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note74: バンクーバー(2011.10.13)

【連載小説 74/100】

常夏のフロリダから秋が深まりつつあるバンクーバーへ。
北米大陸の南東から北西へ移動して、旅人の僕の中でまた何かがリセットされた感がある。

4半世紀ぶりに訪れたバンクーバーは、かつてと同じく「空気がきれいだな」という心地良い好印象。
おそらく、この雰囲気が「住みやすい都市」1位に選ばれる所以なのだろう。

実はPASSPOT社のSupportDeskが知らせてくれた「世界で最も住みやすい都市ランキング」のことを知らなかったので調べてみた。

調査を行っているのは英国誌『エコノミスト』の調査部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニット (EIU)で、世界の140都市を対象に治安や医療、文化、環境、教育など30項目で都市の住みやすさを客観評価している。

このランキングでカナダのバンクーバーが5年連続首位に選ばれているということだが、今年度発表のベスト10は以下である。

1.バンクーバー(カナダ)
2.メルボルン(オーストラリア)
3.ウィーン(オーストリア)
4.トロント(カナダ)
5.カルガリー(カナダ)
6.ヘルシンキ(フィンランド)
7.シドニー(オーストラリア)
8.パース(オーストラリア)
9.アデレード(オーストラリア)
10.オークランド(ニュージーランド)

なんとトップ10のうちカナダとオーストラリアが計7都市を占め、毎年ランクインの常連らしい。
9月上旬に滞在したフィンランドのヘルシンキが含まれるのは実感として頷ける。

また、オークランドとメルボルン、シドニーは残り3ヶ月となった「SUGO6」のデスティネーション候補地だからそれらのうちどこかを訪れる可能性が大きい。
長旅の締めくくり部に「住みやすい都市」を並べたあたりにPASSPOT社の企画力を感じる。

そんなバンクーバーの住みやすさが旅人へのホスピタリティにも通じていると感じたのが自転車の存在だ。

バンクーバーの都市としての魅力は自転車が社会システムにしっかりと組み込まれ、街も公共交通機関もライダーの利便性を考えて作れられているところにある。

たとえば自転車優先道路。
道の入り口に標識があるのでわかりやすく、自動車と共有の道ではあるがロータリーや出っ張りが数多く存在し自動車のスピードが抑制される工夫がなされている。

次に公共交通機関との連携性。
バンクーバーでは路線バスに専用キャリーが付いていて、無料で自転車を乗せることができるのだ。

一方で交通ルールは厳しい。
二人乗り禁止や方向指示のサイン出しが細かく決められていて、違反者には自動車同様に罰金規則がある。

そして何よりも注目すべきは、僕が今日利用したバイク(自転車)・シェアリング・サービスだろう。

バンクーバーの駅や公園近辺に設置された専用の駐輪場でスロットルにクレジットカードを差し込むと誰でも自転車を借りることができ、返却地が自由に選べるシステムだ。

旅先における観光活動をサポートする二次交通は電車やバスなどの公共交通がメインとなるが、自由に使えるレンタサイクルがあれば旅人の行動範囲とアクティビティは一気に広がる。

僕は今日、このサービスを利用して有名なギャスタウンへ出かけてきた。
バンクーバー国際ジャズ・フェスティバルや国際自転車レースが開催される町でレトロな蒸気時計がランドマークとして有名な観光地だ。

滞在しているキングスウェイ通り沿いのホテルから往路は自転車を利用し、帰路は途中でスカイトレインに乗り換えて帰ってきた。

バンクーバーのきれいな空気と美しい街並みを味わいながらのサイクリングがあまりにも楽しかったので、明日はダウンタウンの西部にあるスタンレーパークを訪れようと考えている。

>> to be continued

※この作品はネット小説として2011年10月13日にアップされたものです。

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