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交際2か月でプロポーズ。お寺の婚活で出会ったカップルの軌跡

 結婚したいけど、一歩踏み出すのが怖い。そんな人に向けて、2020年7月から築地本願寺ではじまったのが、結婚相談サービス「築地の寺婚」です。昔から地域交流の場として利用されていた「お寺」を通じて、より多くの人のご縁を取り持つべく、スタートした同サービスですが、果たして利用者の方はどう考えているのでしょうか? 「築地の寺婚」会員同士で成婚に至った最初のカップルである福島賢一郎さん(45歳)・菜津美さん(36歳)夫妻にお話しを伺いました。

シニアカウンセラーの渡信さんと、福島さんご夫妻

別の結婚相談所がうまくいかず、築地本願寺の寺婚に参加

――賢一郎さんと菜津美さんは、「築地の寺婚」を通じて昨年9月にご結婚されたそうですね。お二人が寺婚を利用することになったきっかけから教えてください。

菜津美さん 私の場合は、30代になってから周囲の人が結婚し始めたのに気が付いて、「自分も結婚しないと!」と思い始めたのがきっかけです。一度は別の結婚相談所に入ったのですが、なかなか良い出会いがなくて。「もうやめようかな……」と思っていたところ、母から「築地本願寺で結婚相談所をやっているみたいよ」と教えられました。

我が家は代々浄土真宗の門徒(※信者のこと)で、小さい頃から本願寺にはお世話になっていたので、「せっかくなら築地本願寺でお見合いをしてみよう」と思って入会しました。

賢一郎さん 僕の場合は、会社の同僚がたまたまテレビで「築地の寺婚」をみかけて、存在を教えてくれたのがきっかけでした。以前から知人の紹介などを通じて婚活はしていたのですが、なかなかピンとくる出会いがなくて……。

築地本願寺さんがやっている相談所なら安心できそうだなという先入観があったので、ためしに説明会に申し込んでみたんです。そして、いざ話を聞きにいったとき、カウンセラーの渡信さんはじめスタッフの方々がとても親身に話を聞いてくださるのに感銘を受けて、入会しました。

――浄土真宗のご門徒ではない賢一郎さんにとって、お寺の結婚相談所を利用することに抵抗はありませんでしたか?

賢一郎さん 実家のお寺は曹洞宗なのですが、宗派の違いはまったく気になりませんでした。もともと観光地に行けば必ず地元の神社仏閣に行くなどするタイプだったので、悪い印象はありませんでしたね。築地本願寺にも1度か2度、参拝に来たことがあったので、有名なお寺だなという印象もありました。

一度は断られたものの、数か月後に再会。交際へ発展

――お二人の最初の出会いはどんなものだったのですか?

菜津美さん アプリ内でお見合い候補者の方の検索をしていたら、おすすめにあがってきたのが賢一郎さんでした。そこで早速お見合いをしてみたら、とても印象がよくて。ご実家もうちの実家と近いし、「この人だったらうまくいくかな」と思いました。

私はぜひ交際に進みたかったのですが、賢一郎さんは同時に別の方ともお見合いしていて、その方とのお話が進んでいたので、一度は私が断られてしまったんです。そのときは、正直「残念だけど、この人とはもうダメかな」と思っていました。

賢一郎さん そうなんです。最初に彼女に会ったときに、僕は別の方と仮交際していたんです。正直、彼女もすごく印象がよかったので迷ったんですが、一度、菜津美さんはお断りさせていただきました。

その後、仮交際していた方とご縁がなくなったとき、渡信さんから「菜津美さんはまだフリーでいらっしゃいますよ」と教えていただいて。そこで、もう一度ダメ元でお見合いを申請してみたんです。

―― 一度はお断りした相手に再度申し込みするのは、結構勇気が必要だったのでは……!

賢一郎さん はい、お見合い会場で水をぶっかけられてもおかしくないという覚悟で行きました(笑)。でも、もう一度会ってみたら、すごく優しく対応してもらったので、ほっとしましたね。食事もおいしそうに食べるし、ちらちら目が合うと笑顔を見せてくれる。

また、改めてお話してみると、すごく芯の強そうな印象があったんです。僕は女性とお付き合いした経験がそこまでないのですが、「この人となら長くお付き合いできそうだな」と思いました。

2回目のお見合いでもらった花束に感動


――菜津美さんは、賢一郎さんから再度の申し込みがあったときはどう思われましたか?

菜津美さん 前にお会いしたときにとても印象がよくて気になっていたので、嬉しかったです。いざ、2度目にお見合いをしたときにも、いろいろ気を遣ってくれたのがうれしくて「この人だったら一緒にやっていけそうだな」と思いました。あと、印象に残っているのが、お花をプレゼントしてくれたことです。こんな気遣いしてくれるなんて素敵だなって感動しました。

賢一郎さん いやいや。「2回目のお見合いも受けてくれてありがとう」という気持ちであげたんです。先ほどもお伝えしたように「水をかけられてもおかしくない」という気持ちだったので、花束ぐらいは持って行かないと……と思いました。

――プレゼントに花束を選ぶなんて、かっこいいですね。

賢一郎さん 決して僕は日頃から花束を買い慣れているタイプではないんです。本当に母の日に花束を買うくらいしかしたことがなかったのですが、たまたま待ち合わせ場所の近くに花屋さんがあったので、「相手に負担にならない軽い贈物としてはちょうどいいのでは」と気軽な気持ちで買いました。でも、その花束をとても喜んでもらえて、本当によかったです。

交際2か月、築地本願寺の本堂でプロポーズへ


――その後、交際に発展して、結婚に至るまではどんな経緯があったのでしょうか?

賢一郎さん 昨年2月に申し込みをして、そこから映画や食事に行って、デートを重ねました。そして、3月の終わりくらいの桜が満開の時期に、真剣交際を申し込みました。

菜津美さん 4月には築地本願寺の本堂に参拝デートをしたのですが、そのときいきなり、箱に入ったプリザーブドフラワーを渡されて。そして、その場で「結婚してください」とプロポーズしてもらいました。

――ロマンチックですね……。 

賢一郎さん 彼女の実家は本願寺のご門徒だし、せっかくだったら本堂で仏さまの前でプロポーズしようと思ったんです。また、築地本願寺は彼女に出会えたきっかけの場所でもありましたから、プロポーズする場としてはぴったりだと思いました。

初参り(お宮参り)もめぐみの参拝式(七五三)も成人式も結婚式も、本願寺だった

――お二人は昨年9月に築地本願寺で挙式を行われたそうですね。なぜ、築地本願寺で挙式を?

菜津美さん 亡くなった父方の祖母の遺言も「本願寺で結婚式を挙げなさい」というものでしたし、うちの両親も親戚もみんな築地本願寺で結婚式を挙げていたので、私が強く希望して実現しました(笑)。また、私自身、築地本願寺はすごく思い出深い場所だったんです。

初参り(お宮参り)やめぐみの参拝式(七五三)、成人式も本願寺で行いましたし、幼稚園も中学、高校も本願寺系の学校に通ってきて、小さいときから私自身もお世話になってきたので、結婚式も本願寺で挙げることができてうれしかったです。親戚も家族もみんな喜んでくれました。

賢一郎さん 彼女の強い希望から築地本願寺で挙式することになりましたが、僕にとってもお寺での挙式は、すごく得難い体験でしたね。

いままでお寺はお葬式をする場所だと思っていましたが、結婚式もできるのか……と驚きました。結婚式自体には感染症の影響で限られた人数しか参加できませんでしたが、「築地本願寺で挙式をする」と言ったら、周囲の人にもびっくりされました。

――9月にはご出産も控えているそうですね。

賢一郎さん はい。今年で45歳なのですが、父親になるのかと責任感を抱いています。まさか昨年2月に再会したときには、今年9月には子どもを出産することになるなんて思いもしませんでした。

菜津美さん 妊娠して、身体がつらかったり、仕事に疲れが出たり、食事がちゃんととれなかったり、大変なことも多かったです。私も30代後半なので、いろいろと出産にあたって気を付けなければならないこともあります。ただ、子どもができたことは本当にうれしいです。これからもいろんなことがあるでしょうが、そのたびに、賢一郎さんと相談しながら一緒に育てていきたいなと思います。

迷ったとき、すぐにアドバイスをもらえる安心感がある

――お二人は「築地の寺婚」会員同士の第一号のご成婚カップルとなられたわけですが、寺婚を利用してみて、いかがでしたか?

菜津美さん 率直な感想としては「まさかこんな良い人に会えるとは……」という感謝が大きいですね。あと、カウンセラーの渡信さんはじめ、周囲の方からアドバイスをもらいながらお見合いができたのも、とても安心感がありました。

賢一郎さん 僕も同じですね。渡信さんをはじめ、スタッフの方が丁寧で、どんな相談でも真剣に聞いてくださる。また、重要なシーンや迷ったときは、「自分の想いはきちんと相手の目を見て伝えた方がいい」など、いろいろと手取り足取り教えてくださるのも助かりました。仏教や築地本願寺にご縁がない方でも、「結婚したい」という想いがある人であればおすすめしたいです。


結婚に至った秘訣は、「人の話に耳を傾けたこと」

――いざ、ご結婚してみて「よかったな」と思うことはなんですか。

賢一郎さん いまは結婚して10か月ほどですが、家族が増えたのは素直にうれしいですね。あと、普段一人では行かなかったようなところに行く機会も増えました。いい意味で興味関心が広がりました。婚活してこんなにすぐに出会えて、結婚して、出産まで経験するとは思っていなかったので、本当に婚活してよかったなと思います。多分、自分の力だけでは、結婚するまでに何年もかかっていたと思うので……。

菜津美さん 一緒に出掛けたり、一緒にご飯を食べたり、生活を共にできる人がいるのはとても楽しいですね。テレビを見て、たわいもない会話をしたり。「今度ここに行ってみようか」と計画を練って、次の休みが待ち遠しくなったり。そんな何気ないことが、日々新鮮です。

――最後に、これから婚活を考える人へアドバイスをお願いします。

賢一郎さん 結婚相談所を利用するのは、決して選択肢として悪くないと思います。仮に自分が結婚したい方を見つけようとしても、やみくもに探してもなかなか見当たりませんよね。結婚相談所には、「結婚したい」という人がたくさんいるので、出会いの確率は上がるように思います。

あとは、「人の話に耳を傾けること」でしょうか。僕の場合は、いろんな方の意見に謙虚に耳を傾けて、自分の至らないところは積極的に変えていくように意識しました。そのおかげで、今があると思います。まさに謙虚に人の話に耳を傾けることで、幸せは手繰り寄せられるのかなと思いました。

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