【うつ病体験】実体験から語る病院選びの大切さ
シリーズで掲載している「うつ病体験記」。
今回は、うつ病を克服する上で第一歩となる病院への通院について。
どういう病院へ行けばいいの?という話から、僕が実際に通院した経緯、そして実体験から感じた病院選びの大切さについて書いていこうと思います。
※僕が過去にうつ病になった経験や、その経験から感じたことや学んだことを以下のマガジンにまとめています。
うつ病で苦しんでいる方、もしくはそのご家族の方などにとって少しでも参考になれば幸いです。
うつ病かも?って思ったら
うつ病を専門に診ているのは、
・精神科
・神経科
・心療内科
などで、総合病院、個人経営のクリニックなどさまざまな医療機関にあります 。
一般的には精神科や心療内科に受診するという認識が多いのではないでしょうか。
では、精神科と心療内科は何が違うのか?
精神科と心療内科は同じ診断基準を用いるため、対象となる症状には重複する部分も多くあります。基本的な治療に大きな差異はなく、薬物療法や精神療法を中心として治療を行います。
精神科は、 統合失調症やうつ病、双極性障害などの 精神疾患を専門に扱う科です。
また、その他にも神経症性障害や発達障害、認知症、アルコールや薬物の依存症などを含め、基本的には全ての精神疾患の治療を行っています。
心療内科は、心理的要因から身体症状があらわれる「心身症」の治療を主な対象としています。
例えば内科的には問題はないのに、ストレスによって胃潰瘍になったり、頭痛や腹痛が引き起こされる場合は心療内科への受診対象となると思われます。
ただ、厳密に心身症だけを治療するというわけではなく、軽度のうつ病、パニック障害、不安障害といった精神疾患にも対応できるところが多くあります。
ちなみに僕は「心療内科」へ通院していました。
ただ、実際のところ「心療内科に行けばいいのか?精神科に行けばいいのか?」というところまで考えて受診していなかったのは正直なところ。
それもこれも当時は、自分で病院を探して一人で病院に行ける状態ではなかったので。親が近くの医療機関を探してくれました。
基本的に診断や治療方針・内容が大きく異なるわけではないと思いますので、
これから病院へ通院することを考えている方は、まずはお近くの専門の医療機関を受診してみることをおすすめいたします。
医療機関への受診は大きな第一歩!
中には精神科や心療内科といった病院に行くことに大きな抵抗がある方は多いかと思います。
「病院に行くなんて情けない」
「自分はうつ病なんかじゃない」
僕もまさにその一人でした。
親はいち早く僕の変化を感じ取ってくれ、「病院に行くことも一つの手段だよ」と心療内科のある病院を調べてくれました。
しかし僕は
「この症状は一時的なもの。時間が経過すれば絶対に良くなるはず」
と、自分の心身の変化に気づきながらも決して周りを頼らずに、自分で何とかしようと思っていました。
しかし、我慢すればするほど症状はさらに悪化していく一方。
とうとう自分の気持ちではどうにもならないほどまで症状が悪化して、日常生活にも影響を及ぼすまでになってしまったのです。
その状態になって、ようやく親を頼って病院に行くことができたのです。
うつ病をはじめとする精神疾患により医療機関にかかっている患者数は、近年大幅に増加しており、平成26年は392万人、平成29年では400万人を超えています。
実に日本国民の約3人に1人以上が経験しているというデータが出ていますが、何かしらの症状が出ているにもかかわらず病院に受診していないという方も非常に多くいることは予想できます。
おそらく当初の僕のように誰にも頼らず我慢している方も大勢いるのではないでしょうか。
もちろん中には、自分で病院を探して、自分一人で病院に行ける方もいるでしょう。本当に勇気ある行動だと思います。
でも、僕と同じようにうつ病の可能性があることを認めたくなかったり、弱さを見せたくないといったプライドが邪魔をして症状をどんどん悪化させている人も絶対にいるはず。
僕が今、当時のことを振り返って思うことは「もっと早く周りに助けを求めて、病院に通院しておけばそこまで深刻な状態にならなかったはず」ということ。
病院に通院することは決して自分が弱いからではありません。
病院に通院することは決して負けではありません。
実際に通院してみると、多くの方が自分と同じように心療内科に受診しに来ていました。
もちろん症状や状況は人それぞれですが、
自分と同じように苦しんで通院している人がたくさんいるということ目の当たりにしたことで、少し心が楽になったのは覚えています。
そして、
もしあなたがうつ病の当事者ではなく、自分の家族や友人がうつ病で苦しんでいることに悩んでいるという方であれば手を差し伸べてあげて下さい。
通院を始めとするうつ病の治療には何より周りのサポートが欠かせません。
家族でも友人でも、その方の身近な人が変化をいち早く感じ取ってあげて、病院に受診するという選択肢を与えてあげること。
あくまで選択肢として。
強制するのではなく「苦しいのであれば病院に行くことも一つの方法だよ。いつでも一緒に行ってあげるからね」と選択肢を与えてあげることが大切だと実体験から強く感じます。
「あなたは普通の状態じゃないんだから病院に行かなくちゃダメ!」なんて言われたら、本人は絶対に病院に行きません。
無理やり手を引っ張って行くのではなく、しっかりと当事者の気持ちを理解してあげて手を差し伸べてあげること。
そして助けを求めて手を伸ばしてきたら、しっかりとその手を握ってあげて下さい。
病院に行くことも周りに助けを求めることも決して恥ずかしいことではありません。
病院に行くことはうつ病を克服するためにとった勇気ある決断なのです。
僕もそうでしたが、その決断ができたのならば少しずつですが良い方向に状況は変わり始めると信じています。
病院選びの大切さ
最初は数ある専門の医療機関からどの病院を選べはいいのかきっと迷うことでしょう。
実際に通院してみないと分からないことは確かですが、病院選びは非常に大切です。
当時、僕は病院選びの大切さを強く感じさせられる出来事がありました。
僕はもちろん、病院を探してくれた親も心療内科を受診するということは初めての経験だったので、どの医療機関に受診すればいいのか分からなかったと思います。
今の時代はインターネットで病院のある程度の情報は分かりますが、医師や治療方法に関しては実際に受診してみないと正直分かりません。
私は最初、自宅から比較的近い場所にあった心療内科のあるクリニックを受診しました。
しかし、
私はこのクリニックに一度しか通院していないのです。
理由は、
この初めての心療内科の通院で心に大きな傷を負ってしまったから…。
かなり悪化してしまっていた症状に加えて、初めての心療内科への受診。
僕の心は不安と緊張に押しつぶされそうな状態でした。
まずは待合室で自分の現在の状態を細かくアンケート用紙に記入。
そして名前が呼ばれて、いざ診察室の中へ。
初めて対面したその先生は先程記入したアンケート用紙を見ながら、いくつか簡単な質問をして私にこう言いました。
「うん、うつ病だね。」
「仕事休むのなら診断書書くけど、どうする?」
僕はその言葉にかなりショックを受けました。
確かにその医師からしたら私は数多くの患者の中の一人で、うつ病の患者も数多く診られているはず。
でも僕は、
病院に行くまでにいろいろなことを考えて悩んで、何とか救いの手を差し伸べてもらおうと思って勇気を出して診察に行ったわけです。
もちろん「うつ病」と診断されてしまったことも大きなショックでしたが、
それ以上に一人の人間としてではなくうつ病という病気としか見られてないんじゃないかということにかなりショックを受けてしまったのです。
もちろん、その医師に悪気があるわけではないのは分かっていますが、正直その対応でその医師に対して不信感を抱いてしまったのです。
仕事を休むことにも抵抗のあった私は診断書も書いてもらわずに、薬だけ処方されて帰りました。
そして、そのクリニックには二度と行きませんでした。
それだけでなく 「結局、病院なんてどこもそんなところなんだろう…」 と病院に対する信頼感も一気に崩れ落ちました。
しかし、
その後、通院することになった病院が自分のその不信感をものの見事に吹き飛ばしてくれたのです。
最初のクリニックには「もう行きたくない」と拒否してから、親が再度病院をいろいろと調べてくれました。
(この当時は本当に親に頼りっぱなしでした。迷惑や心配をかけたぶん少しずつ親孝行できればと思う今日この頃。)
そして、口コミなどでも「評判がいい」と言われていた別のクリニックに通うことに。
自宅から電車で約1時間半というなかなか遠い場所にあったクリニックでしたが、通い始めて本当に病院を変えて良かったと心から思えました。
まず主治医の先生の対応。
多くの患者さんが来院されていて忙しいにも関わらず、僕の状態や現状の生活など親身になって聞いてくれました。
もちろん限られた時間ではありましたが、うつ病という病気ではなく一人の人間として心を汲み取ってくれたことがとても嬉しく、何よりとても安心できました。
そして治療に関しても。
初めて受診した時に、最初のクリニックで処方された薬とその量を伝えたところ、
「え?こんなに薬の量飲んでいるの!?」
「眠気とかすごかったでしょ?とりあえず薬の量は減らすね」
と、すぐに私の症状に合わせて薬の量をコントロールしてくれました。
実は、最初のクリニックで処方された薬は効き目は抜群でしたが、そのぶん副作用や薬を飲んだ時と薬の効果が切れた時の気分のギャップにとても悩まされていたのです。
※服薬治療に関する体験談はまた別の記事で詳しく書いていきます。
薬の量をコントロールしてもらった結果、薬を飲んだ時と薬の効果が切れた時の気分のギャップが少なくなり、副作用としてかなり強く表れていた眠気もほとんど改善されました。
特に気分の落差によって情緒もかなり不安定になっていたので、量を減らしたことにより一時的な薬の効果は減ったとはいえ、それが改善されたことが気持ちの安定に繋がりました。
僕はうつ病に対する薬の知識は全くありませんから、最初に処方された薬の量が自分にとっては適切な量だと思っていました。
薬の効果や副作用もこれが普通ではなかったと初めてそこで知ることができたのです。
もちろん、医師によってうつ病の治療に対する考え方は異なりますので、一概に最初の病院の先生を責めることはできませんが…。
おそらく、あのまま最初の薬の量を飲み続けていたら、薬から抜け出せなくなるほど依存性が高まっていた可能性は大いに考えられます。
そう考えるとゾッとします。
新しい主治医の先生は、おそらく”薬だけ”ではうつ病は治らないという考えがあり、心理カウンセリングを受けることも進めてくれました。
※カウンセリングを受けた体験についてもまた別の記事で詳しく書いていきます。
最初は一人で電車に乗ることもできなかったり、電車内に人が多くて気分が悪くなって途中の駅で降りてしまったりすることもあり、約1時間半という距離を通院するのも大変な状況でした。
しかし、主治医の先生が親身になって話を聴いてくれたり、症状の変化に合わせて少しずつ薬の量をコントロールして減らしていってくれたおかげで、症状も落ち着いていくようになりました。
実際に病院に行ってみないと、病院や主治医の先生がどんな感じなのか、どんな治療をするのかは分かりません。
もしかしたら僕の場合のように最初に行った病院が合わないことはあるかもしれません。
ですが、必ず最初に行った病院にずっと通院し続けなければならないという決まりはありません。
もし「何か違うな」「自分には合わないな」ということがあれば、思い切って病院を変える選択肢を持ってもいいのかもしれません。
ただ気をつけてほしいのは、
「この先生は薬をあまり出してくれないから嫌だ」「もっとたくさん薬を出してくれる病院に変えよう」という考え方で病院を変えること。
これは非常に危険です。
”薬だけ”ではうつ病は治りません。克服できません。
僕は自分の体験を通してそれは強く感じます。
そこだけは履き違えないようにしてください。
本当に良い医師とはうつ病を”薬だけで”治そうとしない先生だと私は思います。
薬はうつ病を治す”手段”ではなく、あくまで治す”きっかけ”に過ぎません。
あなた、もしくはあなたの身近でうつで苦しんでいる方が「本当に信頼できる病院・先生」に巡り合えるように祈っております。
心を健康にしたい方、自分を変えていきたい方、自分で解決が難しい悩みをお持ちの方などをサポートする心理カウンセリングを提供しています。
心理カウンセリングの詳細はこちらの記事をご覧ください
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