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ポップコーンは買わない派です。vol.44

風の電話

線の繋がっていないその黒電話は、心で繋がっていました。
実際にその場所にいくとより深い理解。

予告編

あらすじ

8年前の東日本大震災で家族を失い、広島の叔母のもとで暮らす17歳の少女ハル。ある日、叔母が突然倒れ、自分の周りの人が誰もいなくなってしまう不安にかられた彼女は、震災以来一度も帰っていなかった故郷・大槌町へ向かう。豪雨被害にあった広島で年老いた母と暮らす公平や、かつての福島の景色に思いを馳せる今田ら様々な人たちとの交流を通し、ハルは次第に光を取り戻していく。道中で出会った福島の元原発作業員・森尾とともに旅を続けるハルは、「もう一度、話したい」という強い思いに導かれ、故郷にある「風の電話」にたどり着く。

はじめに

この作品を観る前の前情報として「東日本大震災」というワードが強く出張されてきた印象があった。

その大きな東日本大震災という出来事を皮切りに日本の今置かれている現状がわかる内容になっていると思った。ヒロインはモトーラ世理奈ちゃん演じるハル。

彼女は震災で家族を亡くし、広島の叔母と暮らしていた。しかし叔母が突然倒れてしまい、自分の周りから人がいなくなっていくことに不安を感じた。そして彼女は故郷の大槌に向かうことにした。

その道中で出会う様々な境遇の人たちとの出会いで成長していく。そして大槌で出会うことになる風の電話。

これは実際に存在するものである。↓

風の電話に行ってきた。

緊急事態宣言がかかる前の3月末に映画の一部舞台にもなった岩手県の大槌に行ってきました。

大槌の波板海岸という駅が最寄りです。私は三陸鉄道リアス線で向かいました。

歩くこと10分少々、現れたのは素敵なオープンガーデン。

あたりに人はいない様子でした。

中へ入ってみると、ありました。

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存在感が強く感じられるたたずまい。スクリーンの中に自分もいるかような不思議な感覚。電話ボックスの中には線の繋がっていない黒電話が一つ。受話器をとって故人を想う。心の中にしまっていたものがここなら溢れて話すことができるのも納得できた。

震災を機に設置された風の電話年間に3万人もの人々がここを訪れ、亡くされた家族、友人を想って受話器を取るのだ。

線は繋がっていなくとも心は通じ合っている。受話器をとって話始めると自然とそれまでのモヤモヤした気持ちが和らぎ、温かい心に包まれる。

ガーデン内にはカフェが併設されており、そこにはガーデンのオーナーと1人のお客さんが談笑していた。私もそこに混ぜてもらい、いろいろお話を伺うことができた。

「元々震災が来る前からここに電話を立てようと思っていたんだよ」

と話すオーナーの佐々木さん。波板海岸でも震災の被害はとてつもなく酷かったそうだ。そんな中で風の電話というのはそこに建つべくして建ったのだと感じた。年間に3万人も訪れるというこのオープンガーデンで少しでも心が癒せたらという思いで活動しているそうだ。

植物のセラピー効果、そして風の電話による心理的な治癒はここに訪れる人全員に与えられる。なんだかとてもお金などでは変えられない豊かさをエルことができた気がする。

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少額ながら協力させていただいた。にしてもサンダルてw 3月の岩手はだいぶ寒かった。

しばらくしたらオーナーの奥さんも登場して
映画制作のお話も少し伺うことができて、クルーが実際にガーデン内で撮影したそうだ。その時にモトーラ世理奈ちゃんを間近でみていたそうだ。奥さんもその演技の雰囲気、オーラには感じるものがあったそうだ。

にしても羨ましい。。。
この作品より前から世理奈ちゃんのことは知ってはいたが、この作品でファンになってしまった。。。素敵すぎる。。

ダウンロード

冒頭でも少しお話したが、この映画では様々な境遇にある人物が登場する。

原発作業員、被災者、クルド難民、そしてハル自身、演者の西田敏行さんも福島の出身ということで思い入れある演技に仕上がっていたのだと思う。

いや、演技、、難しいなあ。

演技ってフィクション、つまり嘘にあたると思っていて、この作品はそうじゃじゃないんだよな。

例えばクルド人コミュニティでハルがコミュニケーションをとってるシーンはまさにドキュメンタリー。ノンフィクションに思えた。これは監督の意向で台本は一切なかったという。世理奈ちゃんもハーフという境遇のもと、共通する差別されている意識というリアルな感情があったらしい。それがフォクションをノンフィクションたらしめていると思った。

まさにこの作品は演技=嘘ということを超越しているものだったと思う。

諏訪敦彦監督

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「オリンピックに向けて元気があるように見えているけれど、どこもかしこも傷だらけだなって。今回の映画で日本を旅していて感じました。

久しぶりに日本で撮影をして、日本は特殊な国で、子供がこんなに不幸な国ってないと思ったんです。

不登校の子供が全国に16万人以上いて、子供の自殺は年間300人を超えるといいます。

子供が自分を肯定する力が弱く、孤立しているというのは、日本特有の問題。生きる力に関して、大上段に構えて言うものではないと思うし、余計なおせっかいはしたくないけれど、この映画も、被災した人にだけでなく、傷ついた人に寄り添いたいなと思って作りました。

主人公ハルが出会う大人たちは、面倒くさいことは聞かないで『とにかく食え』って言うだけなんです。生きていればいいんだよということを感じてほしいと思います」

最後に

作品も深堀はこのコラムを書く上でやってきていることではあるが、実際のロケ地に行って雰囲気を感じたり、話を聞いたりすると。文字だけじゃない理解が深まっていくような気がするのだ。五感で感じることの尊さを実感できる。

以前にもYUKIGUNIという作品の舞台になっている山形県酒田市に旅したこともあったその映画は日本最高齢のバーテンダーさんが経営する日本初のカクテルをモチーフにした物語で、実際にそれを飲みに行った。

現在はご高齢ということもあってお店に立つことも少なくなり、私が行った時は息子さんがマスターとして立たれていた。その息子さんからもお話を伺うことができたし何よりそのカクテルを味わうことができたことにスクリーンを超えたフュージョン感覚をえれた気がするし、スクリーン上で描かれていたことが自分ごとのように感じれるようになった。

ぜひ皆さんも機会があれば映画の舞台になっている場所を旅するのもなかなか趣深い体験になるのではないでしょうか。

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