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世界に散らばったチームと働くということ

昨今の環境において、オフィスではなくて、自宅から働くWork From Home(WFH)がベースになった時に、家の環境がとか、評価の方法がとか色々話題があったのですが、今回は多拠点に住んでいるチームがリモートで働くということについて、よくまとまっているおすすめの本を紹介したいと思います。

すでに自分は日本に帰国してしまったのですが、シンガポールで働く前から、日本からシンガポールやインドのチーム、たまにUSやEUのチームとリモートで働くというチャンスをもらうことがありました。ちょうど2015年ぐらいから実案件において、同じオフィスにいない人たちと働く、つまりテレビ会議越しに働くという機会を得ていた形になります。

結果として、パンデミックになりWFHへシフトした時にも、それまでは3拠点にそれぞれ人が集まり、画面を繋いでいたものが、単に個々人が画面一つ一つに分割されるだけの変化となったという変化に過ぎませんでした。実はデメリットはひとつもなくむしろ、3拠点で繋ぐよりも個々人が独立して画面につなぐことでチームがフラットになったというメリットの方が大きかったという話もありますが、テーマが逸れていってしまうので複数の拠点にいる人と働くという話に戻りたいと思います。

直近で、国を跨ぐ様な複雑なケースでなくとも、パンデミックがきっかけで、多くの人がリモートワークを求められることが増えたというのもあり、自分の経験もだいぶ一般化されてしまったのかなと思いつつも、まだまだ戸惑っている人、試行錯誤している人もいるかもですが、下記がおすすめの本となります。

自分は英語で読んでしまったのですが、12/13現在で日本語版の方が安かったですね(笑)。正直なところ、この本2015年の段階で読みたかったというのが本音です。それまでにも似たような本があったのかもしれませんが、より体系的にリモートチームで働くことについてまとめている本としては個人的にはおすすめです。なぜなら、自分が体験した問題点などがまさにリストに入っており、それに対して筆者としてのおすすめの対策が書かれており、それはそれで理にかなっている、または自分も結果としてその様な方法をとっていたということが多々あったというのが主な理由です。ひとつ具体的な例として、自分も体験した失敗について紹介してみたいと思います。

チームの状況は比較的シンプルで、日本とシンガポールのチームの2カ国共同プロジェクトで、結果としてはなんとかリリースしたのですが、正直その後ポジティブに同じメンバーの組み合わせではうまく続けることができなかったので、自分の中では大きな反省と次への学びとさせてもらったことが多かった状況でした。何がわるかったのか、それは、言葉による壁とそれを考慮できなかったプロジェクトスケジュールというのがメインな失敗要因だと考えてます。共通の言語は、英語としていたのですが、プロジェクトに新規参加する英語堪能者と、英語初心者でプロジェクト知識が多くある人という人の間で会話が十分に行われずに、お互いの信頼が獲得できなかった、それが故に、常に失敗やミスについてお互いが攻め合うみたいな結果になってしまいました。あわせて、プロジェクトをリードしていた自分としては、期限に納めるために意思決定を多少強引な進め方をせざるを得なかったのかさなり、新しいプロジェクトを同じメンバーでは進められないという結果を作り出してしまったと考えています。英語レベルを考慮して、お互いがしっかりと理解し合うための時間を確保したり、議論をした後に双方がちゃんと理解できたのかを質問したり、プロジェクトマネージャーとしてやするべきことが多かったなと反省点があります。しかし、この本で同様のケースでの同様な対応策について書かれており、あぁ、なぜこの本が当時で出版されてなかったんだろうとややため息と共に、すでに6年以上前の失敗が鮮明に蘇ってしまいました(笑)。

また、もうひとつこの言語に関するテーマで書かれていたところで、深く頷いた説明に、『母国語が英語じゃないチーム同士の場合、会議中にどちらかが一度でも母国語で内輪なディスカッションなどをしてしまうと、母国語の同じメンバー同士でどうしても”us(私たち) vs them(彼ら)”という心理的な壁ができてしまう』という部分があります。自分のケースではロケーションかつ言語(英語シンガポール、日本語日本)というダブルの壁が造られてしまったことで、信頼を取り戻すには難しい程度の対立構造を作ってしまいました。必ず英語以外では会議中は使わないというルールを徹底するべき、また万が一使ってしまったとしても完全に同じ内容を英語で話し直すべきだだというこの著者の意見には同意していますし、自分のその後の似た様な案件ではそれを心がけています。

上記はまさに一例ですが、リモートワークを成立させるための、信頼関係の種類や必要十分な信頼とはなにかなど、単に対策だけではなく、前半はベースとなる考え方などをもしっかり説明されている本の構成になっています。あまりこういったビジネス書を個人的に強く薦めることはしないのですが、あまりに自分の経験とそして学んだことがうまくまとめられているのもあったので、今回は比較的強めにお勧めしたいと思います。

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日々ぼけっと生活してしまっていますが、他の人にもなんらか価値のある情報や自分なりの視点を何か持っているはずと信じてnoteをはじめました。 自己紹介はこちら https://note.mu/t_kis/n/n768f4613e0ef