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二次会デミグラスソース|毎週ショートショートnote

20××年、日本政府は「デミグラスソース禁止令」を発出し、国内でデミグラスソースが作れなくなってしまった。この理由について、総理大臣は「昔の恋人が作っていたデミグラスソースを思い出すから」と説明している。

しかし、「ダメ」と言われれば、余計にやってみたくなのが人間のさがというもの。隠れてデミグラスソースを作る人が続出し、これを取り締まるため、デミグラスソース特別警察、通称「デミ警」が組織された。

「今日、2次会やるか」
「いいな。後で材料買ってくわ」

どこで誰が言い出したのか、デミグラスソースという言葉を隠すため、「2次会」という隠語が使われるようになった。

――あるマンションの一室。

「できたぞ」

男が2人、オムライスとハンバーグに手作りのデミグラスソースをかけた、その瞬間……。

――バーン!

「2人とも動くな!」

玄関から男が飛び込んで来た。

「まさか……デミ警!?」

「前々からマークしてたんだよ。覚悟しろ!」

デミ警が「判定員、お願いします」と言うと、白衣を着た男がスプーンを持って鍋の前に立つ。彼はデミグラスソースかどうかを判定する「判定員」である。

「んん、これはデミグラスソースではないな」
「本当ですか?」
「ああ、似ているが、違う」
「チッ。お前ら、命拾いしたな」

デミ警は立ち去った。

ホッと胸をなでおろす男2人に、判定員は小声で呟く。

「懐かしい味だ。良いデミグラスソースライフを」

(了)


たらはかにさんの「毎週ショートショートnote」参加用です。
今週のお題は「2次会デミグラスソース」でした。

今週は難しかった!
「ジュリエット釣り」を超えて来た!

「2次会」、「デミグラスソース」、もう「動かしようがない言葉」なんですよねぇ。さすがに「今週は無理かも」と諦めかけましたが、たらはかに組の一員として、「パス」はあり得ないので、何とか書きました。

日曜日のお題発表が怖い……。


先週のお題は「運試し擬人化」でした。

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