて通った。

 3年目になると、「Ancora sei tu? アンコーラ セイ ツ? また来たの?君もしつこく来るね? 相変わらずキャンセル待ちが何百もあり不可能なのに。ところで、反対に日本向けにサローネに協力しないかね?
と、予想通りの返事と思いもよらない質問が来た。
「Cosa,Cosa ? えっえっ、なになに?」一瞬意味がわからなかった。「どういう意味ですか? 具体的には?」
「日本から多くの来場者やジャーナリストが来ているが、その内訳が全くわからない。フィエラ会場に来るジャーナリスト対応と、日本で出版されるサローネ記事の収集。ジャーナリストには無料入場券を提供、その代わりにジャーナリストはサローネ関連記事の提出させ、それをまとめる」
Volentieri! ボレンティエーリ、 喜んで協力させて下さい!」と即答した。 思いもよらない提案に心は小躍りした。


 結局、当初の目的である出展の可能性は今回も断られたが、思いがけない先方の提案があり、大収穫だった。既にイギリス、フランスなどの国のPR担当はいたが、アジアはいなかった。
 2005年、ここから「ミラノ サローネを内側から見る」事がスタートした。

*ご存知のように、コロナの影響で昨年のサローネは日程が例年の4月から7月に移動になったが、その後、中止となった。今年は2/3の規模で9月開催予定。無事の開催を願う。

*アルメリーニ氏は残念ながら昨年、他界した。

マンリオ アルメリーニ氏 ミラノサローネ公式HP

( 次号は、1-2 日本語ポスター作製開始 )

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