21.12.4 書籍紹介_"超創造科学 ナノ・バイオ・ITの未来"_素材は社会を変え、人間を超える

こんばんは、多部栄次です。
書籍紹介やっていきましょう。

何かしらの紹介のコーナーを毎週土曜日にやろう! という話なのですが、まとめてないんですよね。こつこつやらないとまともな記事も書けないのに、準備してないとちょっと書くの躊躇っちゃいますね(急なネガティブ)。
あ、明日タイヤ交換だ(唐突な話題転換)。めんどうだなぁ。

ですので今から思い出した書籍をうろ覚えでさくっと紹介します(それは失礼なんじゃ…)

タイトルは「超創造科学 ナノ・バイオ・ITの未来」です。みなさん大好き東京化学同人の科学の扉シリーズです。
著者は細野秀雄様、松尾豊様、関山和秀様、唐津治夢様です。

内容はジャンル別に分かれており、
ディープラーニングによる社会問題の解決やモノづくりをはじめ、
タンパク質素材の産業的展開(クモ糸とかノミの間接に含まれるレシリンというゴム成分とか)、
アモルファス薄膜トランジスタ(液晶ディスプレイとか)、
石灰とアルミナと水(セメント材料)だけで作るエレクトライド(電子機能性)材料、
ないしそれを触媒としたアンモニア合成の効率化、
鉄系高温超伝導材料(超伝導転移温度の従来の限界を超えた材料)の研究紹介が掲載されています(超ざっくり)。

興味のあるテーマがあれば是非ご一読いただければと思います。
これ中古で49円でした。安すぎません? 僕ちゃんと本屋で1,540円払って買ったんですけど。なんか複雑ですね。でもまぁ本は生ものですので、そのとき読みたいものを読めばいいんですから、と自分に言い聞かせます。

これ買ったの大学2, 3年あたりかな。で、読んだの大学4年。
当時は材料の可能性に対してすごい魅力的に思えたんですよね(当然今もですが)。セメント素材に金属性もたせるとか(最近は金属にエラストマー性をもたせたり、金属性を有したゴムも開発されつつあると新聞で読みましたが)、タンパク質を自動車部品に利用するとか、コンピューターが自ら学習・成長するとか。
信じられない気持ちでしたね。まるで夢のような話で、サイエンスやケミストリーのおもしろさをそこで感じたのだと思います。

この本を読んで印象に残っていることは、材料的には地球史上最強の繊維であるクモの糸なんですけども、結構有名な話なので割愛するとして、過剰反応の話が挙げられるかなと。

AI発展による人間不要説やナノマシンの自己増殖による影響、遺伝子工学によるバイオハザード…新しいものが出るといち早く脅威性を見つける人間の習性には驚かされます。危惧することは生命力が強い証拠といえますし、それによる過剰反応は防衛本能であることはもちろん、想像力の源だと思われます。

引用となりますが、大事なことはどんな場合でもメリットデメリットがあり、どこでバランスを取るのが良いかを選ぶことにあると考えられます。
それができなかったら、食べ物のアレルギーも危険だからスーパーで売るなという話や交通事故が絶えないから自動車は生産するべきじゃないという話になってしまいます。解決される課題と新たに生じる問題点、利便性とリスク、それらのバランスをとって考えなければなりません。

これは勉強していけば扱い方次第だと分かるようになりますので、基礎知識とその活用能力(=リテラシー)を高めていくことはどの時代においても必須となるでしょう。

以下感想です。
一見全然異なる分野の紹介ですが、いずれも絡み合っていると感じました。コンピューターの分野ではなにも機械言語がすべてではなく、酸化物半導体材料も重要となってきます(材料もそれだけではありませんが)。伝導効率や絶縁性、耐熱性、強度、誘電率は必須となるパラメータです。より微細にし、精度の高いAIを構築するには、材料の練度も高めないといけないと至極当然なことを僕はどや顔で述べます(ドヤ!)。えらく浅いこと言ってる自分に悲しさを覚えますよ。

言い訳するとあんまり無機材料や半導体詳しくないんですよね(勉強しろ)。そんなあなたにはトポロジカルの本をお勧めします。最近ちょこちょこ読んでいますが、講義で軽く触れた程度しか知らないので、あんまりスッと入ってこないですね。でも面白い内容ですので、2,3周読むのがいいかもしれません。

反対にコンピューターが材料開発にできることはまぁ皆様ご存じマテリアルズインフォマティクスやバイオインフォマティクスの分野です。浮かんだイメージを確認することや記憶、繰り返し実験ないし解析の高速化というのは機械が得意なので、人と機械の相互作用が高まればスピーディな開発が可能だと至極当然なことを(略)

AI開発のカギとなる記述子(ここでは物質の設計に対し、どのような操作をするとどんなことが起きるかを想定することを意味合いにしてる)の話は関心を抱きました。情報系はさっぱりなのですが、コンピュータを用いた材料開発はほんのちょっとですが会社のインターンシップでやったことがあるので、今後のためにも必須のスキルとして身に着けたいですね。

実験を実際にせず、シミュレーションでやって、最適化するパラメータをディープラーニングで評価する。そういったことがこれからの研究で主体になっていきそうですね。

これからはバイオとナノ、ロボティクスが新たな産業を切り拓いていくと感じております。その時代についていくために、私もリテラシーを身に着け、研究者の思考を体得していきたいですね。

それでは、以上となります。
またお会いいたしましょう。



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