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#インタビュー

“出てくる人や起こった出来事を私が断罪しない。”藤野可織『来世の記憶』を語る。

“出てくる人や起こった出来事を私が断罪しない。”藤野可織『来世の記憶』を語る。



これまでに書きしたためた20編の物語を集めた

藤野可織およそ3年ぶりの短編集、『来世の記憶』(KADOKAWA)。

2006年「いやしい鳥」で第103回文學界新人賞。

13年『爪と目』で第149回芥川龍之介賞。

そして14年『おはなしして子ちゃん』で第2回フラウ文芸大賞を受賞するなど

活躍を続ける藤野可織。

その最新作『来世の記憶』にあるのは“静か”で“ちょっと不思議”な物語たち。

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“いっぱい色んなものを隠し、埋め、漂わせた物語”高山羽根子『首里の馬』を語る。

“いっぱい色んなものを隠し、埋め、漂わせた物語”高山羽根子『首里の馬』を語る。



2009年「うどん キツネつきの」で第1回創元SF短編賞佳作。

2016年「太陽の側の島」で第2回林芙美子文学賞受賞。

そして今年2020年『首里の馬』(新潮社)で第163回芥川賞受賞。

沖縄の古い資料館で様々な記録の整理をする。

オンラインでクイズを出題するオペレーター。

それが主人公の仕事。

台風が近づくある夜、幻の宮古馬が庭に迷い込んできた・・・

どんなものでも記録は残して

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“座右の言葉は、読者の期待に応えない。”森見登美彦が語る『四畳半タイムマシンブルース』。



森見登美彦の代表作『四畳半神話大系』。

上田誠率いる劇団ヨーロッパ企画の代表作「サマータイムマシンブルース」。

二つの名作が“悪魔の合体”して誕生したのが

『四畳半タイムマシンブルース』(KADOKAWA)。

表紙は、森見作品には欠かせない中村佑介が飾る。

舞台は夏の四畳半アパート「下鴨幽水荘」。

『四畳半神話体系』のあの面々の前にタイムマシンがやってきた!

そう、あの“もっさり

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“主人公は私に似ている。”遠野遥『破局』を語る。

“主人公は私に似ている。”遠野遥『破局』を語る。



昨年11月、『改良』でデビュー。

今年7月、『破局』で第163回芥川賞受賞。

遠野遥。

本の帯にはこうある。

“いびつなキャンパスライフ”

“新時代の虚無”

本人は言う。

「そんなにいびつ、虚無だとは思わない。そんなに変ですか?」

重ねて言う。

「主人公の陽介は僕に似ている・・・」

28歳の鬼才が紡ぐ物語の舞台は自身の出身校、慶応大学でもある。

その物語はどのように書かれ

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“結婚と探検に共通する構造・・・”角幡唯介が語る『そこにある山 結婚と冒険について』。

“結婚と探検に共通する構造・・・”角幡唯介が語る『そこにある山 結婚と冒険について』。



『空白の5マイル』『アグルーカの行方』『極夜行』・・・

自らの極限の探検をもとに執筆を続けている。

その最新刊が『そこにある山 結婚と冒険について』(中央公論新社)

“冒険とはなんですか?”

“どうして結婚したのですか?”

繰り返されるその質問に辟易としていたという。

一見、相容れない二つの事象。結婚と冒険。

一方で、探検をし結婚後の日々を送る中で見えてきた

そこに共通する構

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