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世話役会議REPORTー連携力を活かした食支援を目指してー(4/9開催)

参画するメンバーたち相互の情報共有、議論の場として隔月で開催している世話役会議の様子を残していきます。

開催日時:2024年4月9日19:00~20:30(オンライン)
参加メンバー(順不同・敬称略):
・明城 徹也(特定非営利活動法人 全国災害ポランティア支援団体ネットワーク(JVOAD))
・上島 安裕(一般社団法人 ピースボート災害支援センター(PBV))
・渡邉 潤(公益社団法人 日本栄養士会)
・大塚 理加(国立研究開発法人防災科学技術研究所)
・齋藤 由里子/原 裕樹(公益財団法人 味の素ファンデーション) 
・事務局 須賀/鳥山(Crops-Food x ESD Design-)

前回に引き続き、能登半島地震での災害支援における各団体の活動状況の共有を中心に意見交換を重ね、各立場から捉えた課題感と長期的な視野にたった連携の可能性について話し合っています。

地域差はありながらも、少しずつ進む「食と栄養」支援

今回は、発災直後から能登の被災現場に入り、休みなく支援活動を続けている全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(以下JVOAD)およびピースボート災害支援センター(以下PBV)の世話役メンバーが参加しています。

石川県庁を拠点に、国や自治体とNPO等民間支援団体の間に立ち、多様なコーディネーションを進めるJVOAD明城事務局長からは、食支援調整状況の進捗報告がありました。各被災地域の食支援体制を整えるべく、現場の声を掬い上げ、弁当手配や炊き出し支援窓口、災害救助法の活用等について行政への働きかけを行っていますが、食に対する意識や復興への道筋における食の対応について各行政ごとの見解があり、支援の在りようも様々なようです。
今後も、もれ・むらがない支援体制に向けて地道に取り組んでいくことが重要だということをメンバー間で認識共有しています。

JVOADのホームページでは、能登半島地震での支援コーディネーションにまつわる情報を不定期に更新されていますので、あわせてご覧ください。

珠洲市と輪島市で、①炊き出し調理 ②炊き出し支援調整 ③支援拠点運営を続けているPBV上島事務局長からは、地域差はありながらも栄養バランスのとれた食支援に向けて少しずつ改善が図られている状況と、長期的な課題について説明がありました。
なかでも話題に上がった事例が、グリーンコープ×コネクトによる避難所での補助食品提供です。食材調達・おいしい惣菜づくりと運搬面で強みを持つチームがタッグを組み、PBVと連携することで、栄養バランスに配慮した食事提供の一つの枠組みが整いつつあります。これは、物流インフラが回復してきたことによって実現している前進となります。

避難所に冷蔵庫・レンジを設置。おいしく栄養バランスのとれた調理済惣菜や食品を一覧表から選べる。要望に基づき食品を手配し、1週間に一度、避難所に届ける

また在宅避難者支援においても、道の駅を支援拠点に物資や情報の提供を行い、サロンのような場づくりを通じてコミュニケーションが生まれるよう工夫されています。
いまだ断水率が高い地域においては、断水状況の復旧が生活改善に向けての優先課題であることも報告がありました。

PBVが昨年末に始動したフェーズフリーな支援を目指すキッチンカープロジェクトFooBour」。春以降は支援がなかなか行き届かなかった珠洲市大谷地区で住民に食材を届ける仕組みとして機能するよう、フーバーの活用に期待が高まっています。


PBV上島さんの近況報告では、珠洲市の小学校で3月末まで行っていた学校給食支援の活動についても共有がありました。PBVが発信されたこちらの動画からは、その給食を味わっていた小学校の子どもたちの「ありがとう」の気持ちや、また人の気持ちに寄り添った支援を根気よく続けられるPBVチームの様子が伺えます。ぜひご覧ください。


能登半島地震発災後の急性期から栄養アセスメントに対する支援を続けていた災害支援チーム JDA-DATは、石川県との協議の上一旦3月末で支援が一区切りとなりました。今後の復旧・復興に向けての支援についても行政との連携の中で模索を続けていくことになります。
災害支援現場での栄養士の活躍の様子を受けて、被災者の健康維持上の課題や体制づくりなどの面で抱えた彼らのリアルな課題感を記録していくことが、次の災害に備えるために必要な平時のアクションにつながるのではないか?という問いかけがありました。
たべぷろが担える役割の一つとして、こうした栄養士が直面した課題や考え得る栄養改善策について多角的な視点で整理して発信していくことが挙げられています。

味の素ファンデーション(以下TAF)は、避難所での食事の栄養改善を図るため、たべぷろメンバーである食品メーカー等とも連携した物資支援を続けてきましたが、今後は復旧・復興へのフェーズを見据えて、地域コミュニティ再生を目的とした後方支援を模索していくことになりそうです。

野菜ジュースや常温保存可能な豆腐や牛乳、カップスープなど、届けた支援物資は13万個に。

「いつも」の重要性:様々な地域で推進を目指す「食の防災」

平時からの仕組みづくりを喫緊の課題として捉え、岩手県や静岡県など各地で「食の防災」を掲げた講演やワークショップを展開しています。公助だけに頼らず民間のアクターを増やしていく試みでもあります。
実践的で具体的な災害対応を目指して設計したツール「仕組み構築進捗チェックシート」も活用しながら、今後も活発な啓発活動を続けていきます。

世話役会議での議論や実際の取組みについて、これからも定期的に記録していきます。ぜひご注目ください。


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