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あなたの「魔法少女」はどこから?

こんにちは。書店員Aです。最近口内炎を三つほど発見してしんどいです。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

さて、今回は「魔法少女」についてのお話をしようと思う。


突然だが、あなたが「魔法少女」という単語に出会ったきっかけはなんだろうか。アニメ、ラノベ、漫画にゲーム…あらゆる媒体であらゆるジャンルの「魔法少女」が活躍している。

まどマギ」に「おジャ魔女どれみ」、「プリキュア」も入るだろうか。あとは「東京ミュウミュウ」に「黒魔女さんが通る」に、もっとさかのぼれば「ひみつのアッコちゃん」や「カードキャプターさくら」もある。何となく思い出した「魔法少女」を書いていったらキリがない。

ふと思ったが、ここまで年代や好きなキャラクター感が浮き彫りになるものはそうそうないのではないか。「東京ミュウミュウ」なんて、気になってふと調べてみたら2002年のアニメだった。マジか。

話を戻して、僕の「魔法少女」への入り口は何だったかという話をさせていただきたい。もっと前から「魔法少女」ものの作品は見ていたのだが、自分が「魔法少女」という存在を明確に好きになったきっかけが確実にある。

それは、西尾維新さんが書いた「新本格魔法少女りすか」という小説である。最近文庫化されたのだが、それも全部買ってしまうくらい大好きな作品だ。

もともと僕は西尾維新さんが大好きだ。初めて読んだのは「戯言シリーズ」で、そこから手繰り寄せられるようにこの作品に出合った。

初めて読んだときは確か小学生だったのだが、それはもう衝撃的だった。


主人公は小学四年生の供儀創貴(くぎ きずたか)という少年。彼は小学生らしからぬ思考をもっており、優等生を演じきって「使える駒」を探す日々を送っていた。ある日、創貴は学級委員長として、クラスメイトの不登校児水倉りすかの家を訪ねる。赤い瞳、赤い髪、赤い服。初めてその姿を見た創貴は直観で理解する。彼女は正真正銘の魔法少女だったのだ。「これは使える駒かもしれない」と確信した彼は、りすかを取り巻く魔法の世界へと自ら足を踏み入れていく…

というあらすじだ。

もちろん魔法を使ったバトルシーンもあるし、推理パートもある。だが、自分が何となくのイメージで持っていた「魔法少女」のそれとは明らかに雰囲気が違っていたのだ。

りすかの魔法は「自分の中の時間を操る」というものである。これだけ聞くと一見チートのような魔法に感じてしまうが、あくまで「自分の中の時間」だけである。例えばりすかがカップラーメンにお湯を注いでから三分間の時間を「省略」したとしても、ラーメンは完成していない。あくまでりすか自身の三分間が省略されただけなのだ。

当時小学生だった僕は、この魔法を理解するのにかなり苦労した。だって僕の知っている「魔法少女」は、ステッキからかわいいビームを出したり、水や炎を操ったり、わかりやすいものだったからだ。

それに、雰囲気も全く違う。ドロドロしていておぞましいものがずっと根底に潜んでいる。登場する魔法にも敵意が込められているのをすごく感じてしまって、ゾッとする瞬間もある。「魔法」という非科学的なものによって、かえって人間らしさや愚かさの輪郭がはっきりと見えていく。寒気がするというよりは、生暖かい空気が充満しているような、そんな感覚だった。

「魔法」は僕のような普通の人間が触れていいようなものではない。とても恐ろしいものなのだ。「魔法使ってみたいな~」というふわっとした理想は、そこで木っ端微塵に砕け散ってしまった。

僕はきっと、「魅了」という魔法にかかってしまったのだろう。「魔法少女」という幼さが少し残った響きに、この作品を通してすっかり惹かれてしまっていた。

ということで、僕の魔法少女の始まり、「新本格魔法少女りすか」のお話でした。自分の表現力や語彙力のなさを恨みたくなるほどいい作品なので、皆さんもぜひ一度読んでみてほしい。

漫画版の連載も始まっているので「小説はちょっと…」という方もぜひ。


皆さんの「魔法少女」のルーツもぜひ教えてください。

以上、書店員Aでした。

書店員A

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