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はじめから順調だったからロングセラーになったわけではない◎地域の金融機関さまの取引先支援のお手伝い 〜支援に役立つ書籍と使い方(3)〜

株式会社ただいまの佐藤と申します。これまで10年以上、地域の事業者さんの支援を手がけてきました。支援にあたっては、地域の金融機関さんや支援機関の方々とご一緒させていただく機会が多く、千葉、長野、京都、広島、福岡、長崎などで主に活動しています。

地域の金融機関のお役に立てればと思い
このコンテンツをスタートして、3回目です。

これまでの繰り返しになりますが、地域の金融機関さんと活動していて驚くのが「私は銀行員で何も事業のことがわからない」「銀行業務以外のことは不得手である」とおっしゃることです。とんでもないことです。銀行の複雑な業務がこなせる方は、いろんなことができるはずだと思っています。

「不得手」だとおっしゃることのほとんどが「市場や顧客のニーズを知らない」ことや「事業をよりうまく展開するためのアイデアの提供」です。私の経験では、知識の獲得と考え方の訓練で、どんな方でもある程度までうまくいくと感じています。発想力とかは、実はそんなに関係なかったりします。

事業をうまく展開するためのアイデア提供のために、まずできること。 読書。

多忙な金融機関の皆様には、事業アイデアの提供のために割ける時間も限られていると思います。そんな中でもまずやっていただきたいのは、参考になる書籍を読むことです。読んで、知識を高め、その知識を実際に使っていただくことです。なんともアナログな手法ですが、、、Kindleなどの電子書籍も活用すればスキマ時間ででき、お金もそれほどかかりません。

第3回目は、ロングセラー商品がなぜ産まれたかを学べる、ちょっと柔らかい1冊をご紹介します。

「ロングセラー商品」誕生物語<日本企業激闘編> です。

これまでの商品開発のストーリーがマンガで読みやすくまとまっています。

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全部で21商品の開発秘話が紹介されています。その中には、終戦を契機に立ち上がった商品など、まさにどん底からのスタートといった ケースもあります。

オススメポイント(1) ロングセラー商品は「はじめから順調だったからロングセラーになったわけではない」ということがわかる

今ではたくさんの方が知っている商品でも、開発の過程や販売のスタート時には、さまざまな困難がありました。開発側としてはもちろん、なるべく早く成功の軌道にのりたいのは山々ですが、新商品がお客様やお取引先の評価を得るには、努力と時間が必要です。そういうものなのだと、この本を読めば腹をくくれます(笑)。

オススメポイント(2) お客様の気持ちや暮らしに寄り添おうとするから、永く愛されるということを再確認できる

今やお茶漬け海苔の代名詞となって広く愛されている『永谷園』さんも、戦後の混乱期の中、手軽に美味しく食べられてみんなに喜んでもらえる、またご自身も食べたい商品として「お茶漬け海苔」を開発、ヒットさせています。もともとはお茶屋さんだったのですが、時代の変化とお客様の気持ちをヒントに、以前よりあった「海苔茶」を見直し、進化させた商品です。

また『養命酒』さんのように、地元信州で400年以上前から愛飲されている商品を、お客様の生活スタイルの変化にあわせて訴求点を見直し、長く広く支持される商品もあります。今では自社商品の販売だけでなく、諏訪湖ほとりのアンテナショップ『くらすわ』で信州の魅力ある商品の販売や新商品開発などにも取り組まれていて、「地域商社」のような存在にもなられています。

オススメポイント(3) なんとしてでも「やりきる」という強い意思が絶対条件だと知らしめてくれる

これまで関わった地域支援のケースでも「うまくいきそうならやります」「補助金あるなら取り組みます」といった、他力本願な姿勢でご相談をいただくことはありました(いわゆる「ならやる」ケース)。しかしやはり、経営者や社員さんの「やりきるんだ」といった強い意思がなければ、結局うまくいかないというのが実感です。

本書には、弊社も永くおつきあいをさせていただいている『モスフードサービス(モスバーガー)』さんのお話もあります。むしろ「どこもやっていないならやってみよう」と創業し、1店舗目を出店されましたが、立地に難があり苦戦。限られた資金の中でより良い条件の物件を借りるため、物件オーナーの八百屋さんで無償で働いて熱意を伝え、モスバーガー1号店をオープンされました。

「いまさらそんな浪花節な、、、」と感じられるでしょうか。しかし、時代が変わっても商売は人と人の生業です。農の6次産業化支援を通じた新店舗のオープンの支援を通じても、そうした「人情」の力は、いまも少なからず事業の成功に影響することを僕自身実感しています。

今の時代にあわせた読み方の注意ポイント〜テレビCMの活用の効果は?

本書ではしばしば、商品の知名度をあげるためにテレビCMが活用されていますが、現在と当時ではメディア環境や視聴者の生活スタイルも異なるため、高額な費用もかかるテレビCMが必ずしもどんな場合も効果的だとは言い切れない点は、ご注意ください。

SNSでの情報接触の増加やテレビ視聴者の数と層の変化、それぞれの情報深度など、メディアの特性を踏まえて適切な知名度をあげる手法を、ケースごとに検討されるのがいいと思います。

必ずしもいわゆる広告だけではなく、NHKなどの情報番組や家庭画報、大人の週末などの雑誌の記事、Yahoo!のようなオンラインメディアのニュースなどで取り上げていただくことで、売上や集客アップにつながることが多いことも、追記しておきます。

今回も長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

次回は、地域の金融機関の皆様が得意とされる「決算書」をヒントに、新しい事業アイデアを具現化するために役立つ書籍とその活用方法をご紹介する予定です。

             作成者:株式会社ただいま(サイトはこちら

第1回:『日本の消費者は何を考えているのか? ―二極化時代のマーケティング』の紹介と活用

第2回:『なんでその価格で売れちゃうの?〜 行動経済学でわかる「値づけの科学」』の紹介と活用

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