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15.手作りクリエイターからブランドへのステージをあがる

ブランドとしてのビジネスの規模を大きく成長させるには、自分で生産して販売するだけはなくて、ショップや工場 など外部とのやりとりが不可欠。それをスムーズに 進めるためのポイントをしっかり押さえましょう。まずは仕事内容と年商から、自分の事業ステージを考えてみましょう。

※執筆当時は「ハンドメイド作家」という言葉が無かったので「手作りクリエイター」という書き方をしています。

第3章扉

手作りからブランドへのステージを上がる

商品を手作業で作り、販売してきたこれまでのビジネスのカタチを転換させるとき。そのときに大きなポイントになることとは……?

自分の手で好きなモノを作って販売する「手作り」ビジネス。徐々に取り扱い店舗やお客様も増え、休む暇もないほど仕事をしているのに、売り上げが伸びず、利益もほとんど出ていない状態ではありませんか?
このような状態にあると、忙しくなって細かいことまで手が回らなくなり、いろいろなトラブルが発生してきます。なかには体調を崩したり、家族との関係がギクシャクしてきたりすることも。
このようなときは、これまでやってきた仕事を振り返って、手作りからビジネスに仕事を変えていく時期です。


テーマ21:仕事に対する取り組みを変える

自分の手で商品を作って販売する場合、製造できる数には限界があり、年間の収入も数百万円レベルで頭打ちに。年商300万円未満(年収100万円未満)の「生活できないクリエイター」も少なくないようです。
手作りでこの壁を打破するためにはクリエイターから有名作家となり、単価を上げていくしかないのですが、それにはかなりの年月を要します。手作りクリエイターの仕事では、どんなに長時間働いても、働いた時間に見合う収入を得るのは難しいかもしれません。

生活できるようになろうと思うと、どこかの時点で制作を外部委託する必要があるのではないでしょうか。手作りクリエイターから量産できるブランドになるのです。
クリエイターが年商300万円だとすると、製造を外部委託するデザイナーはひとりで年商1000万円(年収300万円)くらいにすることができます。これで、それなりの生活ができるのですが、ゆとりがあるわけではありません。
ひとりで頑張っても、おそらく1000万円前後に壁があります。仕事が忙しくなりすぎて、ミスやトラブルが多くなったり、身体を壊してしまったりということがあるようです。

手作りクリエイターの仕事の延長ではどんなに苦労しても、すぐには生活が楽になりません。十分な利益が取れず、自分自身の価値を低く感じ、モチベーションを維持できなくなることもあります。製造を外部に出して、ある程度のロットで仕事をするようになっても、死ぬほど働かないと売り上げは維持できません。
このあたりまでは、自分の時間や労力を切り売りして稼いでいるので、働けなくなれば収入がなくなってしまいます。

きちんと利益が生まれ続けるような仕組み作りが、ビジネスの最終目的だと私は思っています。
それは、手作りクリエイターの仕事の延長にあるものではありません。 スタッフを雇い、組織として仕事に取り組むようにならなければ、収入が安定しないし、お金や時間にゆとりが生まれてこないのです。
手作り商品を売って100万円稼ぐ方法の延長には、1000万円や1億円を売り上げる戦略や仕組みは生まれてきません。根本的に意識と仕事への取り組み方法を変えなくてはならないのです。

◆ブランド成長のステージ

手作りからブランドへ、ビジネスとしての成長は次ページに挙げたのような道筋をたどります。
ただし、金額はあくまで目安。作っているアイテムや初期の投資額で売り上げ目安は大きく異なりますし、企業で同種のビジネス経験を積んで独立した場合などはいきなり数千万円規模の売り上げから始まることもありますが、ここでは手作りのファッション雑貨類などからのスタートを想定しています。

●手作りを始める(年間売上100~200万円未満)
・材料を購入し、手作りで作品を作り始める
・学校やスクールなどで技術を学ぶこともある
・少しずつ売り始める
・デザイン・フェスタや手作り市で販売してみる
・近所のギャラリーで個展を開催する
・知人が購入してくれて、周囲には褒めてくれる人が集まる
・販売して手応えを感じ始める
・ショップから注文が入り始める
・自分の商品は周囲の評判も良いし、この道で食べていけるのではないかと思う
・個展や卸をしているが売り上げが伸びない
・次に何をしていいのかわからない
●合同展に出展しはじめる(年間売上200~600万円)
・思い切って合同展に出展するが思ったほど成約できない
・催事販売の依頼が増えてきた
・卸先が増え、売り上げも増加
・外注生産にしたいが、ロットが少なくてお願いできないと悩む
・外注生産するよりも原価が安いので、自分で作る
・頑張って生産すれば売り上げも上がるだろうと作業時間を増やす
●外注生産に切り替えていく(年間売上500~1000万円未満)
・合同展出展に慣れてくる
・売り上げが増えているのに、利益が出ていないと悩み始める
・注文が増えて、生産する時間が足りなくなる
・仕事時間が長くなりすぎて、生産以外が手薄でトラブルが起こる
・仕事と売り上げが行き詰まる、外注工場を探してみるが見つからない。見つかっても請けてもらえない
・知人や学校の後輩などに仕事を手伝ってもらう
・一部の商品から外注生産をスタートさせる
・外注生産に慣れるまでトラブルが起こり、コストと時間がかかる
●本格的にブランド育成に取り組む(年間売上600万~1500万円)
・徐々に外注での生産が安定してくる
・営業や販促に力をいれる余裕ができてくる
・合同展でのプレゼンテーションがうまくなり、成約率が高まる
・社員やパートを雇いはじめる
・メディアで取り上げてもらうことが増える
・卸先が増える
・既存店舗の再注文が減少している
・法人化を検討する
●組織体制を強化する(年間売上1000万円~)
・組織としての運営体制になってくる
・社員の雇用と育成が課題になってくる
・既存の取引店舗に対するサポートに取り組む
・催事やイベントを自主的に計画し実行する
・地域ごとに取扱店のバッティングが起き始め、新たなブランドに取り組み始める

※執筆当時は小売店への卸が主流でした。現在はそれぞれの段階での売上を伸ばすことが難しくなっています。



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