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世話役会議REPORTー連携力を活かした食支援を目指してー(6/17開催)

参画するメンバーたち相互の情報共有、議論の場として隔月で開催している世話役会議の様子を残していきます。

開催日時:2024年6月17日19:00~20:30(オンライン)
参加メンバー(順不同・敬称略):
・明城 徹也(特定非営利活動法人 全国災害ポランティア支援団体ネットワーク(JVOAD))
・渡邉 潤(公益社団法人 日本栄養士会)
・諸岡 歩(公益社団法人  日本栄養士会/兵庫県庁 行政栄養士)
・大塚 理加(国立研究開発法人 防災科学技術研究所)
・齋藤 由里子/原 裕樹(公益財団法人 味の素ファンデーション) 
・事務局 須賀/鳥山(Crops -Food x ESD Design-)

復旧・復興期における「食と栄養」支援

能登半島地震が発生してから半年が経過。各メンバーが中長期的な視野に立ち、それぞれの専門性を踏まえた支援に関わっています。今回は相互のネットワークと知見を活かし合って前進している活動を中心にレポートします。

食を通じたコミュニティづくりを目指して

味の素ファンデーション(以下TAF)は、地域コミュニティ再生を目的とする後方支援を輪島、珠洲、能登、穴水の4市町で行う準備を続けています。各地域で支援拠点をもつビースボート災害支援センター(以下PBV)やNGO結などのたべぷろメンバー団体の協力のもと各行政への提案を行い、前向きな意向を受けて具現化が進んでいます。
地域ごとに対象は異なりますが、食をフックにしたコミュニティ育成の担い手となり得る食生活改善推進員や自治組織の方々に向けて、料理教室を開催するための研修会を行う予定です。

衛生管理を徹底したシンプルでわかりやすい料理教室パッケージは、東日本大震災後に東北各地域でスタートし発展させたふれあいの赤いエプロンプロジェクトの賜物。地域の主催者が料理教室運営ノウハウを身につけることにより、地域の実状に合った形で自律的にコミュニティ再生を図っていける期待値があります。
提供されるレシピは誰にでも簡単に調理できる内容で、栄養バランスが良く高齢者も食べやすい量や味付けに。調理のプロセスで健康や栄養の知識が身につくだけでなく、支援者も参加者も”いっしょに作り、いっしょに食べる”ことで、ゆるやかなつながりが生まれた事例も多くあります。
能登の各被災地においても、このノウハウが活かされていく地道な前進に復興への希望を見出していきたいと思います。(研修会の様子は後日レポートします)

顕在化している課題への対応

「災害時の食と栄養」の問題を解決に導くうえで、重大な課題が食事提供現場での衛生管理。能登の炊き出し現場での様子を受け、食支援に関わる誰しもが衛生管理を徹底するための手順や方法をマニュアル化していくことについて議題にあがりました。同時に、災害時に柔軟に活躍できる調理師を育成し、栄養士とも連携しながら活動する意義や可能性についても議論が及んでいます。

防災科学技術研究所の大塚先生からは、能登と珠洲の避難所を視察した際の地元住民による「弁当づくり」を通じた食支援の取り組みについて共有がありました。
また、被災者のニーズに合致した食料物資支援と、現地での栄養に配慮された食事提供を実現するために大切な行政担当者と栄養士の関係構築についても投げかけがありました。この課題をファクトベースに周知していくうえでも、学術的な検証を推し進めていく必要性にも言及いただいています。

「いつも」の取り組みを強化して「もしも」に役立たせる

各メンバーは、能登入りした際に得た気づきも踏まえて、次の災害への備えにつながる平時の活動に力を注いでいます。

行政栄養士向け研修会:さらなる活躍のために

日本栄養士会の常任理事で、兵庫県庁保健・栄養指導部門のリーダーを務める諸岡氏は、行政栄養士がもつ力が災害時により機能していくための道筋を検討。災害時に民間支援団体と迅速かつ適切な連携体制が組めるよう彼らのコーディネート力の強化を図る研修会を企画しています。この研修会には、たべぷろ世話役メンバーのJVOAD明城氏、PBV上島氏もパネラーとして加わる予定です。

「食の防災」啓発活動:各地域の実践を後押ししていくために

TAFの「食の防災」を掲げた啓発は、取り組む地域、対象者ともに広がりをみせています。市町村単位で、地域ごとに異なる細かな課題に則した仕組みづくりとなるよう啓発内容を工夫しています。
前回のレポートでも触れた「”災害時の食と栄養” 問題解決に向けた地域内仕組み構築進捗チェックリスト」は、仕組み構築の進め方を探る手がかりとなるよう設計したもので、危機管理課行政職員と行政栄養士の対話を促し、共通認識を持って協働していくうえでも役立ててもらえたら、という願いが込められたものです。
各メンバーからは;
 ✓健康対策支援と食料支援を分けるとよいのではないか?
 ✓支援物資の物流の観点でチェック項目があってもよいのでは?
 ✓フェーズごと、要配慮者の食という項目の検討も必要。
 ✓人の連携を目的とした顔合わせの場づくりやネットワーク形成といった項目も重要。
 ✓被災者支援コーディネーションガイドライン (JVOAD作成)も参考になるのでは?といった様々なフィードバックが寄せられました。
たべぷろ連携でより実践的で網羅的なツールに更新していく予定です。

発展的な取り組み:フェーズフリーな活躍・活用を目指して

日本栄養士会の渡邉先生からは、災害支援チーム(JDA-DAT)で、あらたに国際支援メンバーとして9名を登録した旨の報告がありました。世界各地で生じている自然災害や紛争等に対して、栄養を通じた国際支援体制をつくるための試みです。

TAFからは、9月に完成予定の「どんなときも ♪ レシピ集」の案内がありました。調理環境や食材の制約下でも栄養に配慮したおいしい食事づくりが簡便に楽しく進められる画期的なツールとなりそうです。

世話役会議での議論や実際の取り組みについて、これからも定期的に記録していきます。ぜひご注目ください。


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