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note75: バンクーバー(2011.10.17)
【連載小説 75/100】
14日の「DICE ROLL」デーに次の訪問地が決まった。
>>>>> Dice Roll ⑯/2011.10.14-20:00<<<<<
Vancouver → Los Angeles
【ロスアンゼルス Los Angeles】
再びUSAに戻り、西海岸を代表する全米第2の人口規模を持つロスアンゼルスに10月22日から11月2日まで滞在。
フライトはエアカナダAC552便(バンクーバー10:35バンクーバー発 → 13:22ロスアンゼルス着)
宿泊につきましては選択肢が豊富にございますので、ロスアンゼルス内で滞在を希望される地域がございましたら手配させていただきますので連絡ください。
>>>>>SUGO6 Support Desk<<<<<
確率的に次の目的地は南米大陸のどこかだと想定していたから「1」の目が出てアメリカに舞い戻ることになり驚いた。
10代の頃は常に“憧れの地”だったロスには特別な思いがあるし、訪れるのも久しぶりだから楽しみである。
ハリウッドやビバリーヒルズ、サンタモニカなどを転々と巡ろうと考えている。
さて、前回バンクーバーのバイク・シェアリング・サービスに触れてスタンレーパークを訪れる予告をしていたが、思わぬ発見があったのでレポートしよう。
バンクーバーは「北のハリウッド」と呼ばれるほど映画撮影が頻繁に行われているそうで、特にロケ地としてよく利用されるのがこの公園だという。
スタンレーパークはバンクーバー市のダウンタウン西部に位置し海に囲まれた公園で、広さ400万平方メートル・周囲約10kmととにかく広い。
針葉樹林の美しい公園の中には水族館や展望台、トーテム・ポール・パークなどの観光スポットが点在し、レトロなミニチュア鉄道も走っている。
公園周辺には多くのレンタサイクルショップがあり、自転車はもちろんローラーブレードのレンタルもあって広大な敷地を効率よく巡ることができる。
そんなスタンレーパークを自転車で走っていた僕が思わず足を止めて驚きと共に見入ったのがトーテム・ポール・パークに立つ1本のトーテムポールだった。
ブリティッシュ・コロンビア州の先住民族が作った8本の色あざやかな作品を順に見ていると、1本の解説資料の中におぼろげな記憶が残るひとりの人物名を発見したのである。
実は以前にアラスカからハワイへ連なる環太平洋の先住民族文化史を取材して小説の素材としたことがあり、その時に興味を持って追ったハイダ族のビル・リードというアーティストがいたのだが、なんと彼の彫刻作品がスタンレーパークのトーテムポールの中に含まれていたのだ。
記憶というものは何かがトリガーとなって次々と蘇ってくるものである。
トーテムポールは北米の先住民族による柱状の木製彫刻で、家系に関わる紋章や伝承されてきた物語の登場者が彫られたものである。
当時ある日本人作家に極めて大きな影響を受けていた僕は、彼が数々の書籍に記したトーテムポールとその背後にある神話の世界に魅せられて読みあさっていた。
そして、ビル・リードの名とその作品を“彼”の写真集の中で知ったのだ。
その日本人作家の名は星野道夫。
アラスカを中心に野生動植物の写真を撮り続けたカメラマンで、数々の随筆を残した作家である。
ある意味では僕を“旅を人生の住処”とする今のトラベルライターの仕事に導いたメンターのごとき存在である彼の名が、長旅の道中のアラスカに近いバンクーバーで1本のトーテムポールとそれを彫ったアーティストを通じて蘇ったのは“旅の奇跡”だと思う。
記憶を辿ってネット検索を重ねると、僕が目指すべき訪問地がすぐ近くに見つかったので、早速明日自転車に乗って行ってみるつもりだ。
次回は僕の中に眠っていた神話についてレポートすることができるだろう。
※この作品はネット小説として2011年10月17日にアップされたものです。
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