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ドキュメント72時間から考える死生観

死から生を考える。

死が身近にあることで、日常の生き方は変わってくる。

ドキュメント72時間という番組がある。
ある特定の場所にカメラを据え、そこに集まってくる人の話を72時間(3日間)取材し続けるというシンプルな構造の番組でありながら、ひとりひとりのドラマが濃いいために大変深みのある番組で、その人気もかなりのものだという。

つい先日、番組が10年の節目を迎えるということで、歴代のベスト10を決めるという特番が放送された。

総計6時間近くの放送を観終え、率直に感じたのは人の死や命に関するエピソードのランクインが多かった気がすること。

恐山、樹木葬、老人ホーム、長崎のお盆、大病院の小さなコンビニ

10個のうちなんと半分がそういったエピソード。

投票でもってこのランキングが作られているのだが、思うに、圧倒的な共感がそこにはあるのではないかと思ってしまう。
誰しもが家族や大切な人の死に直面している、もしくはこれから直面することがある。実際の経験があるなしに必ず周りに、そして自分に訪れるものに対して関心を向けることは避けられないのだ。

そんな避けられない関心事に対して向き合い、そして死というもの病気になるということが必ずしも老いてなることではないし、若いからといって安心するのは違うし、いつ誰がどうのような形で死を迎えるかはわかないのだ。だからこそ、毎日を大事に過ごしていかなくてはいけない。そういった中で後悔のない生き方ってどこにあるんだろうかというサンプルもこの番組に記されていることがある。

ランキングにもある、日本ダービーの大行列の回なんてのはまさにそれ。なんとダービーの5日前から行列に並び、野宿をする生活をしているのだ。ただ、いい席で競馬を観たいがために。でも理由はしれだけではない。その行列に並ぶこと自体に楽しみを見出している人たちの様子がよくわかる。
日本ダービーという大きな目的があるのはもちろんだけれど、その楽しみは5日前からすでに始まっていて、その過程そのものが日本ダービーなんだと教えてもらったように感じた。

競馬におけるコストパフォーマンス的にはかなり悪いかもしれない。というのも、払い戻し所の最後のシーンで全く中継を観ても聞いてもいない人が200万当たったという場面があって、競馬的には家で結果を知って換金するというのがいいのかもしれないけれど、そもそもギャンブルとして金になるかどうかは二の次で、それ以外のまわりに付随するあらゆる無駄が大切なのかもしれない、、

若かろうが、高齢になろうが死について考えるときに同時にどう生きるかにつながってくる。よく将来設計をしっかりするとかなんとか言われることもあるけれど、それこそいつ何があるかなんてわかりっこないし、未来が自分の計画通りにいくのもいいかもしれないけれど、それってそんなに面白くはないのだろうよ。目の前の今をやっていって振り返った時にあるのは過去で、未来なんてものはあるようでないんだから、今をいかに楽しく生きるか。

ドキュメント72時間を観ていると、死を考えいかに生を謳歌するか、そんなサンプルがたくさん詰まっている。どこの局のどんな番組よりも超重要な番組だと確信している。

なのでドント、見据えて。

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