マガジンのカバー画像

世界一周307日

100
2011年3月10日。ひとりの旅行作家が全く新しいシステムによる世界一周の旅をスタートさせた。巡る先はアジア、ヨーロッパ、アフリカ、北米、南米、オセアニアの世界6大陸。『SUGO…
運営しているクリエイター

2020年10月の記事一覧

note70: マイアミ(2011.10.3)

【連載小説 70/100】 マイアミの空と海はどこまでも青く、ビーチで過ごす人々の表情は皆明るい。 アメリカ屈指のリゾートということでハワイと比較されることの多いフロリダだが、米国東部に暮らす人にとっては圧倒的にフロリダの方が身近なバカンス地のようだ。 ハワイに触れたのは他でもない。 トラベルライターとしての僕のキャリア上ハワイは欠かせない場所なのだ。 1994年に独立してフリーランスになった僕が最初に足繁く通ったのがポリネシアやミクロネシアの島々でハワイは創作活動の

note71: マイアミ(2011.10.5)

【連載小説 71/100】 「“マイアミバイス”ってTV番組があったのを覚えてる?」 とUncle-Tom。 1980年代にヒットした刑事ドラマのことはよく覚えている。 マイアミ警察特捜課に所属するふたりの刑事が犯罪組織と闘うでシリーズで、主人公の着こなすアルマーニのスーツやビルボードチャートのヒット曲とのタイアップが話題となり日本でも人気の番組だった。 確か数年前には映画版も公開されたはずだ。 実はあの番組がその後のマイアミ観光に果たした役割は非常に大きかったと彼は言

note72: マイアミ(2011.10.7)

【連載小説 72/100】 スティーブ・ジョブズの訃報をアメリカで聞くことになるとは予想もしていなかった。 「iPhone4S」のニュースをいつものようにワクワクしながらネット上で見て「帰国後は買い替えかな…」と考えていたところに悲しいニュースが飛び込んできた。 僕がiPhoneとMacBookAirを持って世界一周の旅を続けていることは、何度もこのレポートで取り上げてきたのでご存知の通り。 これらに加えてiPad2も持っていればジョブズは喜んでくれただろうが、僕が日

note73: キーウエスト(2011.10.9)

【連載小説 73/100】 アーネスト・ミラー・ヘミングウェイ(1899年- 1961年)。 つい先日ノーベル文学賞が発表され、残念ながら今年も村上春樹は受賞を逃したが、歴代のノーベル賞作家で日本人に最も知名度が高いのは間違いなくヘミングウェイだろう。 没後50周年ということもあって、雑誌で特集が組まれたり研究書が発刊されたりして、新たなブームが起きていると聞く。 多分、その作品を読んだことがない人でも、その髭面と強い眼光、カジュアルなファションを着こなすダンディな男を

note74: バンクーバー(2011.10.13)

【連載小説 74/100】 常夏のフロリダから秋が深まりつつあるバンクーバーへ。 北米大陸の南東から北西へ移動して、旅人の僕の中でまた何かがリセットされた感がある。 4半世紀ぶりに訪れたバンクーバーは、かつてと同じく「空気がきれいだな」という心地良い好印象。 おそらく、この雰囲気が「住みやすい都市」1位に選ばれる所以なのだろう。 実はPASSPOT社のSupportDeskが知らせてくれた「世界で最も住みやすい都市ランキング」のことを知らなかったので調べてみた。 調査

note75: バンクーバー(2011.10.17)

【連載小説 75/100】 14日の「DICE ROLL」デーに次の訪問地が決まった。 >>>>> Dice Roll ⑯/2011.10.14-20:00<<<<< Vancouver → Los Angeles 【ロスアンゼルス Los Angeles】 再びUSAに戻り、西海岸を代表する全米第2の人口規模を持つロスアンゼルスに10月22日から11月2日まで滞在。 フライトはエアカナダAC552便(バンクーバー10:35バンクーバー発 → 13:22ロスアンゼル

note76: バンクーバー(2011.10.21)

【連載小説 76/100】 転々と世界を旅する中で、僕は何度も「文明と自然」を対比させて双方の概念を行き来する思考をレポートしてきたが、旅も終盤にかかった今、もうひとつの文化的な対比概念を強く意識している。 「木の文化と石の文化」である。 住居をはじめとする建造物や芸術作品などの人々の営みを支える価値観が変化する“木”に立脚しているか、不変の“石”に立脚しているかの対比ととらえてもらえればいいだろう。 アメリカやカナダは近代的な国家分類でいえば「西洋=石の文化」に属す

note77: ロスアンゼルス(2011.10.25)

【連載小説 77/100】 半月ぶりにアメリカに戻って感じるのは、この国は常に挑戦し続ける“チャレンジ”の国だということ。 グローバル社会における相対的な弱体化はありながらも、やはり世界を動かす覇権国であることは間違いなく、そのポジションをキープしているのは建国以来遺伝子的に持つポジティブなチャレンジ精神なのだと思う。 たとえば環境(エコロジー)に対するLA(ロスアンゼルス)の取り組み。 3日前、バンクーバーからロサンゼルス国際空港に到着して知ったのだが、この近代的な空

note78: ロスアンゼルス(2011.10.29)

【連載小説 78/100】 各地を旅しながらも僕はいわゆる「観光ツアー」に参加することはあまりないのだが、日本人ツーリストに人気のバスツアーがあると聞いて参加してきた。 ビバリーヒルズに建ち並ぶ映画スターの豪邸や名作映画のロケ舞台をめぐる約5時間のツアーで、日本語ガイド付き料金は90ドル。 せっかく映画の都へ来たのだから、こういったツアーを体験するのも悪くはない。 ジョニー・デップやトム・クルーズ、キャメロン・ディアスといったスター達の屋敷は当然車窓から眺めるだけだが、ガ