見出し画像

正しい答えを出さなければ、と圧を感じる時に。

(写真はハワイ州カウアイ島のワイメア・キャニオン:2021年12月撮影)

「正しい答えを出さなければならない」

そうプレッシャーを感じたことが、今までの人生で最低一度はあったでしょう。

私はこのプレッシャーを度々感じてきました。

このプレッシャー感覚を最近感じたのは、先月顔面神経麻痺(ベル麻痺)を発症したときのことです。

入院治療をするのか、別の治療法を施してくれる病院をさがすのか、治療しないで自然に治るのを待つのか、診断をした医師はステロイドでの治療を入院して受けることを勧めてくれました。

正しい答えをださなければ、とプレッシャーを感じました。

今回は「正しい答えをださなければ、とプレッシャーを感じる時に」ついて考えたいと思います。

正しい答え?

試験の解答であれば、正しい答えがあります。たった一つだけが正解でなくても、正しい答えというものが存在します。

学校教育の中で小ドリルや小テスト、中間や期末試験、入学試験とくり返しながら、正しい答えを出す練習をしてきたからでしょうか。

そして、100点満点を取らなければ、(私は昭和の時代ですから)何故間違えたのか?どうして100点がとれないのか?と突っ込まれるわけです。

「97点か、よくできたね」と言われるのではなく、「3点の減点はケアレスミス。なんでちゃんと見直さないのか。」と注意されます。

そんな事ですから、正しい答えを出さなければならいとのプレッシャーが染みついているのです。

社会人になっても、そのプレッシャーがなかなか取れませんでした。初めのうちは、上司に言われたことをそつなくこなしていれば、プレッシャーを感じることはありませんでした。

しかし、チームリーダー、「○長」と肩書きにつくようになり、決断を迫られるようになると、正しい答えを出さなければならないとのプレッシャーが再燃してきたように思います。

でも、私たちが直面する決断に、そもそも「正しい答え」などがあるのでしょうか?

プライベートでも仕事でも「ヒト・モノ・カネ・コト」について様々な決断をします。

それらのほとんどには「正しい答え」などないのではないでしょうか?

答えを出そうとする

リーダーとしての立場を持つと、たとえ正しい答えがない場合でも、答えを出そうとする、いや、答えを持っていないとならないと考えてしまうのではないでしょうか。

かつて私はそうでした。

部下を持つようになって、どんな状況でも「答え」を持っていなければならない、そして部下に対して「答え」を与えることができるからこそ、上司としての意味があるのだとまで思っていました。

今振り返ってみると、当時は随分肩に力が入っていたのだろうなと思います。

そして、「答え」をいかにして部下に教えるか、分からせるかがリーダーの仕事だとまで思っていました。

ですから、どうやって私の「答え」を「理解させ」「やらせる」かが中心になってしまっていたのです。

私は両親共に教師であったことも手伝って、一方的に教え込まれることが嫌だったのですが、結果的に同じようなことをしている自分を発見することになりました。

「答え」を教えるのではなく、主体性を持って「答え」を一人ひとりが導き出すことに向かわなければ、私の「答え」を言われた通りにするだけなのです。

こんなことでは人も育たないばかりか、私の「答え」以上の成果も決してでないことに気がつきました。

質問をする

30年近く前になりますが、当時英会話学校のマネージャーとして9校の責任を担っていました。

その時に米国からコンサルタントが来て生まれて初めてコンサルティングを受けました。

コンサルタントとの個人セッションでいきなり「あなたの最高の強みは何ですか?」と聞いてきました。

それまでそんな質問をされたことがありませんでしたので、戸惑いました。

セッションでは質問攻めに合いました。「答え」を出すことに夢中になっていましたが、終わってみれば頭の中が整理されて迷うことなく前進できるようになっていました。

「質問」の力を実感したのでした。

そこで、自分が持っている「答え」を部下に伝える前に、そもそもその「答え」が導き出された「問い」は何であったのかを考えるようになりました。

今でこそコーチングが日本にも浸透して「質問」の大切さは誰もが知っていると思われますが、当時はコーチングなどという言葉さえも耳にしたことがありませんでした。

最初は問いをそのままお返しするところから始まりました。

「この件についてどうしたら良いですか?」と聞かれれば、
「あなたはどうしたら良いと思っているの?」と答えるのです。

最初はためらうのですが、こちらが相手の答えを真剣に聞こうとしていることが伝わると、みなさんそれなりに考えていることが分かりました。

そうやって質問を通して、チームメンバーとの対話を繰り返しながら、「私たちの答え」が導き出されるのを体験するようになりました。

すると「正しい答え」を出すプレッシャーや、自分の「答え」を押し売りするプレッシャーは感じなくなりました。

それだけではなく、チームメンバーが主体的に取り組むようになっていくのも見ることができました。

そして、現在は「商品・サービス」が「答え」であるとしたら、「お客さま」はニーズやウォンツとしてどんな「問い」を持っているのか?と考えるようにもなりました。

皆さんが「良い質問」を投げかけ、「良い答え」へと導かれますように。


最後までお付き合いくださりありがとうございます。




ひとづくり職人髙澤健の公式LINEはこちら↑

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?