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この本のおかげで、って思えるのはなんかいい

読書が好きだ。

生活していると自分の価値観や生き方、考え方や立ち居振舞い方、そういうものに大きな影響を与えたり方向付けたりする言葉、音楽、人、体験、本に出会うことがある。

おれにとって言葉はとても重要で、特別な思い入れがある。

小さい頃から本が好きでよく読んでいたし、高校の先生の言葉は今でも憶えているし、バンドをやっていた頃はメロディよりも歌詞を重視していた。

本は、言葉そのものであふれ、自分の知らない世界までも短時間で教えてくれる。ただ、おれは読書量が多いわけではない。響いた本を何度も読み返す。以前には気づかなかったことや感じなかったことを、読むタイミングや自分の状態によって新たに獲得できるのが嬉しい。

感動した本、感銘を受けた本はいくつかあるが、その中でもおれの深いところに鋭く刺さり、今のおれのベースみたいなものをつくっているなと自覚している2冊がある。

 対岸の彼女(角田光代 著)

ナナコの17歳の誕生日、葵と二人で土手で喋っているシーン。
いじめのローテーションが始まったクラスで、ひとり浮いているナナコのことも自分のことも心配している葵に、ナナコが言った言葉。

「わたし、全然怖くないんだ、そんなの。そんなところにわたしの大切なものはないから。」


やられたね。これは刺さったな。
そうだよな、自分が大切にしたいと思うものを大切にしたいよな。そうじゃないものに神経つかったり時間を浪費したりするって単純にバカらしいなって気づいた。

全員から好かれる必要なんてないし、全部に100%関わるのはしんどい。

無理してそこに近づくことって自分を無くすことと同じだよな。

初めて読んだのはいつか覚えていないが社会人にはなっていたと思う。小説では唯一おれのバイブル的な存在だ。


「聴く」の本(藤田潮 著)

人事になりカウンセリングの勉強を始めた時に読んでいた本の中の1冊。もう余裕で10年以上前か。

おれがいかに聴けていないか、自分のモノサシで測るように人をみて、自分のバイアスにかけて物事を捉えているか、痛いほど思い知らされた。

カウンセリングには専門的かつ論理的に作られた技法が様々あり、それらに係る理論も多くあるのだが、ここで書かれている内容はとてもわかりやすい。というより誰にでも理解できるような伝え方がされているということだ。

聴ける人は、いったん自分を横によけて相手と向き合うことができる。自分のモノサシやバイアスを通さず、純粋に相手が何をどのように捉えているか感じているかを重視し掴もうとする。自分の伝え方が相手にどのように受け取られるかまで常に意識している。その道のプロフェッショナルだもん。そりゃ、わかりやすいわけだ。

“伝え方”は以前から意識して気をつけていたつもりだったが、“聴き方”は全然なってなかった。この本の内容がすとんと腹落ちしたことで、おれの“聴く姿勢”は一変したと思う。

今、ポジティブだろうがネガティブだろうが、情報も言葉も好きなだけ集められるし好きなだけ発信できる世界で毎日生きている。


誰かを励ましたり、笑顔にしたり、愛したり、おれはそういうことに言葉を使いたい。


**momo19870209様、画像使わせて頂きました。ありがとうございます。**

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