浮き沈みあるミントガム
雨の病院ロビーに怒号が轟く。
車椅子のご年配「いったい何時間待たせんだ」と。
いつも以上の混雑。
私の膠原病科も朝十時の予約が、既に午後二時を回っていた。
待ち時間に諦観の私は付き添いの妻と楽しく時間を潰す。
コーヒー屋に二度訪れ、院内食堂でランチし、昼寝も。
妻が買ってきた懐かしのチューインガムを口にし、味の持続時間に感動。
今日はこれで一句だね、なんて。
「番号を呼ばれたときは合格発表より嬉しかったです」と医師に軽口まで。
それが一転。告げられた検査結果に言葉を失う。
委細省略。
薬を増やし経過を観察してまた来週受診となった。
己のメンタルの弱さよ。
「怒ってもしょうがない」って目で見たお爺さん、ごめんなさい。
今ここから四時間待てと言われたら、私も笑ってる余裕ない。
そこからの記憶も曖昧で。
バスを降りる時、傘を病院に置き忘れてきてハッとなるまで空白。
妻がくれた二枚目のガムも気が付いたら味がなかった。
ガムに味消えて卯の花腐しかな
(がむにあじきえてうのはなくだしかな)
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