呪いの古銭(二次創作)
カラン、コロン…………
ドアを開閉時鳴る鈴の音を耳にして、書物から徐に視線だけを上げて、来訪者を見た男は、目を驚愕の形に見開いた。
入店してきたのは、確かに人間だったからだ。
その様子を見て何かを察した青年は、口端を歪ませて笑った。丸眼鏡の向こうの奥二重だがパッチリとした目がチシャ猫のように弧を描く。
「おやァ、随分な、驚き様ですね」
後ろ手でドアを閉めて青年は内部を見回した。
「九泉さん……でいいですかな?」
青年に名を訊ねられ、ハッとして店主らしき男は書物を閉じて椅子から