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8.収支目標から事業計画へ落とし込むと何をやるべきかはっきりする

自分の商品が売れるかどうかわからないから、売上目標も事業計画も建てられないとうクリエイターもいます。これは受け身で仕事をしているからであり、いきあたりばったりでは、ブランドの成長はありません。
目標を設定し、それをどうやった達成するのか、と考えて能動的な行動計画にすることで、自分を奮い立たせ、行動を促します。事業をどのように育てるのか、その作戦を立てるポイントを紹介します。

テーマ13:事業計画とは何か

◆事業の目標と計画をはっきりさせる

事業計画は、ブランドを大きくするためにはどう動いたらいいのか、今後の行動をスケジュールにしたものです。銀行に資金を借りるためだけにあるのではありません。

自分のやりたいことは何か、ゴール地点ではどうなりたいかということを明確にし、そのために事業をどのようにして育ててていくかという作戦を自分自身で確認するためにあるのが事業計画です。

なかには、事業目標や計画がなくても売り上げが伸びる時期があるかもしれません。トレンドの波に乗ったり、外的な要因で偶然に売れたり。
つまり、運で売れるわけですが、この場合は自分でビジネスを育てて売れたわけではないので、売れなくなったときに対策を立てられません。再び同じような売り方をしても、売れるとは限らないのです。
ビジネスというのは、売れることではなく、売れ続けることが大切。自分で目標と計画を立てて実行することで、売れ続けるためのビジネスの実力が高まるのです。

さらに、大きくなりたいという目標があり、そのために計画して実行しているならば、つらい仕事も苦手な仕事もやりがいを感じられるもの。自分の殻を破って苦手な仕事にチャレンジし、失敗したときにその反省を次に活かせるのも計画があるからこそです。


テーマ14:事業計画の作り方

◆デザビレの事業計画書

デザビレでは、入居時を含めて半年ごとに事業報告と事業計画書を提出してもらって、それを私がヒアリングして確認し、必要に応じてアドバイスします。半年前に記入した計画書の内容を、新しい計画書に転記して振り返らなくてはなりません。その反省をもとに次の半年の活動方針を決めていくという内容にしています。長期的に積み上げていくことと短期的に対応すること。この両方を考えてもらうようにしています。

事業計画書に書いてもらうの内容は以下のような項目です。

●事業目標
半年後、1年後、2年後、3年後にどうなっていたいかという目標。売上額や取引店舗数、お店のオープンなど具体的に。
●スケジュール
目標を達成するために何年何月に何をするかを決定。
10月に展示会出展なら、9月にはカタログ制作、その前の8月には新商品開発といった具体的スケジュールです
●重点的に取り組むこと
前の半年間の反省をもとにして次の半年間、重点的に取り組む苦手なことや重要なこと。コンセプトの見直しや営業活動、商品開発、スタッフの育成など自分たちの長期的な課題として取り組むことを決めます。
●収支報告・計画
これまでの収支実績と今後2年の収支目標。

いくら売り上げたいのか、何店舗取引先を獲得していて経費はいくらで、結局収入はいくらになるのか、予定を立ててもらいます。

◆収支目標から事業計画の落とし込み

クリエイターにとってはハードルが高いのですが、売り上げ目標を立てて、そのときに必要な取り引き店舗数を割り出し、その取り引き店舗をどのようなスケジュールで獲得し、育てていくかを決めていく方法があります。
売り上げを商品価格×販売個数で考えるのではなく、取り引き店舗毎の取り引き価格×購買頻度の和で考え、店舗数、取り引き額、購買頻度の要素を増やす作戦を考えるのです。

p81売上分解の図

1年後に売り上げ1000万円を目標にしているなら、それを売上×店舗数で組み立てます。例えば、
年間取引100万円の店を3店=300万円
年間取引50万円の売上げの店を6店=300万円年間取引10万円の店を20店=200万円
イベント売り上げ40万円×5回=200万円
購買意欲のある見込み店舗100店といった具合です

売り上げが10万円の店を20店集める場合、合同展示会に出店して見込み客となる店を100店ぐらい見つけ、そこから数か月フォローして新規取り引きにつなげます。最近では合同展だけでは成約しづらいので、フォローの個展も必要でしょう。売り上げ50万円の店はすでに10万円買ってくれている店の販売を応援すること で育てなくてはなりません。100万円売ってくれる店を増やすには、お店が本気で売ってくれるような働きかけも求められます。さらにお店だけでは足りない売り上げを催事やイベントで補うことも必要です。

事業計画とは、この各クラスの顧客を何件獲得するかを明確にし、下位クラスの顧客を上位クラスにするための方法、新規客の獲得方法を考え、実施すべき行動を決めることです。


◆事業計画の中で計画する項目

お客様の段階に応じて、具体的にやることには以下のような内容があります。バイヤーやお客様がどの段階か判断し、それぞれに対応を考えましょう。これらAIDCASの事業活動を通じて、ブランドのファンを増やしていきます。

p82AIDCAS図

◆年収の目標

「首都圏で独身の若者が自立した最低限の生活を送るには、月23万2658円(25 歳男性モデル)必要」だというニュースがありました。年間で考えれば約280万円です。

280万円の利益を、土日を除いた年間240日で作ろうすると、1日あたり1万
1666円の利益を上げなければなりません。8時間労働として時給1450円以下の利益にしかならない仕事をしているとしたら、最低限の生活が成り立っていないことになります。

さて、私はクリエイターの仕事レベルと年収の目標を、以下のように考えています。


レベル1)自分の手を動かして作ることにこだわる
→年収=年齢×5~10万円
レベル2)外部委託して製造できる商品を考えている
→年収=年齢×10~15万円
レベル3)マーケットを意識し、ブランドイメージを確立している
→年収=年齢×15~20万円
レベル4)戦略的に事業の仕組みを構築し、クリエーション能力も高い
→年収1000万円超

年収を上げるためには、自分の好きなものを作り続けるよりも、大きく仕事の質を変えなければ無理だということがわかりますか? 仕事の質を変えるというのは、手を使ってモノを作ることから、頭を使ってお客様を作ることへ。さらに、モノ作りから売れ続ける仕組み作りへと転換することです。



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